皆さん、最初に二胡を手にしたとき、なんとなく構造上の疑問みたいなものを感じませんでしたでしょうか
普段は抑制綿があって隠れてしまって気にしていないかもしれませんが
写真1

写真見てください。弦の傾きが、千金側のほうがずっと水平に近いですね
私の二胡で計算すると弦と蛇皮のなす角度が、駒をはさんで琴托側と千金側でおおよそ3倍の開きがあります(以後テール角、ネック角ということにします)
図1駒周辺の弦角度と圧

図1では
黒が弦によるトータルの力、赤がヘッド方向の分力、黄が垂直方向の分力です
黒が1.5kgとすると私の二胡で計算すると、赤方向の分力は75gになります その分張力が増減することになります 琴托方向+千斤方向合わせて150g
どうなんでしょうね。薄い蛇の皮でしたら微妙な数字かと思います
ネック側とテール側で蛇皮の張力が違うということ 振動数ひいては音色・音色にまで変化があってもおかしくない
これがヴァイオリン、チェロ、コントラバスの画像を見てみると、チェロ、コントラバスはほとんど同じ角度、ヴァイオリンもテール側角度が2-3割増くらいで収まっています
写真2 ヴァイオリン

写真3 コントラバスとチェロ

(ヴァイオリンの駒の圧は、弦が4本、駒が高いということもあって10kgだそうです)
抑制綿というほかの楽器にない部品を使っていますが、テール側の振動のみを消すという効果はあるでしょう
それでは駒からの水平分力を0にする方法はないのでしょうか
まずすぐに考えられるのは
対策その1 琴托を少し張り出す
図2

琴托をすこし上に上げてやれば横の分圧は0になります しかし駒の皮に対する圧が弱くなります びろんびろんという音になるでしょう この案はダメです
対策その2 千斤を低くする
図3 対策その2 千斤を低くする

それではネック角を大きくすれば、棹の半ばで弦が竿に接触してしまいますし、皮に対する圧が逆に大きくなります これもダメ
対策その3
琴托を上げ、棹を神社のひしゃくのように斜めにとりつけるしかないのでしょうか
図4

駒圧、弦の角、千斤の高さを一定にすることができました
斜めに棹を差すことによって音質がどうなるのでしょうか?よくわかりませんが、すくなくともヴァイオリンはこのような風になっています
このことはすでに何かにかかれているかもしれません。その時にはあしからず
「二胡やるぞー」さんの記事は駒の改良までの考察でした。それをさらに発展させたものです
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