戸山の日々

東京の大学に勤務する教授の日常を綴る
  うつりゆくよしなしごとを書きつくる
       ブログの文の狂ほしきかな

ガイダンス

2007-03-26 | Weblog
卒業式の翌日は、
専門課程の学生を集めてガイダンスである。
その前に、交替する新旧助手を交えての昼食会。
助手は2年任期の交代制である。
4月から着任する2人のうちの1人は、
私が研究指導のK君だが、
もう働かされている。
コース主任も交替で、今日から新主任が仕切っている。

ガイダンスは演習の登録手続きがメインなのだが、
教員が来年度の担当科目について話をする。
それが2時間もかかって、聞いているほうはうんざりだろう。
教員は放っておくといくらでもしゃべるからな。
私は担当科目が多くはないので、ごく短く済ませた(つもり)。

その後、来年度退職される
教育学部のK教授編集の書籍の編集会議。
執筆依頼の返事がほぼ出揃ったので、
さまざま細かな調整を行った。

O君にお祝いを送る。
神楽坂の「うつわや釉」で選んで、配送をお願いした。
O君は私が高校の教員をしていた時の担任の生徒だったが、
このたび博士号を授与され、また結婚したのである。
学位授与式の時におつれあいに紹介されたが、
学位と結婚のお祝いのしるしに、
ささやかな食器を贈ることにした。
やや小ぶりな鉢を選ぶ。
O君は考古学が専門だから、
土器ということで…

東京松屋本店で、老母に吉野葛のお菓子を贈る。
これは親孝行まで。

中野三敏先生の『写楽 江戸人としての実像』(中公新書)を一気に読んだ。
昨年、中野先生のご講演を拝聴したが、
その時の雅俗を軸にした江戸文化論も
コンパクトに収載されている。

浮世絵師東洲斎写楽は、
八丁堀地蔵橋に住んでいた阿波蜂須賀家の能楽師
斎藤十郎兵衛という
斎藤月岑著『増補・浮世絵類考』の記述が正しいことが、
『江戸方角分』の資料価値を解説しながら
明確に論証されている。

面白かったのは、
写楽こと斎藤家の隣が
村田春海の家であったという事実である。
その斎藤家から迎えた養子が、
村田家を継いでいたとは知らなかった。
うーん、江戸のことは
こんな細かいところまで分かるのか!

『江戸方角分』ではないが、
作者部類の研究に手こずっているS君に、
この本を読むことを
早速勧めてあげることにしよう。