昨夜フランスガイド協会事務所に張り出されていたMETEO(天気予報)では
土曜日は晴れのち曇り、午後に雷雨の可能性が少しあるかもしれない。
とあった。 ツーリストインフォメーションのベルナデッドさんも、モンブランマルチパスを買うのならとにかく明日の午前中は天気が良いようだから、上に上がってみたほうがよいかもしれない。とアドバイスをくれた。 もちろん4000m上空の天気は行ってみないと誰にもわからないけど、幸いスケジュールには余裕があるし、核心は最初に越えておきたい。
一番のロープウェイはクライマーでごった返しているだろうから、2番目を狙って早起きする。ミディの山頂は0度を下回ることも珍しくないので、きちんとした装備で出かける。

夜明けのシャモニの街中を歩く
朝6時にミディのテレキャビン駅に到着。 宿からは30分くらいかかる。
15歳以下の鉄は半額となり、さらにファミリー割引とかで3日間有効のパスを購入。
これはシャモニ谷のすべてのテレキャビン、ロープウェイに乗り放題のパスでお買い得である。
ただし、イタリア側のエルブロンネルまで行くのは別料金がかかる。

早朝のテレキャビンの駅。
装備を身に着けたクライマーたちを眺めながら、いまさらながら悔しさがこみあげてくる。
本当ならこうして自分たちもロープを肩からかけ、ギアをジャラジャラさせながら、ちょっと緊張気味の顔でここに並んでいたはずなのに。
観光客ほどお気楽ではないにしろ、単なるハイカーとして払暁の駅に佇んでいる。
ジブンのミスからこうした結果になったのだから、どうしようもないのだが、やっぱり悔しい。
社会人となってから、所帯以て、子供も育てなきゃならない親父が、そうそうここに来るチャンスがあるわけじゃないのに・・・
まっ!済んだことはしゃあない。 本場アルプスのクライミングはまた出直せばいい。 今はここにいることを楽しもう。

途中の駅で小型のキャビンに乗り換え、あっという間に1030mの麓から3842mの高みに上った。 こんなロープウエィここ以外は見たことない。
なんだかモンブランの山頂もすぐそばに見えるが、ヴァレーブランシェに降りて、モンブラン・ド・タキュル、モン・モディを縦走して、ここから半日はかかる。
初めて来たときはモンブランの通常ルートから登って、このミディまで逆コースで縦走してきた。
本当はへなちょこ登山隊として、モンブランの全員登頂を計画したのだが、ヨメと長男の反対に遭いこうしてみるだけに。
まあ、一度登ってるからいいか。

モンブランの山頂 左下のほうに歩いていく登山者が見える。

出発支度をするクライマーたち。 この雪のトンネルからヴァレ・ブランシェ(白い谷)に降りていくのだ。

グランドジョラスをバックにロープをしごくオネーチャン。 かっこいいね。
こっから先はアルピニストの世界だから、一般のひとは入っちゃダメよ。

確かに急斜面。 ステップがあるとはいえ、アイゼン無じゃすっ飛んで行くわな。
あぁ でも行きたい・・・
昔新婚旅行に来たときはヨメとアンザイレンして、ここからプラン針峰を縦走してったんだな。と思いでに浸ってた。 しかしよくあんな危ないところに連れってったもんだ。

ヴァレーブランシェを横断して、エルブロンネルまで行き、周回してくるモンブラン・パノラミクス。
出発してすぐに振り返るとミディの南壁がドーンとお出まし。
ほんとはこれも登る予定だった。(しつこい)
それにしてもすごいところにロープウエィを造ったものだ。
↓ プラン針峰方面を望む。

プラン針峰方面を望む。

ヴァレーブランシェを往くアルピニストの列。

よく見ると テントサイトも見える。 ロープウエイ代が高いので(往復44ユーロ)ここで泊るクライマーもいる。 私も昔泊まったが、高度のせいでほとんど熟睡はできなかった。

コズミック山稜とミディ南壁(右の赤い岩峰) 南壁の右端にクライマーがいるのがわかるだろうか。 レビュファルートやコンタミヌルートの取りつきである。

遠ざかるミディ ヴァレーブランシェには結構な数のアルピニストの姿が。

モンブラン・ド・タキュルをバックに テレキャビンが映える。

ツールロンドをバックに。 ここも氷雪壁のナイスなルートがある。

ついにイタリア側が見えてくる。 プトレイの大岩稜とモンテ・ビアンコ(モンブランの伊名)
左の顕著な針峰はノワール針峰。 それにつらなるのが、プトレイ岩稜だ。 モンブランのブレンバフェースも見えている。

モンブランと グランキャピサン

このグランキャピサンもいつか登ってみたい。

1時間にわたるパノラマ空中散歩。 こんな景色を見られただけでも幸せだが、クライマーとしちゃ、血が騒いで仕方ない。
きっと戻ってくるぞ。 I shall return
続く