晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

帚木蓬生著 『水神』

2010年06月15日 | 
昨夜の日本サッカー勝利の興奮も覚めやらぬ先ほど、『水神』上下を読了しました。
途中何度も胸がつまり、これほど傑出した人物が現実に存在したことに驚き、今更ながら尊敬の念が湧き上がっています。時代物は好きじゃないといいながら、昨年「出星前夜」を読み、穏やかでありながら昔の男気ある主人公達に魅せられてしまったbambooです。後で知りましたが、本書が新田次郎文学賞を受賞しているのも無縁ではないかもしれません。私が水と人との関わりに興味を持ったのは熊本の市房山の帰りに立ち寄った通潤橋から始まりました。次に脊振山系の蛤岳にある蛤水道を見てさらに強くなったように感じます。水道事業にかかわる息子をも案内しました。

筑後川周辺に住む干ばつや大水で冠水した農民が食料を求めて耳納山に入山するために”山札”なるものが必要だったとは、驚きでした。飢えた農民が山へ葛や蕨、樫の実、松の皮(剥いで何度もさらした後に松皮粉)を求めて、登ったのです。身代と命をかけて偉業を成し遂げた五庄屋は勿論のこと、他に久留米藩士の菊竹源三衛門の仲立ちがあったのも見逃せません。彼の生き様も深く心に刻まれます。
筑後川堰を訪れ、耳納山を歩きたくなりました。

帚木さんの作品に寄せる思いはこちらから伺い知ることができます。

天はその村の傍らに大きな川を与えた。しかし、大河を流れる水は一滴も――。嘆きの声すら掻き消す水流。ここ筑後川に堰を築くため、水涸れ村の庄屋五人が身命を賭して戦いを挑む! 気概に共鳴した老武士の奔走によって工事は許されたが、待ち受けていたのは思わぬ抵抗、そして犠牲……。(ブックレビューより)
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12 コメント

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Unknown (panda)
2010-06-15 19:10:35
こんいちは、
帚木さんの作品は「国銅」を読みました。奈良時代の仏像つくりを背景に描かれた作品に、仏像を見る目が変ったのを覚えています。
きっとこの「水神」も同じように、筑後川の治水を背景に民の苦悩が描かれているのでしょうね。
地味な作品だけど。きっと力強い内容だと思います。ありがとう。図書館で探してみるね。
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こんばんは (bamboo)
2010-06-15 22:04:28
>奈良時代の仏像つくりを背景に描かれた作品に、仏像を見る目が変ったのを覚えています。
「国銅」は未読です。続けて読んでみるつもりですが、読みたい本がまだ後に控えているのでもうしばらくかかりそうよ・・
黒髪でシタキソウを見れると期待していたのに探せませんでした。でもpandaさんとこでマダガスカルジャスミンに似る姿を見せて頂きましたよ。また来年までお預けかな

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水神 (ぼん天棒)
2010-06-16 22:09:02
bambooさん今晩は
今日は山日和でしたねぇ~でも・・・
又大石堰に行ってしまいました
ミヤマキリシマを観ようか大石に行こうか
苦しみ悩みましたが、久住の山よりも
楽な浮羽の田園探訪を楽しんできました

前回の宿題
袋野隧道の出口は何処か
長野水神社附近でよく分からなかった
大石・長野水道は何処を流れているか
田代大庄屋の屋敷は何処か

等々探すことにした
写真撮ってきました
2,3日後にブログに追加掲載したい
と思っています
そこで一句
ボケ防止登った山にヤマボウシ

でも、元助が筑後川の水を汲んでいた所
をウッカリシテ撮り忘れていました
山下助左衛門に叱られました
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テンサラバサラ (panda)
2010-06-17 11:54:23
こないだ蕾だったからもう咲いてるかも。
でも今年は花つきがよくないみたいで…
今度登る時声をかけますね。
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ふ・ふ・ふ(*^_^*) (bamboo)
2010-06-17 18:39:34
テンサラバサラも面白いねぇ~
でもねケサラン・パサランだよ~ん♪

誘って誘ってね
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ぼん天棒さんへ☆彡 (bamboo)
2010-06-17 18:46:57
すっかり水神様に取り込んでしまいましたね
昨日久住の帰りにドキドキして(行きはガスってて視界が利かず・・)耳納連山の山々を眺め、高速ICも確認しました。
高速バスで行かれないこともないかなぁ~
>2,3日後にブログに追加掲載したい
と思っています
楽しみにしています。
>ボケ防止登った山にヤマボウシ
川柳ぽくてぼん天棒さんらしい1句をありがとうございました。

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水神 (CJN)
2010-06-19 12:25:16
私も読みました。この筑後川付近では「五庄屋」としてよく知られているお話です。小説にはフィクションもありますが、ようやくいろんなことがわかったという所です。箒木さんはこの近くご出身なのでこの話を子どもの頃に聞いたことが合ったのでしょうね。箒木先生のギャンブル依存症の本も良いです。これが専門らしいです。それから、1度近くの堰巡りをしたいと思っています。筑後川の堰です。「水神」の大石堰から上流の夜明ダムに沈んだ堰、下流の山田堰(3連水車に関係あり)更に床島堰などありますが、山田堰以外は有馬藩に属しています。水車はようやく回っているようです。今年は新品です。古い部品が売りに出されたので買いました、ひしゃくの部分です。水車友の会の会員いうことになっているようです。
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CJNさんも! (bamboo)
2010-06-20 17:38:01
比較にはならないのですが、〈告白〉より〈水神〉の方が読後が、はるかに人を幸せにし、”生きていて良かった”と感じられます。内面をえぐる作品の価値は認めますが、年取ると重さや罪は耐え切れなりました・・・

>堰巡りをしたいと思っています
魅せられたのでしょう。ぼん天棒さんは実行されました。リンクしたブログにアップされています。ご覧下さい!私も今年中に廻る予定にしています。
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 (CJN)
2010-06-20 20:53:59
是非近々にまわりたいと思います。近いのでいつでも行けると思ってしまうのです。
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mixi (CJN)
2010-06-20 21:03:23
私は同じハンドルでmixiにもいます。
では・・・また!!
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