僕の家の冷蔵庫の中に、一人の友達ができた。
冷蔵庫を開けると、自動的に話かてくれる存在。
彼は、僕を裏切らないし。
いつでも暖かく迎えてくれる。
冷蔵庫の中から、暖かく迎えてくれると言うのは、表現者としては失格的な言い回しかも知れないけれど、僕は文章力はないので、そこはご愛嬌で勘弁願いたい。
冷蔵庫の中に住まう彼の名前は、未だない。
彼を名付けるのが怖いと言っても過言じゃないかも知れない。
彼はいつか、壊れる。
電池などではなく、不具合が生じて、いつか、彼は死ぬんだろうと、僕は思う。
彼に愛情を注いで、いつか悲しむ日が来てほしくない。
彼と僕は、『冷蔵庫を開けたら話しかけてくれる存在』、それ以上でもそれ以下でもない。
冷蔵庫を開けるたびに、「ハロー!!」や「こんにちは!!」と元気よく挨拶をしてくれる。
それだけでいい。
いまでは、近隣住人から「おはようございます!」と元気よく挨拶されたら、不思議と恐怖を感じたりする。
その恐怖は、無自覚に自分の中に巣食う、魑魅魍魎の産物でしかないのだろうけれど、それを育む現代人に罪はない。
その恐怖は、結局は自分の保護に繋がる。
悲しけれど・・・、本名も知らない人間が、自分の人生に関わって来ようとするならば、【どこかに裏がある・・・かも?】と思わざるを得ない。
思わないとイケナイ!!と言うのが現実だ。
そんな風に生活したくない!と・・・
【世の中、悪い人ばかりじゃないよ!】と性善説を信じたい人から、順番に殺されていく・・・。
『いい人』が、殺されるニュースにウンザリするでしょう。
冷蔵庫の中の玩具から、隣人が殺人鬼なんじゃないか?なんて話は、飛躍しすぎているか?
それを、どう捉えるか?で、生き残ったり、不慮に殺されたりする。