滋賀県長浜市の少し北にある冨田町(とんだ)には、江戸時代の天保年間より連綿と伝承されている人形浄瑠璃芸能があります。現在は滋賀県の無形民俗文化財に
指定されていますが、元々地元に在ったものではなく阿波の人形浄瑠璃一座が北陸巡業のとき冨田町にきたものの大雪にあい路銀代わりに「かしら、衣装、道具」を
置いったことから始まった外部からもたらせたものでした。その後、「吉田金吾」という人形遣いの名指導者がやってきて、「吉田座」として近隣の寺社へ公演活動を
したのが現在の始まりで、以後地元の人により受け継がれて今日にいたっています。世界的にも有名でアメリカ、ドイツ、ニュージーランド等へ公演に出かけ好評を
得ていると同時に、海外(アメリカ、イギリス等)から留学生が人形の実演をするためにやって来て毎年夏の公演を盛り上げています。「冨田人形会館」に行くと各母校
のペナントが一杯張られているそうです。
今回、12月4日に秋の公演が「びわ文化学習センター」でありまして初めて見に行きました。演目は「鬼一法眼三略の巻、団子売り、壺阪観音霊験記」でしたが、特別
賛助出演として香川県より西畑人形芝居の方々が来られて「岩見重太郎大蛇退治」の芝居を演じました。
四方を見渡しても田園風景のこのような田舎の町に170年間受け継がれているのは地元の皆さんの人形浄瑠璃への情熱の精華ではないかとつくづく感じた次第です。
なお、人形の展示や練習をする「冨田人形会館」の見学は予約制ですのでご注意を(0749-72-5252長浜市役所びわ支所地域振興課)
壺阪霊験記 谷に飛び込んだ沢市とお里が観音様の霊験により生き返りおまけに沢市の目が見えるようになり歓喜する
会場は300人位がは入れる広さです
緞帳にも粋な仕掛けがしてあります 会場は人形浄瑠璃用に作られています
三味線を弾くのは女性です 約10kgの人形を3人で操ります
人形遣いには女性が半数近くおられますが、重い物を操るのは大変そうです
西畑人形は1人で操るので動きが激しいです 動きの精巧さに「空気人形」などと呼ばれているそうです
人形を操る人 かなりのベテランですね 縫物をするお里の手の動きが細やかです
願掛けのため毎夜いなくなるお里を問い詰める沢市 二人で壺阪寺に願掛けに参籠する
願掛けにきたものの望みは叶うまいと思い、お里の幸せを念じ谷に身を投げる沢市
本当に人形を下に投げました ビックリポン 後からやってきて沢市の杖と谷底を見て驚くお里
生きる気持ちのなくなったお里も谷に飛び込むが 観音様が登場し篤い夫婦仲の二人を助けます
「冨田人形共游団」の方々が人形を操っています。今、団員募集中だそうです。