traditional climbing

クライミングスタイルにうるさいオヤジ系クライマーの日記
 クラック、スラブを愛するクライマー歓迎します。

マリオネット悲話 最終章~ソナタが聞こえる~

2006年12月31日 20時53分45秒 | 城ヶ崎

↑八幡野港からシーサイドを望む

2006年も今日が最後。そう大晦日なのである。普通の人たちはこの日は家の大掃除や片付け、土壇場の年賀状書き、年末の買い物など家の用事をすませて新しい年を迎える準備をしているはずだ。

しかし年中無休でクライミングのことから頭が離れないバカどもは盆だろうが、正月だろうが、クリスマスイブだろうが、結婚記念日だろうが、はたまたご先祖様の命日だろうが岩場に出かけるのである。

 そして今年中に落とす!!

と宣言した私も例外ではなく、マリオネットの待つ(別におまえなんか待っちゃいねーよ)アストロドームに出かけた。今日のパートナーはやはり家庭持ちのM川さんである。大丈夫なの?そして抑えにS太郎をキープして万全の準備を整える

 「絶対に登る!!」

あとは精神集中と気合だ。 登れるも登れないも気持ちの問題だ。 幸い風邪も抜けて体調はまずまず。 トレーニングはできなかったが、そんなことは問題ではない。

  今朝の寒さは今年一番ではないかと思われるが、風はおだやかで波も先週とはうってかわって静かだ。 いつものRPトライのように気持ちを集中させながら入念にストレッチを行う。 ここで筋肉を暖めておかないとアップなしで取り付くので、身体が動かない。  30分以上かけてストレッチ。 

ギアを手順どおり左右にラッキングしてロープを結び、シューズも念入りにレースアップ。  再度イメージトレーニング。ルートはあえて見ずに、すべてのムーブとプロテクションセットをシュミレーションしてから離陸する。

出だしから2本目まで、身体のキレがいい。 1つ目のチムニーで3本目のヘキセンのセットに手間取るが、落ち着いて最適なポジションに設置。 いつもはここから外に身体を出すときにジタバタするのだが、今日は足のポジションがいいのかすんなりガバに手が届いた。

 2つ目のチムニーに身体を滑り込ませてレスト。 ここでのプロテクションを今日は変えてみた。いままではC4のタイトフィットだったが、F4にサイズ変更。 本当はヘキセンにしたかったが、RPトライでのサイズエラーが怖くてカムに頼った。 しかしこの選択は少々誤りで上部にフレアしたクラックは少しの動きでカムが開いてしまう。 できるだけ入り口にリセットしてから核心部へ突っ込む。 

 いつもは身体が引き剥がされそうな感覚が、なんだか今日は壁に張り付いているかのような安定感がある。 これはいけるかも。 最後のキャメ2を放り込んで、意識的にゆっくりとゴールに向う。

ここであせってはいけない。 ひとつひとつのジャミングを丁寧に、足も何度か切れたが、そのたびに落ち着いて捌きなおす。 先人の流血のあとが生々しいノブに押さえ込むようにヒールを決めて、最終ホールドへガストンをひきつける。

 少し遠いか。 

腰を入れ、右足を決めなおしてゆっくり左手を伸ばす。捕らえた。 あとはヌンチャクをかけてクリップするだけ。

最後の最後で手間取る。 カムの出し入れに邪魔にならないようにヌンチャクを最後部につけていたため、手がなかなか届かない。 ちょっとあせって落してしまう。落ち着け!大丈夫もう1本ある。 右手では探れないため、ホールドを持ち替えて無事にクリップ。 やった・・・・

地上にロワーダウンしている最中に遠くからピアノソナタが聞こえてきた。

今回のトライ中は眼下の波しぶきがやけに鮮明に見えたり、潮騒やビレイヤーの声がはっきりと耳に響いたり、ホールドやスタンスがすごく近くに見えたり、不思議な感覚に包まれていた気がする。リラックスと集中がうまくいったせいだろうか。 今年を締めくくる最高の登攀は軽い疲労感と解放感で心地よかった。

今年1年ビレイをしてくださった皆さんありがとうございました。 ひとつひとつのRPはつきあってくれた皆さんのおかげです。 また一緒に登ってくれたヒトたちにも感謝。その背中からいろいろ勉強させてもらいました。

来年もよろしくお願いします。 そして皆さんにとって来年もよきクライミングができますように

↓山野井の3部作のもうひとつ「ビッグマウンテンダイレクト」上部を見学に行きました。漁港のすぐそばで取り付きやすいが、ちょっともろそう。 気合がのったらやろうかな。

 


マリオネット悲話第3章~海鳴り~

2006年12月23日 21時31分56秒 | 城ヶ崎

ノロウイルスだかなんだかしらんが、ここ2週間ほど体調が悪く、満足にトレーニングもクライミングもできない。 今朝も起きると身体はだるいわ、頭は痛いはでやっぱり風邪気味。 この体調で日陰のアストロドームかぁ・・・・ でも今日は私がクルマを出すので、キャンセルはできない。

 シュラフやらなんやら防寒着を詰め込んで出動。

 天気は予報と違ってイマイチであったが、さすがに伊豆は暖かい。風もおだやかでこれなら1日過ごせそうである。 でもアストロドームにつくと波が高く、すごい勢いで寄せてくる。 今日は大潮のせいか、取り付きのすぐそばまでしぶきがかかるほどの勢いで波が打ち寄せる。 ちょっとあのうねりは迫力ありすぎ・・・

本日のメンバーはS太郎をはじめ、D作さん、M光くんとJウォーラーである。

 さてマリオネット本日3日目のS太郎がトップバッターである。

 カムのセット場所と番手を覚えたせいか結構落ち着いたリードになってきた。 もともと力はあるので慣れればクラックもすぐにうまくなる。最後のキャメをセットしたところでギブ。

その後見事にRP

さて私

今日は先日できなかった中間部のムーブをつなげるのが目的。左のフレークはうまくとらえられるが、そのあとのノブのキャッチができない。右足の置き所がわからず敗退。 2回目でその右手のジャムポイントを修正して、トゥジャムを入れることでムーブを確立できた。最後のトラバースもジャムは問題なく、足の処理がポイントとなる。 ほぼムーブを解読してこの日は終了。つぎは最初から最後までマスターリードでやるぞ。

 M光くん

回収をしてくれたが、ユマーリングに慣れていないらしくとても疲れてご帰還。そのあとピンクポイントで登った。  RPトライは最後の最後でアンダーホールドを保持しきれずに痛恨のフォール! 明日出直すそうです。

 D作さん=サムライ

 130度くらいある前傾壁でランジ2発。 すごいルートである。 2回目のトライで指皮をざっくりもっていかれて流血戦に。 でも1回ごとのトライはすごく早く、上まで行ってしまうので、次はRP??と思わせてしまう。

しかしマリオネットはあいかわらずダウン寸前まで殴られまくるルートである。身体中(両手腕、、両足首、膝、背中、肩、額)に生傷が絶えず、まるでDVにあっているヒトのようだ。 そしてこの日も降りて来るともうオロク状態。 フラフラで満足に歩けない。

Jの方々お世話になりました。 また遊んでやってください。

 本当に私は年内(あと1回)で登れるのだろうか???なにしろ一緒にやっている人たちはあっという間に登っていってしまうので、はやくしないとパートナーが・・・・  


今年1年の成果

2006年12月14日 18時16分31秒 | クライミング帖

もうすぐ今年も終わりであるが、06年の主な成果をちょっと振り返ってみた。

05.12.10 『スパイダーマン』・・・ 湯河原幕岩、垂壁 薄いエッジとカンテのパーミング。(昨年の記録だが、自分のリスタートはここから始まったカンジなので。)

06.2.11 『バンピングアイアンⅠ』・・・ 城ヶ崎、オーバーハング超えと持久系

06.5.23 『ノースマウンテン』・・・ 二子山、石灰岩、前傾壁、ピンチホールド

06.6.24 『ブルースパワー』・・・ 小川山、花崗岩、垂壁、カチ、スラブ

06.7.9 『アストロドーム』・・・ 瑞垣山、花崗岩、クラック、シンハンド

06.10.8 『イエロークラッシュ』・・・小川山、花崗岩、垂壁、マイクロホールド

06.10.24 『春うらら』・・・ 瑞垣山、クラック、薄かぶり、フィンガー、シンクラック

06.12.7  『コンケスタドール』・・・湯河原幕岩、チョイ寝ているフェース、ボルダーチックなフィンガリールート

06.12.31予定  『マリオネット』・・・未登。 城ヶ崎、ルーフクラック (できているといいなぁ・・・)

ちょっと本数が少ないような気がする。 なんだかブランクが1ヶ月くらい空くときがあり、来年は継続が課題になる。 せめて毎月成果を上げられるように。

 しかしいろいろな岩場、性格の違うルートをオールラウンドにできたことはよかった。今年は苦手の垂壁、カチなどを意識して登った。やっぱり目指すはオールラウンドクライマーだ。  今年はいけなかったが、有笠にも行ってみたい。 遠征もしたい。名張、東北、瑞浪などなど。


マリオネット悲話第2章~厳しい稽古に泪がでちゃう~

2006年12月12日 00時18分41秒 | 城ヶ崎

日曜日またまたアストロドームに行ってきた。 今日はS太郎を拾って八幡野港へ。 途中小雨がぱらつくが現地へ着くと薄日が差していた。

  本日のパートナーS太郎はフェースでは13を登るが、クラックは小川山レイバックを登っただけ、カムを使うのも今回が3度目とのこと。大丈夫かな??? でも本人がマリオネットをやりたいというので、交互にリードすることにした。

まずは私が1便目中間部のムーブが踏んぎれず、敗退。そのカムを残したままロワーダウン。 次にS太郎カムを2本伸ばしてフォール。 こうしてすこしづつ到達点を伸ばすカプセルスタイル?で終了点までたどり着こうというものだ。そこまではプリプロ状態なのであまりよいスタイルとは言えないが、まあ終了点にいけないのだからしょうがない。

 S太郎の2便目でようやく終了点に到着。さすがは筋肉標本。パワーが違う。怖いといいながらもクラック初心者とは思えない捌き方だ。

 私が3便目に突入するころにはすでに日が傾きだしている。 早くしないと回収できなくなる。 上部のハンドジャムトラバースに移る手前が難しくてこずる。 いいガバはあるのだが、ものすごい傾斜でチョックストンを抱えたまま左手が伸びない。

テンションで休んで、なんとか気合のデッドでフレークを捕らえてヒールフック。ハンドジャムが極まればこっちのもの。 最後はガストンを思い切りひきつけて立ちこみアンダーを取りに行く  遠い! 叫び声を上げながら渾身の力で取りに行った。 やっと終了点にたどり着く。 

これをレッドポイントするのはすごいパワーと持久力が必要だ。 降りてくるとフラフラで酸欠、吐き気と頭痛でえらいことになっていた。 夕闇のなかS太郎にフォロー回収便を出してもらってこの日は終了。 二人とも力を搾り出した1日であった。

グロッキーのアニマル  ↓


とりあえず湯河原

2006年12月07日 22時07分51秒 | クライミング帖

今日は振り休を取ったのだが、アストロドームに行くパートナーは見つからず、たまたま霧峰のFが行きたいとメール返信してきたので、たまには湯河原でも行くかということになった。

 城山の次に気が進まない岩場であるが、なによりも近い(自宅から1時間半)のが魅力。 ゆうべの忘年会の酒が残っている身としてはちょうど良い。 今日はおだやかな晴天を期待していたが、一日中曇天で寒々しい風景だった。が、気温はそれほど低くは感じなかった。 

平日でもここはヒトが多い。まずはテントウムシでアップ。 グレードもルート名もわからないが、Fにリードさせる。 みたところ5.10のどこかだろう。 見事OS。

私はFと違って左側から登った。体感5.10cくらいかな。

後で調べたら「ヘイジュード 5.10c」でした。

 FTGの講習会をやっていて、オバサンたちが元気にトップロープで登っていた。 そのうちの一人がコンタクト落したとかで大騒ぎになっていた。 

・・・・そそくさと茅ヶ崎エリアに移動。

 こちらも結構な人出。 10人以上はいたか? コンケスタは空いていた。 よかった。 夜勤明けのドッキー登場。 「何しに来たの?」「いやあ結構登ってないの多いんですよ。」昨日合流したいというメールが来てたが私は本気にしていなかった。

  コンケスタ1本目

 出だしから忘れている。 中間部のムーブがやっぱりわからずいったん降りる。 ドッキーに登ってもらう。 なぜかテン山??? ムーブを忘れてしまったらしい。どうしたドッキー 慣れない一人暮らしに疲れているのではないか? はたまた一人とは嘘っぱちで女と暮らしてるので、クライミングが骨抜きになったか?

 コンケスタ2本目

ドッキーのムーブをパクリ。 中間部のガストンが右手だったのか! これであっさり問題点を解決するも、最後の悪いカチが止まるかどうか不安を残す。

  Fは帰還兵

ちょっと重荷なのでトップロープ。 テンション混じりながらなんとかトップアウト。この寒いのに滝のような汗をかいているヤツ・・・・上からの連続ショットを撮った。 会のHP用に写真を撮れとの指令だ。

 ドッキー コットンクラブ1本目

ほとんど登っているヒトを観たことがない。 つるつるの壁はどういうムーブを起こせばいいか、イメージするのが難しい。 観音開きかな? かなり薄い縦カチをだまして身体を上げる。 難しい。

 お昼のあとドッキー コットン2本目

私はコンケスタの掃除しながらイメージトレ。

コンケスタ3本目

1本目にクリップして深呼吸。 集中して再度イメージトレーニング。 頭の中でRPしてからリスタート。 3本目のクリップまでイメージと寸分の狂いも無い。 すばやくチョークアップ。さらにおさらいして、上部核心に突入。 滑りやすい右手のカチで左足を上げるが、最後のリップへのデッドに不安を感じて、とっさに右手を1手前に戻して左手を飛ばした。 

止まった。

  憎っくきカタキの首を挙げた気分である。 これでクニに帰れる。

  さてドッキーの3本目

 息がつまるようなボルダームーブの連続。 核心の右手カチに飛ばす。止まった。やったね。と声を掛けるが、本人は止まったままである。 「あれっ?どうしたの パンツでも破けたの?」実はそこで堕ちそうなのに必死で耐えていたらしい。 そうかそのホールドを取っても終わりじゃなかったんだ。 でもそこはさすが。 うまく捌いてRP! 2級~1級のボルダームーブだそうです。

  このあとFのためにクリスマスローズに移動するが、RPならず。要修行だな。 私は目の前の「GEISHA」が気になって仕方なく。 1本だけ出したが、すでにコンケスタに指力を吸われていてRPならず。 でも肝心の左足トゥは滑らなくなった。次はやっつけるぞ。(次っていつだ?) なおGEISHAはコンケスタより難しいと思うのは私だけだろうか? 身長のせい?コンケスタは長身のひとには核心が狭く。 GEISHAの核心はチビの私には足が切れてパワーがいる。 

 今日も真っ暗になるまで遊んでおりました。


踊れやコラ! マリオネット悲話~第一章~

2006年12月02日 22時58分31秒 | 城ヶ崎

えのっきーからお誘いがあったので、節操も無くアストロドーム行きに飛びつく。 SOTOクンからもパンツのお誘いがあり、もちろん二股をかける。 というわけで今週末の崎はシーサイド&アストロドームの豪華2本立てとなった。

 朝一でトポを忘れた私はアプローチ難民とならないようにえのっきーにガイドを頼み、アストロドームの入り口を確認。 こりゃー初めて来たら迷うわ。 まるでコロシアムのような すり鉢上の入り江に降りていく。 そして思ったよりも低くかかるアーチ。 自然の造形の不思議さよ。

自然と目が「マリオネット」のラインをトレースしていた。 写真でしか観たことが無いがすぐにオブザベーションできた。このラインしかないというところに引いてある。うーん。 すげー迫力である。こんな傾斜登れるんか? しかもナチュラルPで・・・・すぐにでも取り付きたいが、午前中はシーサイドの約束なので、来た道を引き返す。

  シーサイドはアストロと違ってとても暑い。 SOTOくんがこの日2便でパンツを見事RPした以外は特に書くことは無い。  えっ 俺? 一言でいえば「振り出しにもどる」かな。おっといけねえ。 もう昼だ。 たまちゃんとチリコンをやるというSOTOくんを残してアストロドームに取って返す。

 1日陽のあたらないアストロドーム。 この日は風が強かったが、気温は高めでそれほど寒くは無かった。 ほかのパーティーがトライ中であった。 この日は私もいれて4人(あとは亀ちゃん)もマリオネットに取り付いていたことになる。すごい盛況じゃない? このルート登ったら自分でフォローして回収しなくてはならず、大変時間がかかる。

 えのっきーは初日3便目ですでにRP体勢にはいっているのでリードをゆずる。 なぜならこの日のアニマルは絶不調だったからだ。ワイルドなルートを前にして、もりあがる気持ちとは裏腹に身体は動かない。  えのっきーの3便目は惜しかった。 最後のハンドトラバースで堕ちる。

 中間部の悪い箇所でさすがの粘りをみせたが、やはり消耗していたか。 このお兄さんこのストレニなルートに4便目も出した。しかも最終便が一番高度があったのだ! 

中間部のチムニー状 ↑

そのカムをわたくしめがフォローにて回収。 

 こ・・怖いじゃねーか。

 ルーフクラックのフォローって、こんなに怖かったのか。やるんじゃなかった。 リードの方が安全じゃないか?

ホールドはめちゃかかりのいいガバばかりだが、足の置き所というか身体の向きというか、どういう格好をして登ればいいのかわからなくなる。 まさに3Dの登りだ。 頭上に伸びるロープというより、ルーフ出口に向って伸びるロープ。堕ちたらグワーンと振られて戻ることもできない。

 最後の傾斜のきつい場所で堕ちてしまい、空中に投げ出される。 ユマールとスリングマッシャで自己脱出みたいに空中ユマーリング。 岩までたどりつく。最後のパートはハンドジャムが良く極まり、楽しいクライミングであった。

中間部の悪い部分 はよプロテクション取ってぇー

 

 前腕はそうでもないが、とにかく全身運動で足萎えのようにフラフラになってしまった。 今日は顔見せといったところで、前座と幕引きの役を追っただけで、舞台に上がるまでもなく幕。

今度来た時はちゃんと踊れよ!ねーちゃんよ。 だれがねーちゃんやねん。