美意識を磨く 文田聖二の『アート思考』

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リサーチ力

2017年01月18日 17時16分58秒 | 日記
リサーチ力(観察眼:情報処理能力)
 「発見・展開・整とん」

 商品開発や出店、移転などする前にリサーチ(取材)がその後に多大な影響をおよぼすようにデザイン&アートの制作及び、作品発表に於いても例外ではありません。デザイナーや造形作家は一点の大作を制作するために多量の資料を準備します。写真などの図版資料、記録のためのスケッチやクロッキー、エスキース(企画、計画書)にそったディテール(部分、詳細)のエチュード(研究)を何枚も描きます(例えば、聖母像の手の表情や登場人物の顔の表情など)。作家の作風は制作だけでなく、その準備段階の取材の仕方の違いも個性として表れます。
料理人や冒険家などあらゆるジャンルにおいて、アマチュアとプロと呼ばれる人の違いは技巧より意外と取材能力にその差がでるのかもしれません。ここで重要なのは取材する物質的な量というよりは、その内容や仕方が作品完成へと向かっているかどうかということです。漠然とした意識で進めてしまうと、取材することが作品イメージを具現化することにならないで、その量が増える(拡がる)とテーマが散漫になり迷っていく可能性があります。取材すると発見がたくさんあります。何かをみつける行為は基本的に楽しいので、その行為事体にのめり込んで目的を失ってしまいがちです。取材する内容がただ増幅するのではなく、テーマにそって必要な素材を選択収集しさらに吟味して切り捨てる作業も必要です。そこから派生していく内容やさらに掘り下げていくことで資料が増えていき作品イメージを他者に伝えていくための体制を整えていけるといいでしょう。
人生において、この先自分はどう生きていくのかという「表現」に必要な取材とは何かと考えてみるとその重要さ、表現の成功のための必然性のイメージができるはずです。取材は事を起こし、遂行するために必要なものなので一度準備すればそれで終わるのではなく、事が進むに連れて展開していくことや状況に合わせて、その事が達成するまで続けることでその効果がみえてくるのでしょう。常に目的のために情報収集するアンテナをひろげて、新しい情報の発見、蓄積された情報からの展開、そしてイメージを具現化するために取材から獲た素材(データ)の整とん(分析)を怠らないことが「表現」のクオリティーを高めていくことに繋がっていくのでしょう。
子どもの行動にも色々と興味深い要素を発見(取材)することができます。例えば、その仕種は、私が知っている映画や舞台の名優の演技(動きや発声)を「なるほど、原点はここか」と感じさせたりします。行動の展開の意外性からか、その可愛さの効果なのか、子どもを観ていてあきません。その仕種に「可愛さの秘密」、その展開(変化)、成長速度などに「あきさせない」パターンが隠されているのだろう。このような発見も興味をもつことから始まるが、その取材する対象への愛情の深さで観えてくるものも変わってくるのだろう。

モチベーション

2017年01月18日 07時53分38秒 | 日記
モチベーション(活力:目標。何をしたいのか。)
「何のために、誰のために作品の制作をしたいのか」

あなたが伝えたいと願うこと、今、生きている世界の中で沸き上がってくる「モチベーション」(欲求・衝動」とは何でしょう。
「人に会いたい時、そうでない時」「話すべきか否か」の違いもモチベーションの状態が左右しているのではないでしょうか。作品を制作したい、何かを表現したいという衝動、欲求が沸き上がった時も例外ではないでしょう。欲求、衝動、義務感、自信、コンプレックス、希望、何をのぞむのか。何を残したいのか。何をこわしたいのか、そして生み出したいのか。そのエネルギーを一つの方向へ絞り込み前に押し出すパワーの強さは、モチベーションや志の高さに関わってくるのではないでしょうか。
要は、継続すること、継続できることが重要であり、何よりも説得力があります。理屈ではなく、あなたを突き動かしている「欲求・衝動」は何ですか?
 遊んできたことを思い出してみて下さい。食事の時間になろうが日が暮れはじめようが、空腹もいいつけもわすれて何かをさがしたり、友だちと競い合ったり、創ったりしていました。「子どもは遊びの天才」、何かに夢中になれるということがそのことに対して才能があるといえるのかもしれません。そう考えるとモチベーションをもつということは何も明確な目的がなくても、ただ時間をわすれて打ち込むことができ、その時に幸せであり、そのことすら意識しないほど充実している「もの・こと」なのでしょう。
子どもは何か目的をもって、いつも遊んでいるでしょうか。遊びたいという欲求や衝動が彼らを動かしているのではないでしょうか。そういった欲求や衝動を呼び覚ますモチーフ(対象)はさがすのではなく、すでにもっているもの、もっていたものを思い起こしてみるといいのでしょう。

テーマ

2017年01月18日 07時47分57秒 | 日記
テーマ(構図:何を表現したいのか。)
 「テーマ(目的)とモチーフ(素材)を生かす・素材を使って目的を他者に伝える」

 光、感触、高さ、深さ、広さ、静と動、感情、情熱、神秘…のような、作品の視覚的な効果をねらうためだけが構図をとる目的ではありません。「構図をとること」は、制作の根本にある目的「テーマ」を他者に伝えるための手段として考えるべきでしょう。構図をとるという行為は、料理に置き換えると「季節の素材を使って、その季節の素材を生かす調理をし、その季節にあった料理を完成させ視覚と嗅覚、味覚を楽しませる、季節料理の盛り付け。」のような作業とこだわりと言えるでしょう。決められた場所と与えられた状況で、客人が満足する接待(持て成し)を考えることも「構図」を考える行為にちかいのかもしれません。「構図」は、表現のための要素(行為)すべてに一つ一つ関連しなくては機能したと言えません。制作する「テーマ」が家庭の基準となる家訓、学校の校訓、国家の憲法だとしたら、「素材」は家族、生徒、国民で、「構図」は家族の約束、学校の校則、国家の法律みたいな存在です。
 もし、あなたが「富士山を描いて下さい」と依頼されたらどうしますか?たくさんの画家が描いたモチーフ(対象)であり、日本人であれば大抵の人がその山の姿のイメージを思い描くことができるでしょう。「一般的」だからこそ、どんな富士山を描けばいいのでしょうか。そんな時、あなたの思い描く富士山の姿が「構図」に表れることになります。
 制作の「テーマや素材」を生かすも殺すも’構図’の完成度、またその構図を生かせる表現力が伴っているということが必要不可欠です。誰かに手紙を書く時のことを思い出して下さい。何かを知らせる、相手を喜ばせるなど「目的」があるはずです。’文字’あるいは’何らかの話題’という「素材」を使って文章(表現)にするわけですが、あなたの目的が相手に伝わったとしたらその手紙の内容を表現した「構図」は良いということが言えます。
 色んなことを述べてきましたが、結局あなたの考える「構図」とは何でしょう。ある意味、秩序がなくても感情の赴くまま自由に表現することが大切とも言えます。しかし、「私は努力をしている、なのに達成感がなく気持ちがスッキリしない(報われない)、充実感がない。」という人は、「構図」のような目標達成のための明確なプロセスがないことで、むやみに労力を消費している割には建設的な作業にならないで、フラストレーションが溜まっているのでしょう。「哲学を持つ」みたいに人にとって必要不可欠とは言えませんが、どちらかというとあった方が、人生を豊かにするもの(芸術もそうかもしれません)なので、行動するテーマをもってみましょう。