イマドキ20代女子の専業主婦志向

5月末に発表された内閣府の意識調査「2009年版男女共同参画白書」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という質問に対して、女性の賛成派は20歳代（約4割近く）が60代に次ぎ（30代、40代、50代より）多いことが分かった。

　白書は20～60歳代の男女1万人に内閣府が2月にインターネットで調査を実施。
　それによると「妻は家庭」との考えに、女性はすべての世代で反対が賛成を上回り、男性は全く逆の結果だった。
　ただ、賛成した割合を年代別に見ると、女性では20歳代が36.3％で60歳代40.2％に次いで高く、30歳代34.2％、40歳代30.7％、50歳代31.6％を上回った。

　イマドキ男女を見てみると、男性は年代が上がるほど「妻は家庭」にという賛成意見の割合が高まっていて、女性は若い世代に比較的「妻は家庭」という考え方が多いという特徴が見られる。

　20代女性のこの意識について白書では、非正規労働者の増加や、仕事と子育ての両立が依然難しいと感じられていることなど、現在の就業構造が若い世代の女性の意識に影響を与えていることも要因と指摘している。

　アラフォー世代は、夫にパラサイトして（家庭という）小さな世界でおばあさんになっていく姿は耐えられなかった。専業主婦なんて誰もがなれるものと考えていたから逆に華々しいキャリアがほしかった。
　でもでも...
　今や「専業主婦」としてのんびり子育てすることこそが女のステータスで、髪振り乱してストレスためて働くことはただの苦行。女が男化（オヤジ化）している姿に憧れなんてない。

　こんな志向にいたる背景を考えてみると
①理想の働く女性の欠如
　周囲で働く女性たちが、仕事と子育てを両立させている人が少なく、育児は非常に大変だという事情を見聞きしている。また仕事で頑張ったとしても男のような責任ある仕事をまかされたり、高いポジションを得られる可能性は低い。社内・組織における歩留まりを感じている。また成功している（あこがれる・目標にできる）理想の女性上司が極めて少ない。
②厳しい雇用情勢
　最近の景気悪化で社会も会社も自分を守ってくれないことを痛感し、安全網としての家庭をよりどころにしている。性別役割の固定化というより、現実を知って社会に出ることに消極的になっている。
　あるいは、先行きが不透明で見通しにくい、時代の閉塞(へいそく)感を感じているのだろう。未婚の女性にとって結婚後の役割分業の実体験がないこともあり、結婚を就職のように考えているきらいもある。
　＊今回の調査では、性別役割分業について「わからない」と答えた女性が、どの世代でも２割前後いた。過去の世論調査では１割未満。
③「婚活」ブーム
　少子化の日本。早く結婚し子どもを作り、若いうちに子育てをする（高齢になってからの出産育児は大変・リスクがあるので敬遠したい）。結婚・出産することを奨励する社会的ムード、結婚を後押しする「婚活」ブーム。
　などが背景にある。
　　　　　　　　　　　　　　　　　

　若者は親の価値観に影響を受ける傾向が強いこともあって「基本的に保守的」だという。
　先輩世代の働く女性たちが、結婚や出産との両立に苦労している姿を見て、昭和の時代の幸せな専業主婦を母に持つ20代女性たちは、そちらに理想のモデルを見て こがれていることもあるのだろう。