先月の中ごろから市民検診の結果を持参される方が増えました。
それ以外でも田植えも落ち着いて、ちょっと患者さんが多いかなという日が多いです。
年に数回うける、「血液検査で癌がわかるって聞いたので、採血してください」というお話。
血液検査で癌の早期発見が果たしてできるかどうかなのですが・・・
現時点では 前立腺がんの腫瘍マーカー PSAに関しては、早期発見に寄与すると考えますが、それ以外のがんは腫瘍マーカーでは判断できないと思っています。
癌になると、癌細胞から様々な物質が分泌され、それを測定しているのが腫瘍マーカーと呼ばれるものです。
でき始めたばかりの癌では腫瘍マーカーが上昇することは少なく、ある程度大きくなったり、転移をした状況で腫瘍マーカーが上がってくる というのが一般的な認識です。
腫瘍マーカーにはCEA、SCC、CA19-9、ProGRP、NSE、CA125、PSA、AFPなど様々な種類があります。
がんの種類によって高くなる項目は違います。
例えば肺がんの場合にはCEAやProGRP、NSEなど、前立腺がんではPSAが高くなります。
また、癌がなくても腫瘍マーカーが高くなる場合もあります。
タバコを吸っている人では 常時CEAというマーカーは高めを示す傾向があり、数値だけではがんの有無を判断することは困難です。
そういった意味では癌の早期発見に対して採血検査でわかる腫瘍マーカーはあてにならない と思います。
健康診断(人間ドックなど)で腫瘍マーカーを測定されている場合がありますが、あくまで参考値です。
これが低いからと言って、癌の可能性がゼロとは言い切れないものです。逆に異常高値であれば、それをきっかけに検索をかけることが可能なので、進行した癌をターゲットにする場合は検査に関して意味があります。
ややこしくなってきましたが、腫瘍マーカーが主に活躍するのはすでに癌の診断がついている人です。
治療の前後の数値を比較して、治療効果の確認をします。また、手術などの場合は術後の数値とその後の経過で見て、数値の上昇があれば、がん再発を疑い検査をする そういった形での利用がされています。
今後、技術開発が進み、簡単に採血検査で癌の早期発見ができるようになるかもしれませんが、現時点では採血で早期発見できる癌は前立腺がん以外にはないのではないか と思います。
また、前立腺がんに関しては別で記載をしてみますね。
参考になれば、幸いです。