Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

のうぜんかずら

2011-07-18 14:57:04 | 花物語
のうぜんかずら






のうぜんかずらが夏に絡まり

遠い記憶を咲いている

優しい身振りのゆらぎにも

母の独り言が思い出されてくる


花影からあふれてくるあなたの声を

私は糸状に手繰って

手まりを作っていくと

見えなかったあの頃のあなたの気持ちが

年齢の時報を知らせるように

汗ばんだ沈黙の中に落ちてくる


思い出橋を渡っていると 

蝉時雨は夏の原色で私を包み

母の声は日輪に染まっていたが

何処までいってもあなたは母のまま

のうぜんかずらの花を模して

静かに赤く揺れていた

            
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