あっちもいいな、こっちもいいな

乳がんになって初めて気づいたこと

献体

2007-10-07 01:48:40 | Weblog
10月6日

今日は貴重な経験をした。

夫の母が事故でなくなったので司法解剖をした。

少し前に解剖をしてもらった「神奈川歯科大学」で、供養の会があるという知らせをもらった。

よく理解できなかったが、せっかく供養してくださるというので出席することにした。

どんな服装をしていいのかも分からず、電話で問い合わせたら「略礼服」だと言われた。

地味なスーツでよいかなと考えていたので、慌てて箪笥から礼服を出し、ブラシをかけた。

翌朝早く横須賀に向った。

「神奈川歯科大学」は横須賀にある。

私は初めて横須賀に足を踏み入れた。

大学の門の前から、学生たちが本当に丁寧に案内してくれた。

そして、係りの学生の数の多いことにびっくりした。

講堂に着くまでに何人の学生にお辞儀をされたやら。

入り口で胸にリボンをつけてもらい、「しらぎく」という会報をもらった。

会場は遺族の席、会員の席、理事、来賓の席、学生の席と別れていた。

壇上には花が飾られ「諸霊供養の会」とあった。

会員て何?

式が始まるまで会報を読んで「会員」がわかった。

生前に無条件・無報酬で遺体を提供することを決めている方たちの会「白菊」の会員のことをいっているのだった。

つまり献体することを生前に決めていらっしゃる方たちであった。

そんな会があるなんて信じられなかった。

式次第は開会の辞から始まって前年度の献体者名の発表、名簿奉納、黙祷、教授、学生代表の挨拶に続いて献花があった。

会場には学生を含め300人はいるので、延々と続く。

白菊を係りの方が一人一人丁寧に渡してくれる。

歯科大学なのに学生が2年生の時に解剖を行うことは、初めて知った。

実際に解剖を行った学生たちの感想が「しらぎく」にも載っていた。

献体は海外でもあるが、解剖された後遺骨が遺族のところに戻されるのは日本だけだそうだ。

献体がこれからの医学の発展を支えていくという、教授のお話には納得がいった。

「死」が世の中に役立っている。

足の不自由な会員の方を家族に方が支えながら献花をしている姿を見ると、ご家族の心中はどんなだろうと考えさせられてしまった。

昼ごろ式が終わり、観音崎に向った。

灯台から海を見ながら、やはり今日経験したことが頭から離れなかった。

しかし、「死」を考える厳かなよい経験をした一日であった。