Wind Letter

移りゆく季節の花の姿を
私の思いを
言葉でつづりお届けします。
そっとあなたの心に添えてください。

こむぎの日記9

2018-11-27 11:06:40 | 

                                 

                                                                                                     高安ミツ子


 

                                                    

                          

                    

                                僕はもうすぐ15歳になります

                                毛並みも悪くなり

                                日がな一日寝ていることが多くなりました

                                でも朝の散歩は元気です

                                だって僕の眼が一番輝くときだから


                                今朝も道ばたに

                                子供が名付けたに違いない

                                赤まんまが色鮮やかに咲いていました

                                おままごとをする子供の脇に

                                僕がいるような あどけない気持ちになりました


                                やはり初冬の匂いは僕にはわかるのです

                                随分歩いた散歩道も

                                大分風景が変わりました

                                消えていくもの生まれて来るものの連続が

                                時代なのかと思えるのです

                                僕の命の連続はあるのだろうか

                                僕はどんな さよならをするのだろうか


                                「こむぎは自然界では生きていけないな」と

                                散歩するお父さんは僕の傍らでいいました

                                山道には野生の「むらさきしきぶ」や「葛」が

                                二人の心を清々しくしてくれます

                                僕とお父さんは影法師になって

                                それぞれの命の地図を歩いています


                                僕が言葉を話せないから

                                寄り添うから

                                お父さんお母さんは僕を愛おしいと思うのだろうか

                                もしかしたら

                                お寺の鐘が鳴った後の

                                あのえも言われぬ余韻が僕にはあって

                                僕が二人の心に灯りを付けているのかもしれない


                                庭には 冬空の張り絵のように咲く皇帝ダリアが

                                花火のように咲くネリネが

                                少しずつ陽ざしに赤く染められていく万両の実が

                                すきとおったソプラノの音色で

                                今日の一日を僕に知らせています

                                僕の心は隠れ家に住んでいるような静かさで

                                まどろんでいます


                                老いていく老犬の寂しさを感じながら

                                我家の匂いに溶けこみながら

                                僕は15歳の冬を迎えます

                             

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私の四季

2018-11-14 23:56:24 | 花物語

 

 

            

今年は大型台風があり多くの花々が塩害の被害にあいました。
植物の葉は火傷をしたように枯れてしまい、見るのも痛ましい思いがしました。
楓は今もって色づくことがない個所が眼に入ります。
小さな庭ですが自然とはこのようなものだと現実を知らされた思いになりました。
秋の山が紅葉する様を「山粧う(よそおう)」というそうですが我が家の庭の花々も秋から
初冬に向かい色鮮やかに粧(よそお)いを始めました。

私はこの1カ月は体調が悪く花々の写真を更新することができませんでした。
ふと、縁側から体調の不安を抱えながら庭を眺めているとターシャの庭で有名な絵本作家
のターシャ・チューダーが思い出されます。
世界中のガーデナーがあこがれるというターシャの庭の自然とターシャの生き方に
ふと緩やかに立ち止まりたくなります。庭の花々は、そんな優しさが伝えてくれています。
そして、私の庭にもターシャの思いに似た自然が作り出す生きる力が漂っているように思
えてくるのです。ネリネが咲き、野菊が咲き深まりゆく秋の気配が感じられます。
2,3日前から、皇帝ダリアが咲きだしました。高く青空の張り絵のようになって鮮やかに
風に揺れています。義母が残した「やぶこうじ」や「万両」の実が色づき始め季節はゆっ
くりと歩いているようです。(2018.11.14)

              皇帝ダリア

 

               野ぼたん

               インパチエンス

                  はぜ

               秋のバラ

                  野菊 

 

                むらさきしきぶ

                  さざんか

                かりんの実

                かまつか

                 さざんか

               つわぶき

 

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