「歩道がないじゃないよぉ~」
車道のすぐ脇は芝生になっている。
おまけに段差まであるのだ。
それに道幅も狭く、センターラインのない片側一車線なのだ。
「これじゃ、ボストンバッグ押せないよ。人が歩く道じゃない!」
「でも、今夜泊まるB&Bまで、なんとしても辿り着かなきゃぁ~」
ゴォーという爆音に脅かされながら、娘と2人でひたすら歩き続ける。
真っ暗闇の中、遠くから聞こえてくる車の音に耳をそばたてながら…。
車の気配を察知しては、車道から芝生に移り、
走り過ぎたのを確認しては車道に降りる。
ぼんやりしてると、交通事故の犠牲者になりかねないじゃないのぉ~。
そんな悪条件の中、大きなバッグをガラガラ押していく娘。
彼女の身も心も疲れ果てていたに違いない。
この時は気付かなかったが、初めての海外旅行で緊張感もあったことと思う。
(あとで大変なことに…)。
ここは、イギリス中央部にあるコッツウォルズ。
モートン・イン・マーシュの2月はすこぶる寒い。
真っ暗闇の中をただただ歩いていくと…。
しばらくして、左側に広がりのある白い空間が見えてきた。
遠くかすかに、ぼんやりとした灯かりのようなものも感じられる。
「あの辺がニュー・ファームだろうか?」
「うん。そうかもしれないね!お母さん」
次第に農場らしき景色になってきた。
通り過ぎる車で照らされ、標識らしきものが見えた。
「違うよぉ…」と娘のがっかりした声が闇に吸い込まれていく。
「まだなの?歩いて15分くらいって言わなかった?」
「そのはずだけど…」
しょんぼり肩を落としながら、暗い夜道を歩く。
雪はますます降りしきり、冷たさがさらに心を不安にさせる。
しかし、娘にはさとられたくないので、“から元気”を出すのだった。
いくつかのB&Bを通り過ぎた頃、オールド・ファームという看板が見えた。
「オールド・ファームだって!ここ?」
「違うよ!オールド・ファームのすぐ側がニュー・ファーム。もうすぐだよ!」
娘の言葉に元気づけられ、最後の力を絞り出すようにしてひたすら歩く。
「あった!ニュー・ファームだ!」
「やっと着いたねぇ~。やれやれだねぇ…」
しかし、しかしなのだ。
看板にはニュー・ファームと書かれているが、ここは農場!
しかも農業国イギリスであるから、アプローチが長い…。
看板のところを左に折れると細い道が続いている。
その奥の方に、ぼんやりと小さい灯かりが見えた。
暗闇の中で“いかに灯かりが人の心を和ませるか”実感するのだった。
「あれだね!きっと」
「やっと、着いた~」
「お母さん、見て!」
「赤毛のアンに出てくるグリーンゲーブルズへ続く道に似てるよ!」
(つづく…)
車道のすぐ脇は芝生になっている。
おまけに段差まであるのだ。
それに道幅も狭く、センターラインのない片側一車線なのだ。
「これじゃ、ボストンバッグ押せないよ。人が歩く道じゃない!」
「でも、今夜泊まるB&Bまで、なんとしても辿り着かなきゃぁ~」
ゴォーという爆音に脅かされながら、娘と2人でひたすら歩き続ける。
真っ暗闇の中、遠くから聞こえてくる車の音に耳をそばたてながら…。
車の気配を察知しては、車道から芝生に移り、
走り過ぎたのを確認しては車道に降りる。
ぼんやりしてると、交通事故の犠牲者になりかねないじゃないのぉ~。
そんな悪条件の中、大きなバッグをガラガラ押していく娘。
彼女の身も心も疲れ果てていたに違いない。
この時は気付かなかったが、初めての海外旅行で緊張感もあったことと思う。
(あとで大変なことに…)。
ここは、イギリス中央部にあるコッツウォルズ。
モートン・イン・マーシュの2月はすこぶる寒い。
真っ暗闇の中をただただ歩いていくと…。
しばらくして、左側に広がりのある白い空間が見えてきた。
遠くかすかに、ぼんやりとした灯かりのようなものも感じられる。
「あの辺がニュー・ファームだろうか?」
「うん。そうかもしれないね!お母さん」
次第に農場らしき景色になってきた。
通り過ぎる車で照らされ、標識らしきものが見えた。
「違うよぉ…」と娘のがっかりした声が闇に吸い込まれていく。
「まだなの?歩いて15分くらいって言わなかった?」
「そのはずだけど…」
しょんぼり肩を落としながら、暗い夜道を歩く。
雪はますます降りしきり、冷たさがさらに心を不安にさせる。
しかし、娘にはさとられたくないので、“から元気”を出すのだった。
いくつかのB&Bを通り過ぎた頃、オールド・ファームという看板が見えた。
「オールド・ファームだって!ここ?」
「違うよ!オールド・ファームのすぐ側がニュー・ファーム。もうすぐだよ!」
娘の言葉に元気づけられ、最後の力を絞り出すようにしてひたすら歩く。
「あった!ニュー・ファームだ!」
「やっと着いたねぇ~。やれやれだねぇ…」
しかし、しかしなのだ。
看板にはニュー・ファームと書かれているが、ここは農場!
しかも農業国イギリスであるから、アプローチが長い…。
看板のところを左に折れると細い道が続いている。
その奥の方に、ぼんやりと小さい灯かりが見えた。
暗闇の中で“いかに灯かりが人の心を和ませるか”実感するのだった。
「あれだね!きっと」
「やっと、着いた~」
「お母さん、見て!」
「赤毛のアンに出てくるグリーンゲーブルズへ続く道に似てるよ!」
(つづく…)
嬉しいコメントありがとうございます
ユウさんのブログ大変身ですねっすごく素敵です
娘さんとの二人旅 素敵ですね~
グリーンゲーブルズに続く道 想像しちゃいます
とても嬉しく思います
もし違ってたら、大変だったですね。
古い思い出のガラガラが「重荷」になってましたね。
ともかく、無事に着いてよかったです。
駅前にほとんど人けがなく、聞くに聞けなかったのね。店も閉っているところが多く、パブで聞こうかと思ったんだけど。「歩いてすぐだから」と娘がいうもので…ね!B&Bに電話すれば、こんなに大変な思いをしないですみました。
ツアーがいいのは、荷物を運ぶしんどさがないことです、はい!思い知りました…。
荷物もって歩くんですか?すごい。
タクシーとかはないんでしょうか?
ツアーがいいと思うのは、この荷物を自分で運ぶのがしんどい時。