腹話術人形けんちゃんの日記

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太宰治の「人間失格」の137ページ・2017年6月04日(日)

2017-06-04 19:35:48 | 日記
太宰治の「人間失格」の137ページ

 東京に大雪の降った夜でした。自分は酔って銀座裏を、ここはお国を何百里、ここ

はお国を何百里、と小声で繰り返し繰り返し呟くように歌いながら、なおも降りつもる

雪を靴先で蹴散らして歩いて、突然、吐きました。それは自分の最初の喀血でした。

雪の上に、大きい日の丸の旗が出来ました。自分は、しばらくしゃがんで、それから、

よごれていない個所の雪を両手ですくい取って、顔を洗いながら泣きました。

「人間失格」140ページの日本語とその英訳・2017年6月04日(日)

2017-06-04 08:02:08 | 日記
「人間失格」の140ページ

 これは、造血剤。

 これは、ビタミンの注射液。注射器は、これ。

 これは、カルシウムの錠剤。胃腸をこわさないように、ジアスターゼ。

 これは、何。これは、何、と五、六種の薬品の説明を愛情をこめてしてくれたのです。

が、しかし、この不幸な奥さんの愛情もまた、自分にとって深すぎました。

最後に奥さんが、これは、どうしても、なんとしてもお酒を飲みたくて、

たまらなくなった時のお薬、と言って素早く紙に包んだ小箱。

 モルヒネの注射液でした。

This is a medicine to build your blood.

This is a serum for vitamin injection.

Here is the hypodermic needle.

These are calcium pills.

This is diastase to keep you from getting an upset stomach.

Her voice was full of tenderness as she explained

each of the half-dozen medicines.

The affection of this unhappy woman was however to prove too intense.

At the last she said, "This is a medicine to be used when

you need a drink so badly you can't stand it."

She quickly wrapped the little box.

It was morphine.