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あれこれ雑記

三問三答

2017-09-07 14:30:49 | 日記

芭蕉の句にも花鳥風月から離れたものも有り、
 明月の出づるや五十一ヶ条
などはその類いでしょう。貞永元年の法律「御成敗式目」五十一条が出来たことによって、世の中が治まったとすれば、明月が東に昇り、空が澄み渡ってくるようなものであろう、と句を解しても、さほどの無理ではないと思います。
この時代の法書(沙汰未練書)には、訴人(原告)と論人(被告)との応酬は三度繰り返され(三問三答)、その後両者の対決によって決審する事とされています。双方のもっている証拠書類が提出され、判決はこれらの全てを勘案して下されます。当事者主義が徹底していて、まづ原告の手によって被告への訴状が送達されます。それは肉体的危険と経済的負担をもともないました。
裁判当局者、または相手方の病、物忌み、天変地異などによってしばしば中断されました。それによって、資力有勢な訴訟人でさえ、訴訟期間の長期での滞在費用に苦しだようです。
幕府は評定を公平を期するため、親縁関係にある裁判官を退席せしめたり、当事者には、自己の主張の真実を証明するため、起請文を書かせ、一定期間神社に参籠させることもあったようです。このようなお上からの衡平への示しが、月にかかる群雲を払い得たとものと、およそ四世紀も後の芭蕉翁は思ったのでしょう。

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