この話しを聞かせてくれた女の子の本名は知らない。
源氏名で、「れなちゃん」と言う。
察しの通り、風俗嬢だ。
風俗嬢に対して、偏見のある方でも、それは別として、この話しを聞いてもらえたらと思う。
れなちゃんの家族構成が出来あがるにあたっての経緯を説明された時に、もう一度、聞き直したくなる様なものだった。
簡潔に説明すると。
彼女が思春期に一緒に住んでいたのは、「母方のお爺ちゃん」と「実の父親ではない父親」と、れなちゃんの三人だと言う。
本当の母親は、れなちゃんが中学生のころ、亡くなったらしい。
本当の父親は、れなちゃんが生まれるころに、離婚して、現在でも会っていないし、会いたくもないと言う。
実際に、「血」が繋がっているのは、「母方のお爺ちゃん」だけ、という事になる。
幸い、義理の父親はすごく出来た人間で、れなちゃんの事を、自分の娘の様に育てて、今現在でも幸せな関係を築いていると言う。
僕が話しを聞いた当時、れなちゃんは22歳だった。
22歳にしては、しっかりと挨拶が出来て、礼儀正しい子だった。
黒髪で目がキレイで、所謂「売れっ子」と言っていい。
そんな彼女のお爺ちゃんは、痴呆症で、結果として老人ホームに入居する事になった。
それからは、義理の父親との二人暮らしが始まった。
二人の絆は、血縁を超えたもので、問題は一切なかった。
そして数か月経って、お爺ちゃんが亡くなった事を、義理の父親からの電話で知る。
当時、彼女は高校生だった。
彼女の中で、自分と血の繋がりのある人間の最後の一人だったお爺ちゃんが死んだ事は、相当なショックだと容易に想像できる。
彼女は、お爺ちゃんのお葬式に参列しなかった。
お爺ちゃんが死んだんだと認めるのが、イヤだったらしい。
ハッキリと「お爺ちゃんの死体を見るのが厭だった」と僕に言った。
その気持ちは理解できないものではない。
数か月して、彼女は葬式に行かなかったことを後悔した。
そんな日々を過ごしていると、やっと、お酒を飲める年齢になって、間もなく夢を見た。
れなちゃんは、「私は夢を見ないんですよ、見ても忘れてしまっているんだと思います。でも、その日の夢は違いました。」と僕に言った。
夢の内容は、『真っ白いシルエットの、逆光を受けた様なお爺ちゃんが、私の事をワインを飲みに行こうと誘ったんです』と
夢の中で、ハッキリと「自分のお爺ちゃんだと言う自覚」は無かったけれど、なんとなく「お爺ちゃん」だと思えたらしい。
れなちゃんは、起きた後でも、「ワイン」と言うキーワードを忘れられなかった。
ある日、どうしても気になって親戚に連絡を取り、「お爺ちゃんとワイン」の関係を聞いた。
案の定、お爺ちゃんは、元気な時は赤ワインしか飲まない人だったと言う。
れなちゃんの記憶の中では、赤ワインを飲んでいるお爺ちゃんはいない。
既にご老体だった為か、それとも子供の前では控えていたのかも知れない。
れなちゃんは、自分のバイト代で、安い赤ワインを買ってきた。
特に「命日」と言うわけではないけれど、ワイングラスもなかったので、普通のコップに赤ワインを注ぎ、家族三人、「お爺ちゃん」と「義理の父親」そして「れなちゃん」で囲んだテーブルの上に、置いて寝た。
テーブルの周りには、ベージュ色の合皮が貼られた木製の椅子が四つ囲んでいた。
勿論、各自の座る場所は決まっていた。
一つは、れなちゃんの実の母親が座っていた椅子、今では誰も使わない。
義理の父親も忙しく、一人でコンビニの弁当を食べた、れなちゃんの椅子。
亡き妻を思いながら、どこかで買ってきた惣菜を食べた、義理の父親の椅子。
そして、お爺ちゃんが老人ホームに入ってからは使われなくなった椅子。
それらが、同じ薄い色の木製のテーブルを囲んでいた、誰も飲むはずのない赤ワインを乗せて。
次の日、れなちゃんが起きると、地震でもなければ倒れないようなコップに入れた赤ワインはコップごと倒れて零れていて、ビッショリとお爺ちゃんが座っていた椅子を濡らしていた。
れなちゃんは、さすがにテーブルに零れた赤ワインは拭き取ったが、お爺ちゃんが座っていた椅子に零れた赤ワインを、敢えて拭き取らなかったと言う。
その後、しっかりと付着した赤ワインの染みを見るたびに、お爺ちゃんを思い出し、守られている気分になるらしい。
蛇足かも知れないが、れなちゃんの義理のお父さんは内縁の妻を見つけて、今は、血の繋がりの全くない他人同士の家族三人で、とても幸せに暮らしていると言う。
源氏名で、「れなちゃん」と言う。
察しの通り、風俗嬢だ。
風俗嬢に対して、偏見のある方でも、それは別として、この話しを聞いてもらえたらと思う。
れなちゃんの家族構成が出来あがるにあたっての経緯を説明された時に、もう一度、聞き直したくなる様なものだった。
簡潔に説明すると。
彼女が思春期に一緒に住んでいたのは、「母方のお爺ちゃん」と「実の父親ではない父親」と、れなちゃんの三人だと言う。
本当の母親は、れなちゃんが中学生のころ、亡くなったらしい。
本当の父親は、れなちゃんが生まれるころに、離婚して、現在でも会っていないし、会いたくもないと言う。
実際に、「血」が繋がっているのは、「母方のお爺ちゃん」だけ、という事になる。
幸い、義理の父親はすごく出来た人間で、れなちゃんの事を、自分の娘の様に育てて、今現在でも幸せな関係を築いていると言う。
僕が話しを聞いた当時、れなちゃんは22歳だった。
22歳にしては、しっかりと挨拶が出来て、礼儀正しい子だった。
黒髪で目がキレイで、所謂「売れっ子」と言っていい。
そんな彼女のお爺ちゃんは、痴呆症で、結果として老人ホームに入居する事になった。
それからは、義理の父親との二人暮らしが始まった。
二人の絆は、血縁を超えたもので、問題は一切なかった。
そして数か月経って、お爺ちゃんが亡くなった事を、義理の父親からの電話で知る。
当時、彼女は高校生だった。
彼女の中で、自分と血の繋がりのある人間の最後の一人だったお爺ちゃんが死んだ事は、相当なショックだと容易に想像できる。
彼女は、お爺ちゃんのお葬式に参列しなかった。
お爺ちゃんが死んだんだと認めるのが、イヤだったらしい。
ハッキリと「お爺ちゃんの死体を見るのが厭だった」と僕に言った。
その気持ちは理解できないものではない。
数か月して、彼女は葬式に行かなかったことを後悔した。
そんな日々を過ごしていると、やっと、お酒を飲める年齢になって、間もなく夢を見た。
れなちゃんは、「私は夢を見ないんですよ、見ても忘れてしまっているんだと思います。でも、その日の夢は違いました。」と僕に言った。
夢の内容は、『真っ白いシルエットの、逆光を受けた様なお爺ちゃんが、私の事をワインを飲みに行こうと誘ったんです』と
夢の中で、ハッキリと「自分のお爺ちゃんだと言う自覚」は無かったけれど、なんとなく「お爺ちゃん」だと思えたらしい。
れなちゃんは、起きた後でも、「ワイン」と言うキーワードを忘れられなかった。
ある日、どうしても気になって親戚に連絡を取り、「お爺ちゃんとワイン」の関係を聞いた。
案の定、お爺ちゃんは、元気な時は赤ワインしか飲まない人だったと言う。
れなちゃんの記憶の中では、赤ワインを飲んでいるお爺ちゃんはいない。
既にご老体だった為か、それとも子供の前では控えていたのかも知れない。
れなちゃんは、自分のバイト代で、安い赤ワインを買ってきた。
特に「命日」と言うわけではないけれど、ワイングラスもなかったので、普通のコップに赤ワインを注ぎ、家族三人、「お爺ちゃん」と「義理の父親」そして「れなちゃん」で囲んだテーブルの上に、置いて寝た。
テーブルの周りには、ベージュ色の合皮が貼られた木製の椅子が四つ囲んでいた。
勿論、各自の座る場所は決まっていた。
一つは、れなちゃんの実の母親が座っていた椅子、今では誰も使わない。
義理の父親も忙しく、一人でコンビニの弁当を食べた、れなちゃんの椅子。
亡き妻を思いながら、どこかで買ってきた惣菜を食べた、義理の父親の椅子。
そして、お爺ちゃんが老人ホームに入ってからは使われなくなった椅子。
それらが、同じ薄い色の木製のテーブルを囲んでいた、誰も飲むはずのない赤ワインを乗せて。
次の日、れなちゃんが起きると、地震でもなければ倒れないようなコップに入れた赤ワインはコップごと倒れて零れていて、ビッショリとお爺ちゃんが座っていた椅子を濡らしていた。
れなちゃんは、さすがにテーブルに零れた赤ワインは拭き取ったが、お爺ちゃんが座っていた椅子に零れた赤ワインを、敢えて拭き取らなかったと言う。
その後、しっかりと付着した赤ワインの染みを見るたびに、お爺ちゃんを思い出し、守られている気分になるらしい。
蛇足かも知れないが、れなちゃんの義理のお父さんは内縁の妻を見つけて、今は、血の繋がりの全くない他人同士の家族三人で、とても幸せに暮らしていると言う。
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