「ビジネス・インキュベーション」の世界で「神様的な存在」がいます。それはサイモン・バリント氏。ニューヨーク州の小都市トロイにある、研究大学「RPI」のマネージャーです。驚くべきことは、「RPI」は、全米2万社に対して、支援をおこなっているということ。そして、支援した会社が、どれも結果をだし、目標に到達しているそうです。
このサイモン・バリント氏が、最重要ポイントしてあげているのが、「個人の包括的な支援」。起業といいますと、とかく会社や組織を見てしまいますね。しかし、起業・創業・小企業において、大事なのは「その会社の経営者」本人だといいます。この経営者の行動・言葉によって、事業は前に進めるか、それともドボンと穴に落ちてしまうかするわけです。
「ビジネス・インキュベーション」では、それをおこなうく「インキュベーション・マネージャ(IM)」の質が問われるということになります。IMの活動の良し悪しが、担当した相手の成否に関わるからです。IMの仕事では、起業家への心理的なサポートも必須といわれています。ここが見落としやすい点ですが、この部分が要であると同時に、もっとも難しいポイントにもなりますね。なぜかといえば、IM自身の資質にもつながることだからです。
ちまたでは、「トレーナー」「コーチ」「メンター」など様々な呼び方で、支援をする人たちを呼んでいます。この「IM」に一番近いのが「メンター」でしょうか。実際に起業した人自身が支援するということ。「メンター」は、自分の実体験のなかで成功失敗事例など多岐にわたって話すことが可能で、事細かな助言が起業家にできるということでしょう。今までの、中小企業支援の理屈が「起業」では、ほとんど通用しないと言われていますね。役人や役人主導で育成された助言者・指導者。彼らの「起業支援」の中心課題は、法人設立や資金計画などの項目に特化していますから、ある意味当たり前ということでしょう。
バリント氏は、起業家のメンタルにも着目。これを中心課題として取り組んだため、全米で多くの成功を得たともいえるでしょう。
起業家の生身の人間をみる。そのことによって、どこに問題があるかが、分かってきます。また、将来的にどんな問題が発生するかも、読めるようになるでしょう。そうなれば、成功確率は数段にあがるはずですね。
最後に、サイモン・バリント氏の言葉を引用しましょう。
「インキュベータ自体が有力なわけではありません。力を持たない一組織に過ぎないのです。ただし、地元のコミュニティ、たとえばベンチャーキャピタル・大学教官・学生・税理士や弁護士などと力をあわせれば、起業家を成長させる力が発揮されます。」
やはり、大物ですね。大物は、謙虚といいます。この言葉だけでも、偉大な人物だと思いますね。
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