記憶鮮明、文章不明

福祉は権利。平和こそ最大の福祉。保育なめんな、子どもなめんな、保育士なめんなです。

いのちの山河 日本の青空Ⅱ(深読みネタバレあり)

2010-05-21 | Weblog
地元の年金者組合から・・というよりもゼンちゃんの妻(見おくり人の記事参照)から

「あんた、チケットを普及してくれない??」と20枚も預かってしまったので・・・

二日続きで映画を見る羽目になったですよ。


今回は

雪深い岩手県沢内村で奮闘する一人の男を軸に憲法25条の精神を描いた力作です。


いのちの山河 日本の青空Ⅱ



固い映画ですよー。おもいきり憲法25条ですからして・・。



バイオレンス
エロス
サスペンス
癒し
そう言うものを映画に求める向きにはゴメンちゃいよ。


ですがね・・



今の「貧困」「格差」の情勢に50年前の東北の寒村がダブっているのはどういうことでしょう??



人を大事にしない政治のツケが
噴出す膿み。

(南国の爆音や牛豚の悲鳴が耳朶に響きます。)

普及のかいあって、会場は満員。(後で聞けば3回の上映で1100人以上が入ったそうです。天晴れ!)

後ろを振り向くと還暦はもちろんを米寿とおぼしき人生の諸先輩が
感動の面持ちでスクリーンにむかっていらっさいました。

エンディングでは男性が泣いているのも目立ちました。

ご自分の青春ときっとダブっているんだろうナァと思いましたよ。


親の世代とこういう映画を見るのも大事です。

30代の人、20代の人にはおじさんやおばさんのノスタルジアに付き合いきれまへんといわれたとしても

志ある映画です。

沢内の問題は今にしっかりつながっている。





産婦人科医が足りなくて妊婦がたらいまわし。
アトピーやら新しい小児疾患が増えてるのに小児科医のなり手がいない。
そして
悪名たかき「姥捨て」の後期高齢者医療。
介護保険法、障害者自立支援法。

少子化なのに保育所の待機児は増え続ける。




もっというよ。




農産物をはじめとする食料問題。
流通や人の移動の根幹の道路交通問題。



くどくどくど・・・




沢内の村長達は「行脚と対話」で村民の要求を吸い上げていった。
エライ大学の先生や県のおえらいさんとは粘り強く何度でも交渉した。


末端の厚生担当職員や保健婦さんや医大生が村中を歩き、時には雪の中命をかけて医療保険の網をつむいだ。

農協の青年が特産品の開発に
婦人会が婦人の地位向上に


豪雪や貧困に立ち向かったのだ。

役者さん達がいいんですよこれまた。


おりがみの一番ぐっと来たシーンは

満州時代の悪夢にうなされる深澤を妻のミキが抱きしめて介抱するところです。




あと、「行脚」の過程で村の女性に「いい男」と迫られたり、若い娘さんの浴衣姿に悩殺?され自転車ごとひっくりかえる(どちらも健全なお色気で)シーンは
昭和の古い青春映画の作りを思いださされるんですわ。


こっからネタバレがあります。


























深澤のむすめ杜史子は小学校で代用教員をしてやがて同僚の青年教師と結婚します。
彼女が2歳の時に実の母はなくなり、深澤の妻ミキの産んだ子ではないということを長じてしったのです。
ミキは自分が子を産んだら杜史子と分け隔てなく育てられるか自信がなかったから深澤との間に子をもうけなかったと言うのです。
映画の中盤でさりげなくそのことが明かされます。


このとき
客席の多くの年配女性達は確かにざわりとさざめいたと思います。
女だけが知る女の「気」です。


昨年の日本母親大会で講師の僧侶、有馬らいていさんが
「私の父と母は男と女の結婚ではありませんでした」
「だから私達3人兄弟は3歳違いなのです」
「私は母以上の女性にめぐり合わず、まだ一人です」
といったときにも
あの大きな京都府立体育館の女たちは大きく揺れましたが・・・





他人の子を救うために自分の子はあきらめる・・・


乳幼児死亡率を0にという村の取り組みの裏テーマがここに潜んでいるといったら深読みしすぎでしょうか?


また村長として奔走する深澤が末期の食道がんに侵されて倒れるところも
「多病、豪雪、貧困」撲滅への「命がけ」の代償のような気がしてなりません。

医者の不養生といいますが・・


美しい沢内の自然、ラストの雪の葬列
深澤の記念館


はんかち?ハンカチはどこだ??



男とおなごの壮絶ないのちの「せめぎ愛」の映画でもあるのですよ・・。

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