殺戮メドレー

　今日、信じられないミスを犯す。当然のことながらショックもあったのだが、喜びの方が勝った。

　昼前、社長の息子がニートをしている某企業(年商50M程度の零細、リスケ先) が資金不足で約定入金ができないとのことから、折り返し問い合わせ等(主旨:貸した金返せよ、おう、貸した金、はした金じゃねえぞ)の電話をしようとした。過程については本当に記憶にない。当社の電話番号を覚えてはいないので、概要表を開き、確認しながら番号を押したはずだ。しかし……。

　ぷるるるるぷるるるる(ツーコール)、がちゃ、「はい、○○銀行△△支店の栗です」

　え？と一拍。何故だ。間違えて自分の事務所に電話を架けてしまったらしい。「すみません、間違えました」と慌てて受話器を置く。

　事務所の電話番号は当然そらで言える(住所は言えない)のに、それにも関わらず番号を押すときに気付かないなんて、市外局番だってその後の番号だって全く違うのに。

　向かいに座っている後輩の福家と目が合う。相変わらずの老けた顔で、黒縁の厚いフレームの眼鏡も滑稽だ。「間違えて事務所に電話架けちゃったよ、はは」、「マジっすか」と笑い合う。再度概要表を確認し、当社へ架電(主旨:貸した金返せよ、おう、貸した金、はした金じゃねえぞ)。

　勿論ながら損害・クレーム等が発生する類のミスではないものの流石にショックだった。事務所から事務所に電話をしてしまったのだから。けれども、電話に出た相手が栗さんで良かった。本当に良かった。受話器を既に置き、何もなかったように仕事に勤しむ栗さんの後ろ姿を遠くから眺める。

ホームランボールは飛んでこない

　ケータイでネット繋いでダメリの嘆き見たり、日記書いたり、一人思いに耽ったり、自傷したり、大黒の店行ったり、社内の女性と事務的な会話したりで何とかストレスを発散している。

自傷や耽ったり会話したりはタダやから構わへんし、大黒の店は生きるために必要な食事のため行くというのが主旨やから構わへんのやけど、ネットはとにかく金がかかってしょうがない。特に最近はストレスが過大やから使用時間も増えてしもて料金明細が来るのが怖い。auって定額制あるのかしら。ケータイなんて買った時しか行ったことないからわからへん。近くの代理店女性のレベル高いらしいって双(同期)が言うてたし一度行ってみようかしら。

　会社ん中は関西出身が一人もおらへんから喋る機会のない関西弁を使ってみた。

鏡の裏で「世界で一番美しいのはあなたです」というだけのバイト

　鏡に向かい繰り返す。僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる僕は人生をうまくやる………………………………。

　今日は彼女と一言だけ会話をした。僕はたった一言「あ、すみません」と返しただけだが、今日吐いた他の言葉の様に空虚なものではない。生きたものだ。

私の彼女は多面体

　今の自分でいるよりもいっそ気が違えてしまった方が世の中きっと楽しいわと嘆いていた。

　これは正解でもあり間違いでもあった。きっかけなどないが、この世をうまく楽しく生きるには気違いにならなければいけないのだと気付いた。うまく、旺盛に世を生きている人たちは皆気違いなのだ。私はあまりにもまともすぎたのだ。

　着飾ること、多様な趣味を持つこと、他愛ない会話をすること、食事をコミュニケーションの場とすること、友達・恋人等の人間関係を構築することなど、豊かに幸せに生きるには気狂いでなければいけないのだ。麻痺しているのだ。だから皆あれほど苦しい表情など見せず、へらへらと楽しそうにしているのだ。

　「気違いにでもなったほうがいいわ」と嘆くのではなく「皆の様に気違いになりたい」と宣言すべきだったのだ。

～愛する息子へ～この手紙をあなたが読んでいる頃、私はドバイで豪遊していることでしょう

今日は勝と同行島営業。車内はもちろん外でもあらゆる言葉で責められ続けた。車の降り際、勝が最後に一言。「これまであらゆる事したけど○○(私の名前)は全然変わらないよね？どうすれば変わるの？教えてくれよ」

　 何も言わなかった。自分の思いを他人に言うくらいなら気障でクサい嘘台詞でも述べた方がまし。ま、何も言わなかったんだけどね。

　一人になり、私は私の足で立っているのではなく、周囲から殴られ圧迫されているから倒れることが出来ないだけなのだと思った。立っているように見えているだけの虚無だ。

今は私一人高速船に乗り遅れ後発のスロウな船に乗船している。木々の成長の如く、一見分からないが確実に景色は変化している。波も穏やか。一時の解放を過ごすこととする。

ケンカ割烹

思考を変えようと決意してから初めての日。これまでの24年余りの間、努力という努力など全くしたことはなく、当然自分を変えることなどしたこともなく生きてきた私だが、果たして目標を達成出来るのだろうか。

取り急ぎ決済が必要な稟議起案のため朝7時半に出社。しかし掃除のおばん以外誰もいねえ。肩すかしを喰らった感じだがカロリーメイトをココアで流しながらお気に入りブログ等を散策。だらけた奴らを見ると親近感が湧く。

　7時45分。上司出社。金曜日の一件から気まずくなってはいけないと、挨拶をきちんとこなす(明日からはやらないたぶん)。

昨日は先週に引き続き厳しく詰められるも休み明けだからか決意の現れか解らんがそれとなくこなす。ま、決意したといっても別に仕事はどうでもいいんだけど。

昼は新規先から電話相談が有り外に出れなかった。内館の店に行こうおもたのに。昼に架電ってどんな頭してんだよ。

　結局仕事場以外と接点なく、なんらつまらない１日終了。前向きな気持ちをいつまで持続出来るか解らんがやるならやらねば。口の中ナタデココをコリコリ弄ぶ。

機械仕掛けの尻拭い

　今日の日記残そうと思ったけどもバスの中ではすべて打ち込めず、家では持ち帰った仕事に取りかかり、気づいたら深夜。昨日の幸せだった部分だけ忘れないように残す。

独り言でもよいから思っていることを口にしたい。日々において口から本心など全く出さないからだ。今日の、思ったけども口にしなかったこと。

　「月曜日のサークルKのバイトの娘アニメ声だけどめっちゃかわいい。その後寄ったスーパーのレジバイトの娘、声が千葉真子みたいでこれまためっちゃかわいい(今日はマスクしてたけども花粉症だろうか)。両店はしごしてよかったわあ。ただ、めがね外して裸眼だから顔が全然出てこない。今、ふと思った。行方不明になったセブンイレブンのアニメ声の店員さんといい、最近は身近にアニメ声が溢れている。しっかし共通して顔が出てこないんだよなあ…。」

一人きりサラウンド

　か細い私を支えてくれる人をなんとしてでも勝ち得ないといけない。喜びを避けつつも果てない苦しみに襲われるようになった今、勝ち得なければこの真っ暗闇の中生きてはいけない。手がかりを掴むのだ。

　金銭然り、人との繋がりは交換により成り立っている。私は勝ち得るために何を提供できるか。喫緊の課題だ。しかし答えを出さなければならない。これまでの生き方から導き出されたものは結局、苦の道だったのだから。

　話は変わり 大学時代、同学部同学年の中国人留学生が好きだった。初めてポスター(JRのポスター、車内でしゃがみ込みこちらを覗いているもの)を盗もうと思うほど好きだった上戸彩似の人で、偽物のスヌーピーがプリントされたシャツを着た女と常に行動を共にしていた。

大学の4年間で会話をしたのは教室で席を譲った一度きりだったが、乗る電車が同じ方向で、同じ車両に乗り込みよく眺めていたものだ。今頃どうしているのだろう。知る由もない。

結局見ているだけではだめなのだ。

選択的透過性

　日曜日。昼一時頃起床。手持ち最後の飲食物であるスープヌードルを食し布団の中からマラソン・競馬等を見る。

　飲食物が枯渇したことから、夕方、腰を上げてヒドい寝ぐせを直す、着替える等の所作を経た後自転車にてスーパーに向かう。知らぬ間に外の雪はほぼ溶けていて道路の一部や植木に残っているのみ。ここ数日で世界は大きく変わってしまった。

店内は家族連ればかりで明るく・活気に満ちている。彼らは勝ち得た関係を誇示する気はないのだろうが、劣等感、疎外感、そして苛立ちが独り身の私を襲う。足早にお菓子等の買い物・会計を済ませ、晩ご飯にとマクドナルドに立ち寄り、百円マックのチーズバーガー、シャカシャカチキンを購入。

　家にてチキンに香辛料をまぶし袋をシャカシャカと振る。部屋に虚しく音が響く。チキンをかじりながら、絶対に関係を勝ち得るのだと強く思った。

南国ストライカー

2006年4月

「今東京です。とにかく電車乗るだけだが疲れた。それはさておきこれからは携帯なんでよろしく...みんなにも伝えといて。」

「お休み。俺も寝るよ。これから本格的に研修始まるし、体力ないからね……。」

「俺は今研修寮。なぜかほかのみんなは二人部屋なのに俺は一人部屋……。正直助かったよ……。みんながなかよくなっていくなか、とりのこされてるけどまあぼちぼちやってるよ。で、みんなにメールしてくれてありがとう。東京、こちらは小雨です。」

「世間話か……。苦手だなぁ……。まあ何とか隙をみてやってみるよ。カラオケないといいね。」

「最近寝不足なんで今日は早く眠れそうでうれしいよ。まあ……朝起きたそのときから、これから12時間くらい拘束されるのかと考えて鬱になるけどね。
飲み会、俺は周り気にせず飲む方です。さっさと酔っ払ったら楽だよ。ただ、二日酔いしないようにね。健闘を祈りつつ寝ます。」

「返事遅くなってごめん。研修中だったから……。
んで、もう退社した頃だよね？満員電車、そして初出勤お疲れ様。もしかしたらこれから歓迎会かな？いい先輩いるといいね。
俺は研修まだつづくけど人付き合い以外はなんとかこなしてるよ。」

「遅くまで乙かれ。itのいうとおり、挨拶はしようと思うよ。少しくらいでもつながりもっておかないとやばいかなと思い出してきたんで……。
itはすごい人間関係努力してるから俺も見習わないとね……。
寝て起きたらすぐ仕事と考えると鬱だが俺も寝るよ。お休み。」

「おはよう。今日行ったら休みだね。おれのとこは土曜も研修あるけど。
えっとアドバイス通り挨拶実行ちょこっとしてます。俺は話しかけにくい雰囲気がでてる人間だと思うけどすこしは改善しないとね。お互い仕事も人付き合いも頑張っていこう。」

「初出勤行ってきました。先輩の顔色伺いながら質問してばかり…………。途中からしんどくなって頭痛くなったよ…。itはよく働けるね……。明日休みだからよかったけど、これから平日ずっと働くと思うと滅入る。なんか気分転換の方法ある？」

「歓迎会おわった。苦手な自己紹介はなんとか自虐で乗り切ったよ……。
親には結構盛大に送り出されたんで帰りづらいけど何とか粘るよ……。
お互い慣れるまできついだろうけどなんとかがんばろうね…。
うちはみんな定時過ぎてるも仕事してるんで帰るの遅くなるけどね……。」　


　入社前の実家時代にネットで知り合った人とのメール、入社直後のものを抜粋(私送信分)。今でもたまにメールする繋がり。周囲に打ち明けられる人がいないので、すごく助けてもらっている。