阿部卓馬ブログ

北海道新ひだか町サポート大使のシンガーソングライターです。ライブ告知、活動情報などを中心に更新しております。

「七次元よりの使者第1巻」五井野 正

2011年07月19日 | 読書
五井野正博士の著作はこれまで何冊も読んでおりますが、レビューというものを書いたことがまだありませんでした。

というのも、五井野博士の著作は共通して、科学・政治・経済・社会・宗教・歴史・芸術などなど、世の中のことを縦横無尽に語られており、難解な問題を読者のレベルに合わせて丁寧に解説されたり、ときにはある対象について一面的ではなく多面的な角度から理解を促したり、更には一気に次元を上げてレベルの高い話題に移行したり…と一度読んだだけではすべてを把握することはもちろん出来ず、また何度も読み返していくうちに新しい発見があったりするという、不思議な書物なものですから、簡単に感想を書けない、書いたとしてもそのときの自分の意識や認識の範囲でしか書けない、ということが言えるからなのです。

しかし、書かないままでその他の方々へ五井野博士のご紹介が出来ないというのももったいないので、今回は今の私の段階でのレビューを書いてみたいと思いますので、そのあたりをご了承ください。



この「七次元よりの使者第1巻」の初版は昭和50年8月8日発行で、私が入手したものは昭和54年6月27日の第5刷です。

目次

第一部 祭りの前夜(後編)

1.七池伝説のはてに
2.火山パニックー政治の掛け引き
3.UFOと少年
4.雄一という若者
5.五次元の点と四次元世界とは
6.深まりゆく秋の夜
7.祭りの前夜

第二部 富士は燃ゆ

1.暑い夏



全体として、その後発刊された第0巻(だいれいかん)の「落ち葉の落書き」という前書きで、初めての小説で三週間で書き上げたものだから無茶苦茶だった、と述べられておりますが、内容的には広く深く、といったような五井野博士特有の表現が至る所にありまして、読み応えがありました。基本的に物語のようにお話は進んでいきますが、時として鋭く現代社会の抱える様々な問題について、直接解説したり登場人物に代弁させたりする場面は、強烈に読者の心に訴えかけるものがあります。



今の段階で印象に残っている部分を挙げてみます。

「2.火山パニックー政治の掛け引き」では、自然災害対応における現代の国家や政治家のものの考え方を詳細・明解に記述されております。実際の自然災害やその対策について、国政・経済など自己の利益に繋げる流れがあることは、現代の資本主義社会では当たり前に繰り返されている事実であり、それを改めて感じさせられました。私個人的には今回の東日本大震災でもそのように考えているような政治家や財界人もまだまだ多いような気がします。



次は引用から。以下は登場人物の石川雄一が美佐子と部屋で会話をするシーンでの雄一の発言です。

五井野 正 著「七次元よりの使者第1巻」p140-141より

「今日、君と列車で会った時、チョコレイトをあげたね、君は僕の好意を素直に受け取ってくれた。好意というのは品物で示せる事が出来るけど品物で好意を得る事は出来ない事位僕も知っている。僕にとってチョコレイトもこのマンションも同じ事なんだ。そう今、君に必要な物は仕事と部屋なんだ、君はさっきレストランで安くてすぐに入れるアパートがないかと僕に尋ねた。僕はそれを探さなければならない義務がある。

出来る事はやってあげるのが当然だ。それが社会だと思っている。僕一人でもそれを主張し実行していかなければ社会は社会の機能を失ってゆく事になると思う事がある。人が利害の中で人に何かをしてあげるというのが現実だとしても又、それを期待して何かをするというのももっと僕にとっては否定したい現実なんだ。とにかくイヤなんだ、そんな社会に自分が住んでいかなければならないと思うと何処か他の国へ逃げたい気持なんだ。僕が旅をし、遺跡関係を調べ廻っているのもこんな処からの理由が多いんだ。だからせめて僕の接触している世界だけはそういう世界であって欲しくないと思うんだ。気持が相手に単なる気持として通じる世界でありたいと思っているんだ。(後略)」


私の個人的解釈ですが、この石川青年の発言には五井野博士の気持が込められているように感じました。五井野博士は一貫して「気持」というものを大切にされていらっしゃいます。理屈や論理、利害からではない、「気持」から出てくる行動が、人間にとって何より大切であることを、いろいろな著作や講演でも強調されております。これまで公害や汚染、ガンなどの病気、今では放射能汚染に対してまで、博士はその対策を様々な形で表しており、その行動の最大の原動力は五井野博士が持つ「気持」であるように私は感じます。しかし、それだけのことを為すための「気持」というのはどれほどのものだろうか?!そう思うと、本当に頭が下がる思いなのです。

(続く)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まお)
2011-07-20 18:07:17
『新七次元よりの使者』の段階にそろそろ移るそうですね。
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コメントありがとうございます (アベタク)
2011-07-21 06:30:25
> まおさん

コメントありがとうございます(^^)

コメントいただいた内容がどの方面からの情報かわからないのですが、時代の大きな変革は近いのかもしれませんね。
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