NHKどうする?”無縁社会”
今回の番組(2010年10月30日放映)では、解決のための「3案」が提示されました。それが次の3つです。
1、第四の縁をつくれ!
2、”おせっかい”の復権
3、公的ヘルパー
それぞれ簡単にみていきましょう。
その1は、社会運動家としては有名になった湯浅誠さんです。現在、内閣府参与でもありますね。湯浅氏は、地縁、血縁、社縁(職場の縁)につづく「第4の縁」を提唱されていました。厳しい経済環境のなかで「生きていく力」が奪われないよう「パーソナルサポーター」を設置しようというもの。例として、北九州市のNPOホームレス支援機構(代表・奥田知志)をあげていました。組織力でその役割を果たす。もう自分では解決できない人というのはおります。現状として、これがかなり多い。そんな人にたいして、ひとりひとりに寄り添う支援をおこなうという訳です。ポイントは、1対1ではなく、1対複数体制であたること。組織力で役割を果たしていく。そんな取り組みです。湯浅氏自身がおこなっている「自立生活サポートセンターもあい」も、北九州のNPOと似た組織です。
その2は、淑徳大学の結城康博准教授。方法としては、自治会での安否確認をおこなう。回転灯や赤いバラなどを設置してもらい、それを日々担当者に見てもらうということ。さらに「地域支えあいマップ」を作成。とにかく孤独な方を見つけ出し、その方々との「交流できる場」を設けるというアイデアです。プライバシーに抵触し拒絶するような人もありますが、助けられて「やっぱり助かってよかった!」という意見がほとんどのようなのです。
その3、明治学院大学の河合克義教授の案。介護認定を自分では申請できない人や、したがらない人もいます。でも、結構こういった人は多い。民間では、これらの人に踏み込むことはできないのが実情です。そこで、やはり権限をもった「公的なヘルパー」が必要というわけです。費用の問題もありますが、河合教授によると、「数百億で足りるし」、「医療費の削減にも繋がる」ので国として推しすすめるべきだと言います。
私が注目したのが、木原孝久さん。福祉関係者の一人として出席されていました。この方の講演を、ちょうど2年前に聴きています。ウル覚えですが、紹介しましょう。
木原さんは、「地域支えあいマップ」を実際につくった方。毛呂山在住で、長年にわたり福祉畑で働いてきた人です。サイトURLは以下です。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~wakaru/index.htm
木原さんによりますと、「公助」や「協助」は不十分とはいえ、各地で取り組んでいる事例は多いが、もっとも注目しなくてはいけないのが、「自助」だといいます。
といいますのは、自分から助けを求めないと、世間からは見落とされてしまうということ。今回の番組内でも、この事についてはさまざまな意見がでていましたが、この方々をどうするか!ここが最大のポイントのようです。
木原さんが調べたところによりますと、自分から手を上げる人というのは、全体の数パーセントだといいます。つまり、圧倒的に多くの方が黙っているというのです。でも、逆に声を発せれば、多くの方が「手助け」するといいます。その数は、10人に9人、つまり90%にもなる数。さらに、人から言われなくても、お手伝いするという人が、なんと20%もいるようっです。まだまだ日本も捨てたものではありませんね。しかし、多くの方が、声をあげません。
人は誰しも、人を助けたいと思っている。これは事実のようです。助けられたくは無いが、助けることはしたい。そんな気持ちですね。これを、利用しようというのです。
高齢者の方に対して、「地域のために○○、やってくれませんか!」こんな問いかけをしたらいいようです。
自分は、やってあげているんだ!それが生きる力になるようです。これ、言葉がけのポイントですね。
そういえば、私の最近の関心ごとは、幕末史。長州藩に吉田松陰がいましたね。彼が、密航の咎で捕まり、藩の獄舎「野山獄」にいれられたときの話しがあります。いろんな人が入獄されていました。もう10年以上、独房生活です。それで皆がヤケになっているんですね。心が荒んでいる。そこに松蔭ははいったわけです。そして、持ち前の能力をいかして、講義をします。しかし、松蔭はそれだけでは無かったんです。それはどういう事かといいますと、収監されたそれぞれの人に能力があると見たのです。そして、松蔭は逆に教えを請うわけです。短歌がうまい人もいれば、漢詩に長けた人もいた。その人その人に、得意なことを教えたもらうわけです。これが、獄の雰囲気を別のものにしたといいます。
つまり、人のために働く。これが、人間力回復の起爆剤になるのです。脳科学の世界でも、このことは提唱されていますね。「人が一番頭をつかって、生き生きできるのが、人に教える時や、人のために何かをする時」だといいます。
これは、今回の「無縁社会」への鍵となるのではないでしょうか。
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