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アイヌ民族関連報道クリップ

アイヌ民族・先住民族関連の報道クリップです。各記事の版権は発信元にあります。

【白老】アイヌ民族の知恵学ぶ 「山のイオル 自然観察」(苫小牧民報)

2011-06-27 00:00:00 | イベント情報・書評
【白老】アイヌ民族の知恵学ぶ 「山のイオル 自然観察」
(2011年 6/27)


白老のポロト自然休養林でアイヌ民族の知恵を学ぶ参加者たち
 国が白老町で進めるイオル(アイヌ民族の伝統的生活空間)再生事業の体験企画「山のイオル 自然観察」(一般社団法人白老モシリ主催)が25日、同町ポロト自然休養林などで開かれた。一般参加者約10人が、樹木を生活や信仰の道具に活用したアイヌの人々の知恵を学んだ。

 山、川、海をテーマに開いているイオル体験は、アイヌ民族と自然がどのような関わりを持っているか、伝承者の話や実体験を通じて学ぶのが特徴。ポロト自然休養林では、地元の自然ガイド・鈴木克司さん、しらおいイオル事務所「チキサニ」学芸員・押野里架さんの案内で林内を散策。ハリギリは丸木舟、ホオノキは矢筒として活用、カツラはアイヌ語で「ランコ」と呼び、後志管内蘭越町の地名由来になったことなどを学んだ。

 このほか、昼食にはアイヌの食文化に関連付け、シカ肉カレーやコクワの実ジャムで味わうヨーグルトが振る舞われたほか、「カリプ」と呼ばれる輪投げに似たアイヌの子供たちの遊びにも挑戦。参加者たちはアイヌ文化への関心が一層高まった様子だった。

■ 登別で「アイヌ文化を伝えた人たち展」がきょう開幕(室蘭民報)

2011-06-25 00:00:00 | イベント情報・書評
■ 登別で「アイヌ文化を伝えた人たち展」がきょう開幕
【2011年6月25日(土)朝刊】

 NPO法人知里森舎(横山むつみ理事長)主催の「アイヌ文化を伝えた人たち展」がきょう25日から、登別市緑町の市民活動センター・のぼりんで開かれる。アイヌ神謡集を著した知里幸恵はじめ、今年没後50年となった育ての親として知られる金成マツ、言語学者の真志保など登別が育んだ6人を紹介。「アイヌ文化を知ってほしい」と大勢の来場を期待している。



 郷土のアイヌ文化を伝える目的で初開催する。幸恵(1903~22年)、真志保(1907~61年)姉弟のほか、父高吉(1884~1961年)と母ナミ(1879~1964年)、祖母のモナシノウク、金成マツ(1875~1961年)にスポットを当てた。

 会場には6人の貴重な写真資料7枚のほか、知里・金成系図、アイヌ神謡集関連のパネル3枚が並べられ、写真の下には解説文を付け工夫も。また昨年9月オープンした「知里幸恵銀のしずく記念館」(登別本町)の紹介パンフレットや周辺の植物紹介パネル、同館所蔵の書籍4冊を一般公開する。

 開催前日の24日午前から、知里森舎と市職員ら6人が最終準備を実施。破損がないか展示作品の状態を点検。入念に照明の調整や会場レイアウトなどを決めていた。横山理事長は「展示を見て記念館に足を運んでいただければうれしいですね」と期待を込めていた。

 期間は7月7日まで。入場無料。同センターの開館時間は平日午前9時~午後10時、土・日曜日は午前9時~午後6時。
(粟田純樹)

人模様:人類学者が開くギャラリー--杉山是清さん(毎日新聞)

2011-06-25 00:00:00 | イベント情報・書評
人模様:人類学者が開くギャラリー--杉山是清さん

 「民俗学者の宮本常一、文化人類学者の川喜田二郎氏の薫陶、指導を受けて、若い時からへき地ばかり歩き回っていました。そんな中で、北海道でアイヌ文化を守ろうと一生懸命だった萱野茂さん(元参院議員、06年死去)と出会い、二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館を作るお手伝いをさせていただいたのがきっかけです」

 東京駅に近い京橋1丁目に、地元育ちの縁もあり、昨年5月オープンした「ギャラリー・モーツァルト」(03・6228・6848)の主人は、生態人類学者でもある杉山是清さん(56)。「遠い昔から自然を大切にしてきたアイヌの人たちは今でいうエコロジスト。家族、地域、みんなの幸せを願って作った道具を多くの人に見ていただきたい」とアイヌ民芸展を年に10回開催。「観光客の土産用の熊の木彫りが少なくなり、写実的なトンボやクモなど題材や造形も現代にマッチしたものが多くなっています」

 30日まで、吉川英治文化賞を受賞した古布絵作家、宇梶静江さんと娘良子さんの作品展を開催中。【網谷隆司郎】

毎日新聞 2011年6月25日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110625dde041070029000c.html

奇跡の少女 知里幸恵(朝日新聞)

2011-06-24 00:00:00 | イベント情報・書評
奇跡の少女 知里幸恵
2011年06月24日

■民族の誇り 見事な翻訳
 1918(大正7)年、アイヌ語研究者の金田一京助は、旭川に住むアイヌの口承叙事詩、ユーカラの優れた伝承者である金成マツさん宅を訪ねました。
 アイヌ民族の伝統文化の収集記録に奔走していた金田一は、ここで一人の少女と出会います。彼女の名は知里幸恵。この時、15歳。登別で農業を営むアイヌ民族の知里高吉の長女として誕生し、6歳の時に祖母と伯母・金成マツに引き取られ、ユーカラを子守歌に育ちました。頭が良くアイヌ語も日本語も流暢(りゅうちょう)に話しユーカラにも詳しい幸恵は、金田一にとって、まさに「天が私に遣わせてくれた天使」であり、奇跡の少女でした。
 幸恵もまた「ユーカラは貴重な文学」という金田一の言葉に民族の誇りを呼びおこされます。多くの人にアイヌ文化の素晴らしさを伝えたいと、心臓病に苦しみながらもユーカラの翻訳を開始。ノート1冊を仕上げるのに7カ月もかかったそうです。翻訳はあまりにも見事で美しく、すぐに出版が決まりましたが、幸恵は校正終了を見届けると同時に19歳の若さで早世。翌年、刊行された「アイヌ神謡集」が多くのアイヌ民族に力を与えたのは言うまでもありません。
 さて、「語学の天才」と言われた幸恵ですが、実は音楽の才能も優れていたそうです。美声だった幸恵がよく歌っていたのは「赤とんぼ」だったそうですよ。
   ◇
 知里幸恵(1903~22)。登別市生まれ。金田一京助の勧めで口伝えだったユーカラのローマ字での表記と和訳に取り組む。13編を収めた「アイヌ神謡集」はアイヌ民族自身によるユーカラの本格的記録の最初のもの。言語学者、知里真志保の姉。

アイヌの世界(朝日新聞)

2011-06-17 00:00:00 | イベント情報・書評
アイヌの世界
2011年06月17日

■アイヌの世界
 瀬川拓郎《著》
■文化の主体的な変容描く
 アイヌ民族の伝統文化を語る時に「狩猟採集民」や「和人による同化」の側面ばかりに焦点が当たるのは、アイヌ史の一面的な見方ではないか――。著者はそんな問題提起のもと、考古学の立場からよりダイナミックなアイヌ史に迫る。
 興味深いのが、アイヌ文化の中核「クマ祭り」の起源だ。著者は、縄文社会で共有されていた「イノシシ儀礼」が続縄文期にクマに置き換わり、「縄文イデオロギー」がアイヌ文化に継承されてきたと考察する。
 さらに、日本書紀にある阿倍比羅夫の北方遠征の実像や、アイヌ文化の中の日本語とマタギ文化の中のアイヌ語、奥州藤原氏とアイヌの関係などのトピックの謎解きを試みる。
 アイヌ文化の源流である続縄文人の本州への南下やオホーツク人の南下、日本人の石狩への移住といった出来事を経て、アイヌ民族は異文化との濃厚な接触の中から自らの文化・社会の様態を主体的に変容させてきた。著者が描き出すのは、多様で動的な生き生きとしたアイヌ史だ。
 著者が言うように、まだ着想の域を出ない論考もあるが、「アイヌ史の可能性」を感じさせる刺激的な本だ。
 (講談社選書メチエ・1575円)

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000861106170001