■しばらく旅日記が続きます。小倉駅までバスでえっちらおっちら出るうちに予定が固まりました。この日は午後から福岡市内で観劇しようかとぼんやり考えてまして、そのうち1本は偶然こちらに来てた京都の「ニットキャップシアター」だろうなあ、と考えつつTwitterをいじっていたら、TL上でもう1つ急遽お誘いが入り、2本の観劇をすることに。本当はゆっくり北九州市内を回りたかったのですが、とりあえず海の見える場所には行こうということで、戸畑駅でJRを降りました。
■5市が合併して出来た北九州市にあって、同じ政令市の名古屋にないものに、「渡し船」があります。それも市営の。洞海湾を渡るごく短いものですが、ここまで来たらぜひ体験してみたいと思いまして、歩いて乗り場にむかいまして、いやびっくり。真っ赤な若戸大橋の真下に比喩でなくミニチュアのような市営渡船乗り場がありました。
■普段は通勤通学の足になってるんでしょうが、土曜日の午前中ですから自分を含めて乗客は4人。100人定員なのに…。暑くもなく、ジメジメもせず、だけど風はもう少し欲しいどんより加減の中海をするーっと船は滑りました。あ、ニッスイの建物なのかあ。この写真だけでなく、戸畑、若松周辺は海運がさかんだった時代の名残か、雰囲気のある建造物がたくさん目に付いたのも収穫でありました。
■市バスで若松駅から筑豊線に乗り、折尾へ。ここから少し戻り、枝光本町商店街アイアンシアターへも寄ろうと思ったのですが、休館日ということでやむなく断念。「かしわめし」買って博多に向かうことにしました。博多着後、慌てて西鉄ホールへ。グレコローマンスタイルの旗揚げ10周年記念公演「黄昏のジャーマンスープレックス・ホールド」を。特定地域密着型プロレスコメディー、と銘打っていることにこのブログ書いている今、気付きましたよ。本物の地域密着プロレス団体、九州プロレスからの2選手もキャストに加わって阿鼻叫喚の…、という会場には意外なほどならず、逆に少しだけ本物のファイトシーンがラストに来てしまったことが、上演そのものの印象を薄くしてしまったように気がして残念でした。
■自分も集中チ療室の時等、舞台上で楽器を弾いたり等、演劇と異なるジャンルの芸事を導入する企画に関わったことが何度かありましたが、舞台上でジャンル同士が互いを消し合う危険性が常にあるなと感じつつやっていました。つまり、役者がどちらもやる場合は手を抜いてはいけないのは当然のこととして、そこそこ出来るというレベルではなく、素人が想像し得るできるかぎり極限の技量を目指さねばならないという意味で、そういう形態の公演はハードルがおのずと高くなってしまうのです。
■冒頭の、村の青年たちの会話を例えばスピードや掛け合いの密度をもっと詰めた演出をしていれば、その後臨時コーチを引き受ける筑前りょう太選手の朴訥とした感じがもっと浮き立って見えただろうし、その後のど迫力のファイトとの対比もより鮮明になったのではないか、と。そういう意味で非常にもったいなかったと感じましたが、役者が全員カラダを張っていたのだけは見て分かりましたので、嫌な印象はあまり抱きませんでした。ていうか張りすぎだよあんたら…、と心配になるくらいに。その男気に免じて、筑前りょう太グッズを求め、お誘い頂いた劇団天地(現場にヘルプで入ってみえた)の制作、濱田さんにご挨拶して天神の街へ出ました。濱田さん、ありがとうございました。
■と、天神地下街で一服(その間もiakuの票券業務)ののち地上に出ると、一雨が来そうな感じ。急いで祇園のぽんプラザホールへ。何故か再演に立ち会うことになったニットキャップシアターの「ピラカタ・ノート」を観劇。初演のちくさ座での公演以上に凝縮した空間で、テーマがより明確に伝わるようにブラッシュ・アップがなされていたことだけは記しておきたいと思います。あと、ごまのはえさんはやっぱり変人だ。おかしいわ、あの人。
■その後、お決まりのごとく劇団メンバーと、福岡の若大将(と私が勝手に呼ぶ)FPAPの高崎事務局長、そして今朝はお会いできなかったアイアンシアター芸術監督の市原氏にも無事に邂逅が叶い、大満足な九州最後の夜でございました、と。高崎さん、宿を急遽都合して頂きありがとうございました!ほんと助かりました…。
■起きると大雨。もんのすごい大雨。慌てて空港に向かう途中で見かけた、山笠の準備風景を見て、ああ、もう1度来たいなあここと素直に思いました。また来ます九州。ありがとう九州。
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