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普段色々考えていることの日記です。

『動く指』 アガサ・クリスティー

2009年07月08日 | 推理小説
動く指 (クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー
早川書房

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『動く指』 アガサ・クリスティー (早川ミステリー文庫)

 森生まさみさんに漫画化してもらいたい!!

 冗談じゃないですよ。
 本気です。
 真面目に彼女に手紙を出してお願いしようかと考えています。

 というのも、これ推理小説というより恋愛小説と言った方がふさわしいからです。
 戦争で傷痍軍人となった兄と美人で男にもてる恋多き妹とがある田舎の村へ静養にやってきて…
 都会の人特有の田舎への優越感でこの村で暮らしていた二人だが、やがて田舎も都市と変わらぬドラマがあることに気付き…
 そして二人に突然降ってくる恋の瞬間!

 まずね、妹のツンデレ具合がものすごくいいんですよ。
 田舎の男なんて面白くないわ、とバカにしていたくせに、恋をした瞬間ものすごくかわいい「女の子」に変るんです。
 男を扱うのなんてお手の物だったくせに、
「どうしよう。私、どうしたら彼に好きになってもらえるの?」
 って、パニックになって、しかもそれを相談する相手が兄だけという…まぁ、つまり彼女の可愛いところを知っているのはお兄さんだけという
 なんか、そういう展開にグッと来てしまいました。

 その兄も、妹の恋バナばかり聞かされていたからか、女性に対してはかなりシニカルな意見を持っていて。
 女嫌いというわけではないけど、妹と同じように男に手練手管を駆使する女性を信用できないという考えを持っていて。
 で、自分が怪我をして足が不自由になったことをこれ幸いと、田舎に隠棲してしまうことを決め込んでいるのですね。
 だから徹底的に若い女性との接触を避けているのだけど、唯一ある変わり者の少女だけはどこか放っておけない気がしてなにかと世話を焼くようになるのです。
 彼女は女じゃない、という妙な理屈をつけて。
 この、女性に興味がない兄が突然取った大胆な行動が、まるで映画のワンシーンかというぐらいカッコいいシーンなのです。

 もちろん、兄の気持ちを兄以上に理解しているのが妹。
 妹は事あるごとに兄をからかいます。
 当然兄は「バカ言え。俺の気持ちはそんなんじゃない」と真っ向否定するんですけどね。
 この妹と兄の会話がまた、この兄妹の仲の良さを物語っていてグッとくるのです。

 まぁ、こんなほのぼの恋愛ストーリーの裏側で、陰惨な殺人事件がすすめられていて。
 その対比が、これでもかというほどゾクゾク来るシチュエーションなんですよ。

 森生まさみさんに漫画化してもらいたい!!


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