西南諸島貝殻学入門
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「貝殻学講座」-002
先回は「貝」の生物学上の分類・・軟体動物の定義について書きました。筆者の一番嫌いな分野。
それでも少し新しい事が発見できました。 ・・・貝の分類数・・<7分類ではなく8分類>
各分類ごとの内容は後日に回すとして、西南諸島の自然・海流・地形について書いてみましょう。
A- 海流
海流には大きく分けて「暖流」と「寒流」があることはご承知の通りです。西南諸島は黒潮と呼ばれる暖流が赤道付近を西に向かい、フィリッピン沖から台湾の東側をほぼ北東に進み、奄美大島の西側で枝分かれします。以後は図の通りです。 (鹿児島の貝 ・ 川田 義三 参照)
奄美群島は暖流の真っ只中と言う事になります。以前、「オーム貝」を加計呂麻島の実久で採取できました。ということは遥かフィリッピン方面から流れてきた事になります。大きなアオウミガメの死体が打ち上げられたり、中国語の名前が入ったゴミがたくさん打ち上げられます。沖縄方面、先島方面の貝はほぼ例外は有るでしょうが採取できるようです。・・・・今、これを実際に検証しようと作業を進めております。「渡瀬線/トカラ列島線」・・・・トカラ列島という島が屋久島と奄美本島の間に横たわっております。「十島」と言われておりますが、その中の「悪石島」と「小宝島」の間にある、有名な生物学上の境界があります。ここのラインで生物の生態が変わるとされております。
小宝島
似たようなものは北海道と本州の間の津軽海峡ですね。ここでも生物の生態が変わります。 以前は「ゴキブリ」「みかん」はまったく北海道では見かけませんでした。(現在は居るようですが) 熊も北海道では<ヒグマ>、本州では<ツキノワグマ>ですね。今も同じ状態です。他の動植物でもたくさん類例は有りますね。
悪石島
列島から鹿児島県のトカラ列島の小宝島までは、珊瑚海岸や珊瑚礁が隆起した島が殆どですが、トカラ線(渡瀬線)の悪石島から北は地形が変わっており、断崖絶壁の島が続き、且つ島に火山が多いです。トカラ線でハッキリ地形が異なっているのが良くわかります。貝の採取は小宝島から先島列島全てが一つの集合の中に入るのではないでしょうか。
珍しい貝のご紹介
↑ これです
先日、知人の貝のコレクターの方から貝を贈ってもらいました。 「サソリガイとイモガイ」
A・・・・
<サソリガイ>の仲間。 左の二個は<フジデサソリ> で 右は<サソリガイ>の黄色変色の貝です。何れも海中で採取していますので突起も先まで欠けることなく完全な形です。フジデサソリは加計呂麻島の太平洋岸でも採取できます。完品は拾いでは無理ですが幾つも持っております。
サソリガイ・110mm
フジデサソリには紫がかった縞模様が付いておりますので、欠けた貝でもすぐ見分けが付きます。突起の方も鍵の様な曲がり具合が微妙に違っております。何れもフィリッピン産です。
フジデサソリは「節手蠍」が和名
ソデボラ科
Millepes scorpius scorpius
フジデサソリ
B・・・
ウミノサカエイモ・75mm
始め毒貝の<タガヤサンミナシ>と思ったのですが、少し貝の頭のトンガリ状態が違うのに気が付いて調べてみましたら、まったく違いました。 確かに殻の模様は似ておりますが、突起の状態が違いますね。
下の写真は上段が加計呂麻産の <タガヤサンミナシ> 下はフィリッピン産の <ウミノサカエイモ>です。
かの有名な<世界の貝>の斎藤氏のHPを参照してみました。これも同じフィリッピン産です。
和名は「海之栄芋」
イモガイ科
Conus gloriamaris,
Chemnitz,1777 / ウミノサカエイモガイ
Philippines,(June'79),(110)
http://www.shellspeak.com/Conidae_8/Conidae_8.html で、参照すると解かりますが、余りの種類に呆然!
すごい種類ですね。
とにもかくにも貝の蒐集1.5年で珍しい貝をたくさん持てたのは、知人のお陰です。 感謝! 感謝!
来年からは水中に潜って貝の採集をしたいんですが・・・金槌なので・・・でもやってみるか
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