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東北 12/6(火)②北上川

2006-07-16 21:14:38 | 旅行
中尊寺からそう離れていないところに、奥州藤原氏ゆかりの史跡が数多くあります。

毛越寺(もうつうじ)
高館義経堂(たかだちぎけいどう)
無量光院(むりょうこういん)跡    …等々。

高館義経堂とは、名前の通り、源義経に関係のある場所です。
兄の頼朝が天下を取った後、その功労者であるはずの義経は失脚させられました。
そこで彼は、青年期を過ごした平泉に身を寄せたのです。
当時のこの地の覇者、奥州藤原氏に与えてもらった土地が、この高館。
ここは、義経が最終的に自害したとされる場所でもあります。

奥州藤原氏にとって、この義経を匿ったことこそが、滅亡の原因となりました。
頼朝は、それを口実に平泉へ攻め入ったわけですからね。
この地は、日本史上の大事件に関わっているのです。
江戸時代になって、松尾芭蕉はこの高館で句を詠みます。

「夏草や 兵共(つわものども)が 夢の跡」

おそらく、このような風景を見て感じるものがあったのでしょう。

…季節が正反対ですけどね。

ここに写っているのは北上川。
岩手県から宮城県まで流れる、東北一の流域面積を誇る河川です。
この周辺が「蝦夷」と呼ばれていた時代には、朝廷との境界線の役目も担っていたようです。
高橋克彦の小説『炎立つ』などには、戦略上の要所として、この川がよく登場します。

この風景を見ながら、僕はしばらく、ボーっとしていました。
こういった何もない場所でも、歴史を感じることが出来るものなんですね。
芭蕉に感化されたわけではありませんが、そんなことを考えておりました。
僕はそれまで、城でも寺社でも記念館でも、何かがないと目が向かなかったのです。
今回の旅行は、アタリもハズレも含めて、そういった「箱もの」ばかり巡っていたように思います。
最後の最後に、それが間違いであったことに気付いたのは、大きな収穫でした。