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「ダウントン・アビー/Downton Abbey」を見終わって(その1)

2023年06月08日 | 映画

今年の3月の初めからAmazonプライムでイギリスの連続ドラマ「ダウントン・アビー/Downton Abbey」を見始めた。全部で60話(エピソード)ある長編ドラマだ。人気があるのは知っていたが、一度見だすとほかの映画などが見れなくなると思い今まで手を出さなかった。

しかし、ここ7、8年欧州映画を見続けており、欧州の文化には興味があったので、一度見てみるのも悪くないと思い、見だした。実際に見始めると1回の放映は1時間弱のものが多く、それ程負担にはならないことがわかり、一日1エピソードを見る習慣がつき、気が付けば全編を見終わることができた。

ドラマの舞台は1912年ら1925年のイギリス、ヨークシャーの架空のカントリーハウスである「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」で、当時の史実や社会情勢を背景に物語は進む。エドワード朝時代以降の貴族グランサム伯爵クローリー家とそこで働く使用人たちの生活を描いてたもの。ダウントンというのは地名、アビーというのは大きな屋敷という意味だ。

見終わった感想を述べよう(ネタばれ注意)

  • 当時のイギリス貴族のいい面が強調されて描かれていると思われる。ヨーロッパの貴族の生活については今までも本や映画で少しは見てきたが、それによって抱いたイメージとこの物語によって得たイメージとはかなり異なる。
  • 例えば、同じイギリスのジェーン・オースティンの小説「プライドと偏見」なども貴族の独身女性の恋を描いているが、使用人のことなどはあまり書いてなかったと思うし、トルストイの「戦争と平和」でもロシアの貴族社会が描かれるが、戦時中もパーティーを開いたり、愛だ恋だと呑気なものだなと感じた。
  • 貴族は仕事はしない、しかし、他国との戦争になったときは自ら戦う、そこが貴族の義務であり、それゆえ平民も貴族の優遇を認めているのであろうか。この物語では若い貴族が仕事をすると言い出すと年配の貴族が「仕事をするだって?」と眉をしかめ、「なんて馬鹿なことを言うんだ」という感じで話していたのが印象に残る。
  • そういった貴族社会にあって、この物語の特徴は、第1次大戦になったとき、屋敷を戦争負傷者の療養所として提供し、貴族たちも館や病院で看護の手伝いなどをすることが描かれている。それによって特に若い仕事をしない貴族の女性たちが仕事の意義、やりがいがあることのすばらしさなどに目覚めていくことが描かれている。時代の変わり目なのであろう。
  • もう一つの特徴は、貴族の館に努める執事、侍女、下僕、料理人などの召使たちの人間模様が物語の半分を占めていることだ。そして、伯爵をはじめ貴族たちは召使たちを大事にしていることが描かれている。こうありたいという理想を描いているのでは思うがどうであろうか。イギリス映画や小説で貴族に仕える執事等の人生を描いたものは多くあるだろうが自分はその内容を十分に知らない。イシグロ・カズオの「日の名残り/The Remains of the Day」を読んだり見たりしたが、今回ほどの領主と使用人との信頼関係があることの印象は残っていない。
  • 最後の終わり方がハッピーエンドというのが見ているほうとしは「めでたし、めでたし」で良いのだが、こうしたハッピーエンドはイギリスでは好まれるのだろうか。「日の名残り」はハッピーエンドではなかった。

(次に続く)



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