オロチを鎮めるという任務の重圧に揺らぐイブキ。ヒビキは鬼の姿にならず、傷つきながらも魔化魍と戦い続ける。一方、明日夢は直美のためにパネルシアターに挑戦。そして、オロチを鎮める清めの儀式の日が決定。鬼達は、それぞれの想いを胸に戦いへと立つ。
「鬼になるっていうのは、変身するっていうことじゃないんだよね。
怖いと思う気持ちと戦う。そういうことだと、俺は思う」
「ヒビキさんでも、怖いと思うことあるんですか?」
「いつでも怖いよ。だから、一生懸命鍛えてる。また、生きるために」
そういえばヒビキさんは、初詣で何をお願いしたのか聞かれ
「俺か?俺はねぇ、二人が早く一人前になれますようにって。
それともうひとつ。今年一年、また生きることができますようにって」
と答えていたっけ。
「また、生きるために」
明日夢くん。
彼の良いところは常に周りを見て、立ち止まってじっくり考えて
足元を固めながらゆっくりだけど着実に進んでいく姿勢だと思うんですけれど。
そんな明日夢くんに対してヒビキさんは「鬼の道っていうのは、迷いながら歩く道じゃない」
「自分の生きる道を決められないやつに、何の人助けができるんだ」と突き放します。えぇぇ!?
しかし、たちばなに戻ってから、明日夢くんのことを穏やかな表情で話すヒビキさん。
「俺には師匠がいなかったからさぁ。それでも、自分ひとりで鬼になった。
それがいつも、大きな自信だった。
でも。何かを伝えたいヤツができて、わかったことがあるんだ。
自分を必要としてくれている人間がいるって」
ヒビキさんが弟子を取らなかった理由は、「自分ひとりで鬼になった」ことだったんだなと。
意外とね、つながりが希薄だった。
むしろそんなヒビキさんに「つながること」を教えたのが明日夢くんだったのかもしれない。
「また生きる」という言葉を受けて
「それって死ぬとき後悔しないよう、一生懸命生きるってことだと思うんです」と応えた明日夢くんに
何かを伝えることができた喜びとか、もっともっと伝えたいという願いとか、
そんなのが生まれたんだろうなって。
「人を助けることに一生懸命になれるから、俺は鬼になったんだ。
人助けをして、また一生懸命生きて。人助けをして、そしてまた一生懸命生きて。
俺はこれからもずっと、そうして生きていきたいと思う」
2話で何をやってる人なのかと問われたヒビキさんが
「人助け、ってとこかな?」と答えるシーンがあるんですけれど。
つながってるんだよな。なんかこう、
大事なところはちゃんとつながって作られているから、すごく嬉しく思う。
鬼の修行を中断した明日夢のもとへやってきた京介。掴み合いの喧嘩になります。
すごいよな。あの二人が、こんなに自分をむき出しにして喧嘩をする日が来るなんて。
あのほんわかマシュマロみたいだった明日夢くんが、良い表情で睨みつけるんですよね。素晴らしい。
童子と姫。造り主に逆らった二人は、自分が何者かを問い続けたまま
最後は塵になって消える。切ない。いや本当に何者だったんだろう彼らは。
ラスト。オロチ封じの戦闘シーンと、パネルシアターで朗読する明日夢。
パネルシアターでは「金の斧銀の斧」をやっていて、何か関係があるんだろうなと思っていたら、
「お前はなんて嘘つきで、欲張りなんでしょう」
のセリフで画面が切り替わります。鳥肌たった。そこ?そのセリフなの!?
前回の「死にたくない」と涙を流したイブキさんの姿を受けたヒビキさんは、
おのれの恐怖心を克服するために、鬼の姿を借りぬまま魔化魍を倒したのち、
イブキさんをだまし討ちにする形で、オロチ封じの儀式を自らの手で始めています。
・・・だから、ヒビキさんは「嘘つきな木こり」なのか?
鉄の斧(鬼としての生き方)も、銀の斧(弟子)も得て、なおかつ金の斧(仲間達の命)も守ろうとする。
たとえ、騙すような形なったとしても。
であるならば。欲張りの木こりは最後にどうなった。
あれも欲しいこれも欲しいと全てを望んだ結果、もともと持っていた鉄の斧すら失ってしまった。
怖い。ちなみに我が家にある「金の斧銀の斧」の絵本は、くだんのシーンの女神が
まるで悪鬼のごとく恐ろしい形相で描かれています。不穏すぎる。いよいよ次回最終回。
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