現在、生活保護基準の大規模な見直しのために厚労省社会・援護局長の私的検討会として「生活扶助基準に関する検討会」が週1のハイペースで行われているのであるが、この検討を行っている中村社会・援護局長がどんな考えの持ち主かがよく判る国会発言があるということを、あるMLで教わった。
第164国会衆院厚生労働委員会(2006年3月17日)での発言(107)。
「○中村政府参考人 お答え申し上げます。
ホームレス対策については、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づきまして、国が基本方針を示し、各自治体がそれに即してホームレス対策をしております。
そういったものの中の一番大きな柱が総合巡回相談でございまして、ホームレスの方々、御存じないということでございますが、例えば東京でいえば各区では、上野公園のホームレスの方に巡回相談員が行ってお会いして、まず自立センターに来てくださいと呼びかけをしたり、さまざまなことを行っております。その主体は、各区であり、市であり、福祉局がやっておりまして、市役所でも全庁的に取り組んでおります。そこの傘下に福祉事務所があるわけでございまして、当然、そういうことを知っております。
逆に言いますと、福祉事務所に来られていろいろ御指導を受けて、そこでホームレスの方々はその指導に従わなくて約束を破ったりしてその市にいられなくなって、そういった方がまた別の市に行って福祉事務所のところに行く、こういうことでございまして、こういう言い方は適切かどうかわかりませんが、なかなかホームレスの方々もしたたかで、行政の方も困っているということであります。
いろいろな実態がございますので、我々もやっておりますし、今、二万五千人とおっしゃいましたが、各自治体の調査で減少傾向にあるということはそうでございますけれども、また新たな流入もあるということで、先ほどの神戸市の例のように、百人減少するために千三百七十五人の生活保護の適用をしている、そういうことでございます。
逆に言いますと、ホームレスの方であればどういう状況にあれ生活保護を適用するということになれば、みんなホームレスになれば生活保護を受けられるということで、これはもう生活保護行政が崩れてしまう、こういったことも御理解いただきたいと思います。」
唖然とするしかなく、この発言をスルーしてしまった野宿者(支援)運動というのも悔しい限り。
前段の差別的発言も許せんが、この結論、「ホームレスの方であればどういう状況にあれ生活保護を適用するということになれば、みんなホームレスになれば生活保護を受けられるということで、これはもう生活保護行政が崩れてしまう」とは!
「みんなホームレスになれば」(資産があるとかいうことがなければ)「生活保護を受けられる」というのは、これは生存権保障の大前提だ。生活困窮者が1000万人いれば1000万人を保護する。1000万人もの人間が貧困線を下回らないように施策を打つのは国家の役割だが、その施策なりの破綻の結果が膨大な貧困層を生み出したのであれば、もはや生活保護以外にない。最後のセーフティ・ネットとはそういうことだ。
中村社会・援護局長は障害者自立支援法案審議過程でも
問題発言をしている。
生存権という考え方とは全く相反する人間が保護行政・福祉行政のトップに立っているというのは慄然すべき事態。