美意識を磨く 文田聖二の『アート思考』

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絵の威力

2012年04月03日 21時54分38秒 | 日記
私の父は、数年前に紺綬褒章をいただきました。その理由は何十年も描きためてきた油絵作品のほとんどを公共施設や必要とされている方へ無償で提供したからです。
父は洋画家であり教育者でもありました。日常の中で美術史を語り、絵画表現の現場で制作する姿を私にみせてくれています。
しかし、私が実際に影響を受けたのは、一生懸命しゃべってまわりの人を喜ばしたり、風呂好きで入浴を楽しむために毎朝、風呂掃除などをしたりしながら、自分のスタンスをみつけて生活する父の姿なのです。
また、父の描く絵画のどれがすばらしいということよりも50年以上も描き続けているということが何よりも父が父親であり、画家であるという説得力を感じています。

アーティストの生活、姿やデッサンの効果は,この日本では一般的に知られていないというか違った見方をされているようです。
私はアーティストの活動やデッサンを学ぶことが、日本の現代社会でもあらゆる分野でその威力をまだまだ一般的にひろく発揮できると感じています。その効果の対象として、教育、医療、スポーツ、科学、政治などその可能性ははかりしれません。
その威力、効果の中にバランスの崩れた環境によってアイデンティティーを見失いかけた人の精神状態を修復し和らげる作用があります。また、物事を遂行するための最良のシステムを解明できる可能性も秘めています。

教育の面での一例として、ニューヨークの現代美術館でみかけたを紹介します。作品の前の床に10数名の生徒を座らせて、ひとりひとり自分の推測で作品の解説をさせては場所を移動するといった行為を繰り返していました。
日本では、美術館で行う授業は大抵美術史とか、美術作品鑑賞とか美術の枠内から出る発想がありませんが、その時、ニューヨークの美術館で行われていたのはディベートやプレゼンテーションの授業であって美術品を格好の教材として利用していただけなのです。
これも美術館の活用の可能性をひろげた効果と言えます。
このような実現可能な取り組み方が、他にもたくさんあるにもかかわらず、少なくとも日本には芸術の素材やシステムを社会的にひろい分野で活用するためにコーディネートする仕事が少なく、その効果の研究が十分に成されていません。
このようなデッサンの未開の部分を開拓していこうと考えています。

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