毎年受けている健康ドックの結果が送られてきて、悪玉コレステロール値が高く治療を要するとのこと。
これまでも警告を受けていたのだが、血圧も、血糖値も正常なので、食事で改善するつもりで、医者に行かなかった。
健康ドックで問診した医者に「この値はかなり高い。もし今年も変わらないのなら、治療を受けないと、心筋梗塞や脳梗塞が起きても不思議ではない」と脅されたので、今日、実家のすぐ近くの医院へ行った。
両親が長年かかっている医院もそんなに遠くはないのだが、医者も高齢で、いつも長く待たされる。今日行った医院は、実家の窓から見えるところに、数年前にできた。
喘息で悩まされていたころ、あちこちの医院へ行ったが、医者が新しい医療を勉強していないのではないかと疑いたくなるようなところが結構あった。
今日行った医院は、合理的な医院経営や診察システムを考えているなあということがすぐわかった。待ち時間も少なく、診察室に入ると、すぐ頸動脈のエコーを取った。
頸動脈は脳にいちばん近いから、脳の血管の状態を見るのにいいのだそうだ。
5ミリの頸動脈が、3センチぐらいに拡大されて映るパネルを見ながら、「このでこぼこしたところの血管の厚さを測ってみましょう。正常な厚さは1ミリ以下なのに、1.6ミリもあるでしょう。放っておくと、どんどん厚くなって、これが剥がれて脳の血管に入ると、脳梗塞が起きるんです」などと、解説してくれる。
このごろは、医療技術もさることながら、医大でも医者のコミュニケーション能力が重視されるようになったと聞く。大病院で父の検査に付き添ったことがあるが、CTスキャンだ、MRIだ、何とかマーカーの検査だと、医者自身がハイテク機器やデータに振り回されている感じがした。
今日、診察したA医師は、私より少し若い年代で、ハイテク機器やコンピューターをうまく使いこなして、患者を納得させる技術を身に付けているなと感心した。
いつの間にかコンピューターに入力された私のデータ(これが電子カルテというのかな)を見ながら、今後の治療方針を説明してくれる。
私が「よくわかりました。頑張って治療を続けようと思います」と言うと、A医師は「そのように分かってもらえることが、医者として一番うれしいんです」と言う。
診療開始時間の少し前に実家を出て、エコー検査、説明、血液採取、薬をもらって支払いを済ませるまで、1時間もかからなかった。
診察券や、医院のパンフレットは手作りだということが分かる。血圧や高脂血症に関するプリントを、「私が作ったんです」と手渡されたのも、気に入った。
近いということだけで選んだが、いい医者に当たってほっとした。
とりあえず半年は、コレステロール値を減らす薬を飲むことになった。