蜘蛛の糸

蜘蛛の糸が丈夫なことは誰もが知つている。しかし鋼鉄より強いとは想像外である。尤ものんびり飛んでいて女郎蜘蛛の餌になった蚊や蜻蛉こそ災難である。被害者？にとっては実に面白くない。
狭い庭だが雨上がりにはそこらここらに蜘蛛が巣を張り巡らしている。清少納言納言は夜来の雨が上がって、朝日がさしかけたころ、蜘蛛の糸に懸かった白球の雨粒をみた。そして「つらぬきたるようなるこそ　いみじゅうあはれにおかしけれ」と書いている。透き通った首飾りのようだが、いつもはこともなく眺め過ごしてはいる

チェコ共和国

志賀島からの戻りの香椎線で乗り併せた席で、チェコ帰りの年配のご婦人の話を聞くことになった。彼女は家族をチェコに置いたままで里帰りした様子、現在ご家族はヨーロッパ一巡の旅行中とかであった。話の中にはご主人は北九州の会社を退職後、チェコの会社に現在勤務しているなどと、幾分内輪にも亘る話題が含まれていた。何でも技術職であったようである。果たして話題のように一族でヨーロッパ巡回の旅行が可能なのか、多少疑った次第だった。
ところが、チェコ共和国は中欧屈指の工業国であり、隠れた資源国でもあることを帰って知った。疑ったのはこちらの認識不足であったと思い直した次第だ。
チェコの鉱物資源を代表するのは銀である。一六世紀に発見されたヤーヒモフ銀山の銀は、ヨーロッパ全体に運ばれ、またここで鋳造された銀貨は｢ヨアヒムスターレル」の名で流通した。このヨアヒムスターレルは「ターレル」と省略されて呼ばれるようになる。さらに縮められて変化するうちにアメリカ通貨の呼び名「ドル」にもなったという。。全く井戸の中の蛙であった。