葵から菊へ&東京の戦争遺跡を歩く会The Tokyo War Memorial Walkers

パソコン大好き爺さんの日誌。mail:akebonobashi@jcom.home.ne.jp

「新宿区平和マップ」が発刊!

2010年03月14日 | 歴史探訪<軍都新宿・市谷刑務所>

昨日、四谷区民ホールで行われた「新宿区平和講演・コンサート」は新宿の歴史を大きく前進させた記念日だったと思っております。(少し大げさかも知れませんが感無量というのが実感です。)

何と言っても「新宿区平和マップ」(新宿区サイトにアクセスをするとPDFでご覧になれます)の発刊と檜山平和ミュージアム戦争遺品が新宿区主催の会場ロビーで展示できたことです。そして新宿区平和派遣の会の会長を始め会員と交流が出来たことです。参加者には発刊されたばかりの平和マップと広島平和記念資料館学習ハンドブックが配られました。「NHK第16代うたのお姉さん」神崎ゆう子さんの出演もあって乳母車での参加者が大変多かったのが特徴でした。

広島被爆者援護会副理事長竹内弘さんの記念講演終了後、「平和派遣の会」の司会者の女性が泣いていました。また、檜山ミュウジアム展示品の一つである「昭和25年発行の戦災孤児の手記」を読んでいた30代の母親も泣いていました。戦争を知らない世代であっても「命を大切にする平和」は伝えることが出来るのですね。

来年は新宿区が「平和都市」を宣言してから25周年となります。新宿平和委員会が非核平和都市宣言都市の運動を始めたのが30年前であり、当時の会長だった故松田修次さんの地道な功績が偲ばれます。平和マップも松田さんが「軍都新宿」という見解を打ち出し、行政に提案をしました。松田さんの仏壇には平和マップを捧げたいと思います。当時の新宿区長は山本克忠氏でした。区議会の平和宣言は「非核平和宣言」でしたが、なかなかの頑固親父で「非核」は絶対に嫌だと言うことで「新宿区平和都市宣言」となりました。とうとう23区中最後の方だったと記憶しています。

今回の平和マップは、北区、板橋区、港区、台東区、千代田区に続く23区中6番目となります。新宿区には「戦争の加害」と「戦争の被害」の足跡が沢山残っていますので、マップも他区よりも内容的にもデザイン的にも数段すぐれたモノと自負しています。「葵から菊へ」と表現できるほどの江戸から明治という近現代史が反映された重厚な作品です。

総務課の皆さんご苦労様でした。

今後は、「戦争への抵抗」の歴史が残る「市ヶ谷刑務所」も戦跡として位置付けてもらいたいと思っています。明治天皇暗殺計画という口実で幸徳秋水ら12名を市ヶ谷刑務所で絞首刑にしたでっち上げ権力犯罪「大逆事件」によって、社会主義運動を圧殺した明治政府は、韓国の保護国化を進めたうえで同じ1910年の8月、韓国併合を実現したのです。

余丁町に住んでいた永井荷風は、編み笠を被され、腰縄の幸徳秋水が市ヶ谷刑務所から裁判所に連行される姿を見て小説に書きました。

『明治四四年慶応義塾に通勤する頃、わたしはその道すがら折々市ヶ谷の通で.囚人馬車が五六台も引続いて日比谷の裁判所の方へ走っていくのを見た。わたしはこれ迄見聞した世上の事件の中で、この折程云うに云はれない厭な心持のした事はなかった。わたしは文学者たる以上この思想問題について黙してゐてはならない。小説家ゾラはドレフエス事件について正義を叫んだ為め、国外に亡命したではないか。然しわたしは世の文学者と共に何も言はなかった。私は何となく良心の苦痛に堪へられぬやうな気がした。わたしは自ら文学者たる事について甚しき羞恥を感じた。以来わたしは自分の芸術の品位を江戸戯作者のなした程度まで引下げるに如くはないと思案した。ゾラはドレフユス事件で正義を叫んで国外亡命した。しかし私は何も言わなかった。」荷風は「良心の苦痛」と「はなはだしき羞恥」を感じて、「以来、私は自分の芸術の品位を江戸戯作者の程度まで引き下げるに如くはないと思案した。』(永井荷風「花火」から)

その後、治安維持法によって社会主義者や労働者達がここに収監されました。その中のひとりが伊藤千代子でした。

Img_2466 Shin120_2

 

太平洋戦争開戦69周年の「平和のための戦争展」(仮称)が12月3~5日に南新宿ゼロホールで開催するための準備が進んでいます。管理人は今年の戦争展は「新宿平和マップ発刊記念」をサブタイトルにしたらと提案をしていますが、平和マップを手に取ってみると益々その感を強くしています。

「太平洋戦争~空襲~終戦年表」が掲載されています。この年表に伴って檜山ミュウジアムの戦争遺品(開戦の詔書と終戦の証書の新聞など)を展示すれば参加者に説得力があります。また「東京裁判」についても年表にあり、法廷だった「市ヶ谷記念館」もマップに載っていますので詳細な展示が出来ると思います。
マップはAからEまでの5コースによって見学ポイントを案内できるようになっているのも特徴ですが、当日の三日間は5コースを案内しながら会場のスペースゼロに到着するようにしたらよいと思います。(平和ガイドを募集中!)

Img_2464 Img_2463 Img_2462 Img_2459

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「東京の戦争遺跡を歩く~『... | トップ | 檜山平和ミュウジアムの紹介 »
最新の画像もっと見る

歴史探訪<軍都新宿・市谷刑務所>」カテゴリの最新記事