京都平和市民連合(平和塾)

反原発&環境保護&反戦平和運動など、様々な京都の市民運動の情報発信のブログ

9・23 さようなら原発 さようなら戦争 全国集会にて/武藤類子さんの発言

2015-09-26 13:00:09 | 福島原発告訴団関西支部
当日の動画アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=Sb9lmR2BeFQ&feature=share



写真撮影:菊池 功さん



皆さん、こんにちは。福島から参りました、武藤類子です。

今日も、福島からバスでやって来た仲間たちがいます。遠い避難先からやって来た仲間もいます。

東京電力が起こした福島原発事故は終わっていません。今も被害は広がり、続いています。日々、福島で起きていることの多くは、マスメディアで報道されることもありません。
2015年、秋。あれから4年半。
ほのかに色付き始めた福島の森はなお美しく、水は清冽な音をたて流れて行きます。野には紫のアザミや青いツユ草が揺れています。

でも、森の中の朽ちた樹木に見え隠れするキノコを食べることはできません。アケビ、ナツハゼ、ハシバミ、秋の稔りを素直に喜ぶことはできません。物言わずじっとたたずむ植物たちに、変わらず生を営む鳥や虫や獣たちに、何が起こっているのでしょうか。

毎日大量の汚染水が流される海で、魚や海の生き物たちはどうしているのでしょうか。

大地や樹木、アスファルトに入り込み、今も発せられる放射線はあらゆる命に何をもたらすのでしょうか。

豊かな生命を育む、大地も森も水も風も深い傷を負ったままです。

福島県は今、帰還と復興の激しい流れに呑み込まれています。
国と福島県は、放射線量がまだ十分下がりきらない地域の避難指定を解除し、避難者の借り上げ住宅制度の廃止や賠償の打ち切りを、当事者の声を十分に聴かぬままに決めました。

オリンピックに注がれる莫大なお金で何人の避難者の生活が保障されるでしょう。

図書館や、郵便局や、コンビニにも置かれている、環境省の放射線教育漫画には、9の真実に1の嘘を潜ませています。
福島県の小学5年生が全員訪れることになる放射線教育施設の完成が近づき、子どもの応募により愛称が決まりました。小学生の時「原子力 明るい未来の エネルギー」という標語を作った大沼さんは、事故後に心を痛めていました。原発安全神話の次には放射線安全神話が作られて流布されています。

修学旅行の高校生や見学ツアーの中学生が福島を訪れます。

放射能安全神話と固く結びついた帰還政策は、被曝への警戒心や健康不安への言葉を封じ込めます。帰還政策とは、放射能がある場所へ我慢して帰って暮らせと言うことです。

多発であるという警告を受けて、早急な調査と対策がされるべき小児甲状腺癌は、増え続けています。

福島県の災害関連死は、津波で亡くなった人をはるかに超えました。ふるさとへの郷愁と放射能への不安のはざまで、精神の疲れは限界です。

そんな中、川内原発は再稼働し、次は伊方原発の再稼働が目論まれています。福島の次からは、原発事故が起きても賠償が大きく制限されるという制度が、経産省の小さな委員会でひそかに決められようとしています。原発を造ってきたメーカーやゼネコンは、責任を負うこともなく放射性廃棄物の処理で再び利益を上げています。
過去の過ちを反省せず、多くの国民の反対を押し切って推し進める。これは、憲法違反の安保法案が、安倍政権の暴挙によって決められたことと重なります。多くの市民の枯れ果てるまでに上げ続ける声を聞かずに決めたこととも同じです。
過酷な被曝労働は、日本中で仕事を求める人々の受け皿になっています。今度は兵役がその受け皿になるのでしょうか。

戦争も原発事故も、起きてしまったことから学ばなければ、悲劇は何度でも繰り返されるのです。犠牲になった人々の怒りと悲しみは決して慰められはしません。

国土を失い、平和を失い、民主主義を失うものは、原発と戦争です。

人権を侵害し、命を冒とくし、生きる尊厳を奪います。

ぼんやりとうごめいていた不穏なものは、はっきりと姿を現してきました。
私たちは自覚しなければなりません。

国が子どもを守ろうとしないことを。
被害者が切り捨てられていくことを。

原発関連企業がその罪を問われないことを。

政府が国民の声を無視することを。

この呆然とする現実を前に、膝をつき言葉を無くす日々があります。
起き上がれずに、目を背けたい朝があります。

でも、私たちは自分を無力だと思わなくていいのです。
「9条守れ」「戦争いやだ」のプラカードを手に、雨の中も国会の前に立ち尽くす何万という人々がいました。

年齢や立場、党派をも超えて共に闘う人々がいました。

原発事故の被害者たちは共に手を繋ぐことを約束しました。

全国散り散りになった避難者も、繋がっていこうと動き出しました。

刑事責任を問わない検察庁の代わりに、市民による検察審査会は、刑事裁判への扉を開きました。

それは、長い間コツコツと、平和と原発反対を訴え続けて来た人々から繋がっています。

緑の田んぼを渡る風のように、爽やかに吹き渡っていく若者たち。

子どもを胸に抱きながら汗を光らせマイクを握る、戦争法案反対を訴える母親たち。

そのシンプルで率直な感性とまぶしさは、私たちの世代が乗り越えられなかったものをやすやすと超えていくでしょう。わたしは彼らの心優しい賢さに学びたいです。

どんな暗がりにあっても、私たちは確かな明かりを一つずつ灯していこう。
今はまだ冷たい雪の下の一粒の種であっても、やがて一輪の花を咲かせる者たちを、心して待とう。

私たちは、戦争法案にも、原発社会にも閉じ込められない、愛に満ちた自由な者たちです。そのことを、繰り返し思い出しましょう。
自分を大好きでいましょう。共に歩むものを大切にしましょう。誰も私たちの想いを止めることはできません。

原発も戦争も無い世界を、私たちひとりひとりが創っていきましょう。

9月6日、さよなら原発全国集会IN京都・主催者あいさつ&連帯メッセージ

2015-09-07 11:06:25 | 反原発運動情報


さよなら原発全国集会IN京都  主催者挨拶 佐伯昌和

雨の中、足下のお悪い中「さよなら原発全国集会IN京都」へ全国からご参集下さりありがとうございます。
開催地が京都ということで呼びかけ団体の5団体を代表して、一言御挨拶申し上げます。

 2013年9月から原発運転ゼロが続いた日本で、残念にも鹿児島県川内原発の再稼働を許してしまいました。そして高浜原発・伊方原発で再稼働の準備が進みます。福島原発事故によって自らのライフスタイルの見直しが大きく進みました。福島事故以前も原発なくとも夏の電力ピークは乗り切れると私たちは訴えていたのですが、今は、電力会社すら再稼働の理由に電気が足りなくなるとは言えなくなりました。

 私は本日の全国集会で6点、訴えたいことがあります。

 一つ。フクシマ原発事故は終っていない、現在進行中であることです。ヤマトシジミに続いてモミの木の異常多発の研究発表がなされました。子どもたちへの甲状腺ガンその他の病気の増加が心配されます。原発での作業によりガンが発症したとの訴訟も起こっています。いまだ放射線量も高いのに福島への帰還政策は正しいのでしょうか。「風評被害」がさかんに言われます。
みなさん!一体誰が放射能をバラまいたのですか。
福島原発事故は放射能公害です。公害企業とそれに加担してきた政府は責任を取らないといけません。ところが原発事故の刑事責任も民事責任もまともに取っていない。福島原発告訴団の告訴・告発を受けて、この7月、東京検察審査会が起訴議決を決定し、東京電力元経営者3人が裁判でようやく責任を問われることとなりました。
しかしいまだ海に放射能をタレ流し、チェルノブイリ原発事故の石棺を教訓とせずの事故対策が続いています。

二つ目。福島原発事故により高浜原発が停止し、高浜原発から温廃水の出る内浦湾の生態系が原発建設前に戻ったことが京都大学の研究で明らかになっています。
 川内原発の近隣漁場でも原発停止によりチリメンジャコの漁獲高が急伸している実績があります。

原発を動かせば核のゴミが発生します。小泉元総理大臣が訴えるようにこれ以上核のゴミを増やしてはなりません。たとえ原発事故が起こらなくとも、再稼働はあかんのです。

三つ目。京都で何故この全国集会を開いたかにつながる訳ですが、福井県だけが地元ではない。原発問題は一人福井県だけの問題ではないということを訴えたい。5Km圏にも入る京都府も琵琶湖をかかえる滋賀県も、放射能も飛んでくるけど避難先にもなる関西各府県も地元であり、再稼働同意権の法制化が必要です。

四つ目。今年4月、福井地裁は高浜原発3・4号炉の運転差し止め仮処分決定を下しました。現在、福井地裁で関西電力による異議申し立ての審議が行われています。これが認められない限り、高浜原発3・4号炉は再稼働出来ません。現在、住民側有利に審議が進んでいます。今日の集会が世論盛り立ての一助となればと思っています。

五つ目。世論の9割ほどが脱原発を願い、6割が再稼働に反対しています。今日も三日月滋賀県知事、門川京都市長からメッセージをいただいています。私たちは多数派です。自信をもって脱原発を訴えて行きましょう。

六つ目。来年4月から電力小売り全面自由化が始まります。原発を進める電力会社に消費者が直接原発ノーをつきつける時が来ました。
勝ちましょう。
フクシマの事故を経験して遅きに失したところがあります。でも「まだまに合うのなら」を信じて、原発全面廃止を勝ち取りましょう。

本日はご苦労さまです。

2015年9月6日     京都市・梅小路公園にて