介護ホ―ムで、伯母と再会出来た後、帰り際に待ってましたとばかりに
「お話があります。」と会議室へ案内されました。
30代後半の男性。
今の状況をどんな風に把握しているのか尋ねられました。
そして、この状況は法律的にはあまりよい状況ではない。
呼ばれたら、早朝でも夜中でもすぐ来ることが出来るか。
出来ないと本当はいけないんだ。
ということも話されました。
若いし、一応、優しい感じで話されるので、
言いたいことは分かるけれど
こちらもどう返そうか、考えました。
そんな中、同じ事を繰り返して話されるので、
一日も早く出て行ってくれとしか聞こえなくなってきて、
今、こうして色々話されているのは、そういうことなのかと聞きました。
ぼんやりした女性(私のこと)がいきなりはっきり聞いたので、
男性は驚いていました。
そういう訳ではない。これから相談にのります。って。
??? 相談にのる??? やっぱり、出て行ってくれってことね。
でも、この老人ホ―ムの方へ母は書類を送付したので、
介護ホ―ムで待機している状況になり、
更新を重ねていくことは可能で、
このまま、お世話になることになるのですが。
行き違いになっているだけなのです。
地元へ連れて帰る・・・何度も言ってましたね。
すぐ来なくちゃいけない、来れないでしょとも。
地元へねええ。連れて行くの??。 5時間半かかるのに?。 新幹線で?
80歳の介護5の人を??
言いたくても言えない。言葉を飲み込まなくちゃいけない。
煮え湯を飲まされる感じでした。
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翌日、「お昼に来るね」 と伝えていたので。
早く行かなくちゃ。
そうそう、その男性もいる事務方の方々へ手土産も買いましょうね。
神戸駅で。
今回は、バスで行きましょう。210円で済みますからね。何度も行ける。
千鳥屋さんで
高級な和菓子をたくさん購入。
あっ、そうだった。 病院へ行く時にひざ掛けがあった方がよかったわ。
地下にお店があったから、探しに行きましょう。
時間のない中、何か買わなくちゃ。でも、どこに行けば
売っているか分からない・・・あ、子どもの雑貨屋さん。
ここで、探しましょう。なんとか、可愛らしくて、手触りのよい
ひざ掛けが見つかりました。大き目で厚手のパンダの絵柄を1枚。
もう1枚、普段使いの薄手の使い易いものを購入しました。
バス乗り場も分かったし、下車する停留所も大丈夫。
停留所からは、2・3分歩くともう到着。
どこからか、金木犀の香りが・・・もう終わったんじゃない?
気のせい???
いえいえ。
センタ―の周りを金木犀が囲っていました。
明るくねって、
励ましてくれているようで。いい香り・・・。
到着して、手土産をお渡しすると、相談員さんから、施設長さんまで、
勿論あの男性も。みなさん出て来てくださって、「遠い所をありがとう
ございます。」と施設長さん。名刺をいただき、私も「どうぞよろしくお願い
いたします。」とご挨拶させていただけ、よかった。昨日のあの記憶が
薄まっていくように感じます。
2階に行くと「あ~、こんにちは!。」とお世話してくださる方々が
笑顔で迎えてくださいます。
自宅へ戻って来たよう。
伯母は、みなさんとちゃんとテ―ブルを囲んで、座っていました。
座れるようになってよかった。
ちょうど食事が終わって、水分を摂っているところでした。
大きなTVを観ながら。
少しずつ話をしながら、私が居る現実を把握して。
状況が理解できて、色々話しました。
時折、右半身を起こそうとするので、何をしているのか聞いてみると、
「うんどう」と言いました。
「右側は動くからねえ」というと、「そうそう」。
「人間一生勉強だねえ」と私。
「そ―そ―」と今度は、表情がつきました。
人間一生勉強 という言葉は、伯母がよく言っていた言葉です。
「○○ちゃん、人間一生死ぬまで勉強なんやでぇ」
懐かしいな・・・。
1時間半程、おしゃべりして。
周りのみなさんもひとりずつ、お部屋に戻って行かれ。
伯母もそろそろ、横にならしてあげないと。
ヘルパ―さんが、明るい表情と声で、伯母に声を掛けてくださり
部屋へ連れて行ってくださり、ベッドへ寝かせてくださいます。
お部屋はとても広くて、真っ白で綺麗。
車椅子にかかっているのが、買って来たひざ掛け。「これはグッド」と、
伯母は喜んでくれました。 赤が好きだったので。ワンポイントに。
横になると、だんだん、夢の中へ・・・・。
伯母が寝たのを確認して、私は、部屋を後にしました。
起きている時に帰ることは、私には出来ない。
だって、明日は来れないんですもの。
起きてもきっと、この1時間半のことは、
現実だったのか、夢だったのか分からない筈。
だから・・・さよならは分からない。
1階のトイレ。
綺麗なんですよぉ。
全てが行き届いているので不安は一切ありません。よろしくお願いいたします。
東京に戻って、母に報告すると、安心していました。
そして
「最後の日は、何て言って帰って来たの」と母。
「え? ん・・と、寝るのを待って帰って来た」と私。
「へえ、あなたが小さい時、伯母さんは、あなたが泣くから、
寝るのを待って帰っていたのよ。今、あなたがそうしてるのね」
・・・・・・・・誰よりも強く繋がっている。
・・・・時は流れて、
・・・・・・・・・・愛情は引き継がれていく。
次は、年末。
私は来られます。
伯母さんは・・・・・・・・・・・待っててくれる?