標高3450mのパイユでの高度順応も終わり、いよいよ目的地のコンコルディア(4600m)に向けてバルトロ氷河に分け入ります。 そこは、常に崩落を繰り返している氷河上の100mを越すうねり中を登攀と下降を繰り返す4日間のタフなコースと氷河の氷と石ころが混じるガレ場にシートを引き寝袋に包まって寝る、想像を絶する世界となります。
1.パイユ(3450m)⇒コブルツェ(3841m):9月17日 徒歩約8時間
いよいよバルトロ氷河に足を踏み入れます。 この日は4時30分に起床し6時30分に出発しました。 バルトロ氷河末端のガレ場を登り、コブルツェ(3841m)に16時頃に到着しました。
今朝もマッシャーブルム(7805.92m)がその美しい姿を見せています。 本当に美しい山です。
この日、初めてパイユ峰(6610m)が頂を見せてくれました。
これから向かうコンコルディアに向けてトランゴ山群、カテドラル(大聖堂)の奥にK2を遮るマーブルピークやクリスタルピークの6000m級の峰々が連なっています。
バルトロ氷河が大きな口を開けてビアホ川へ流れ出していました。 ここがインド洋に向けた延々と続くインダス川の流れの始まりです。 氷河地帯に入ると、その冷気で気温がこれまでと格段に低くなりました。
トランゴ山群の中でも有名なネームレスタワー(別名、トランゴタワー 6239m)です。 こんな垂直な壁をどのようにして登るのでしょうか??
バルトロ氷河上での楽しい昼食風景。 毎日、ラーメンやスパゲッティーを日本人好みに味付けして楽しませてくれました。 感謝!!
氷河上の砂地を行く一行。
たまたま、トイレ休憩時に見つけた高山植物。 現地のツアーリーダのアミンさんは「パキスタンで高貴な花と言っており、なかなか見られない花」とのことでした。
2.コブルツェ(3841m)⇒ウルドカス(4050m):9月18日 徒歩約4時間
今日はウルドカス(4050m)への4時間程の行程なので、6時起床、8時出発です。 朝からあいにくの雨模様で寒々とした氷河地帯を進むこととなりました。 ウルドカスはバルトロ氷河での緑のある最奥のキャンプサイトです。 これ以降は氷河上でのテント生活となります。 寒さが一段と増してきました。
氷河地帯に入りました。 ガレ場の下は氷が固く凍結しており、油断すると足を滑らせ大怪我の可能性があり、慎重に歩を進めます。
カテドラル(大聖堂:5866m)がその威容を現しました。 まさに大聖堂そのものです。
ウルドカスのキャンプサイトから見て、左奥からビアホタワー(6109m)、トランゴ山群(ネームレスタワー 6339m も見えます)、カテドラル(5866m)、ロブサンスパイアー(5707m)の壮観な景色です。
ウルドカスのキャンプサイトです。 緑が多く無味乾燥な氷河地帯の一寸したオアシスです。
現地ツアーリーダのアミンさんと。 アミンさんは日本大好きでフンザの住まいをこよなく愛する好人物です。 グループの雰囲気が良くないなか、持ち前の明るさと何時も笑顔で何度、救われたことでしょうか。 感謝!!!
キャンプサイトでのコックさん達です。 後ろの大岩は3年程前にその半分が突然、崩壊し岩陰で就寝していたポータ3名が死傷したとのこと。 この夜も突然、大音響を上げてどこかの岸壁が崩壊したり、近くの氷河が崩壊する大砲のようなすさまじい崩落音が辺りを揺らしていました。 自然はまさに生きているのですね。
3.ウルドカス(4050m)⇒ゴレ2(4400m):9月19日 徒歩約7時間
この日はいよいよ氷河地帯の核心部に入ります。 早朝4時30分起床し、6時30分に出発しました。 これからは本格的な氷河地帯となり、氷河の冷えた空気で寒さが一段と増し、早朝には氷点下まで下がるようになってきました。 クレパスもそこかしこに見かけるようになり、一段の注意が必要になってきました。 このルートはエスケープルートが無く、進んだルートを自身の足で戻るしか方法はありません。 このあたりのリスクを感知できるトレッカーのみに入ることが許されたコースであることを実感しました。
ウルドカスキャンプサイトの朝。 うっすらと雪が積もりました。 寒い朝です。
バルトロ氷河のガレ場をカチカチに凍結した氷床を滑らないよう慎重に歩きます。
今回のトレッキングのツアーリーダ3人です。 左から堤さん(ニュージーランドにホームポジションを置く底抜けに明るいムードメーカ)、アミアンさん(すさまじい底力を微塵も感じさせず常に謙虚で明るくリード)、鈴木さん(キリマンジャロでご一緒したリーダでブロードピーク登攀等の高地での優れたリーダ)。
氷河がむき出しになり、いよいよ核心部です。
無名峰ですが針のような針峰がいくつも重なりきれいな山群です。
氷河の縁を慎重の登攀します。 このような氷河のうねりが延々と続きます。
バルトロ富士と称されるガッシャーブルムⅣ峰(7924.8m)が姿を現しました。 その右肩稜線に薄くガッシャーブルムⅡ峰(8034.63m)が見えます。
そこかしこに巨大な氷柱が現れてきました。 下の家内からその巨大さを想像下さい。
テーブルストーンも姿を現してきました。 氷河が石の上まであった証拠です。 後ろにガッシャーブルムⅣ峰が見えています。
ヒマラヤ襞が素晴らしいですね。氷河を溶けだした川の畔での昼食です。
ガッシャーブルムⅣ峰を中央にマーブルピーク(6256m)を左、マイターピークを右に見て家内と。
マッシャーブルムの美しい夕焼け
寒々とした氷壁の夕暮れ。 人を寄せ付けない荘厳さを感じます。
ゴレ2のキャンプサイトの夕暮れ。 この夜から氷床に寝ることとなりました。 寝袋は冬用を持参しましたが、テント内は氷点下5度、外は氷点下8度まで下がることから、シートの上に日本から緊急用に持参した耐寒フィルム、雨具、ウインドウブレーカ等を引きました。 それでも寒いのでダウンの上下を着て寝袋に包まりました。
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