Thinking of you

旅行記や映画の感想など日々の暮らしを徒然なるままに残しておきます

突然ですが、映画の感想(笑)

2005-07-24 00:38:41 | 映画
いろんな書かなきゃと思うことをすっ飛ばして、今日行ってきた映画の感想。
一緒に行った友人の感想ブログを読んだら、書きたくなってしまった

どのくらいぶりなのか、記憶が無いほど前に邦画を見て以来の邦画。
「姑獲鳥(ウブメ)の夏」
これは、知っている人は本当に知っていて、知らない人はまったく知らないという原作を元にした、映画化は無理だろうといわれていたものを見事なキャストとスタッフで映画化した話である。
ってことで、この後はネタバレあるので気をつけてください。


まずは、私の一番好きな小説家はミステリー作家の京極夏彦氏。勿論、「姑獲鳥の夏」の原作者である。なので、それほどコアではないが、とりあえずこのシリーズは全作読み終わっているよんという人間である。なんだ、読み終わっているだけかとお思いの知らない方のために。
この本、一冊が辞書並の厚さである。ついでに言うなら、難解このうえないシロモノ。絶対に面白いから読みなと数年前に妹に貸し、今回映画に行くために読み返そうと妹に言ったら、いまだ読んでいなかった
ちなみに、それでも読み返してみればさすが一冊目。これに続くシリーズよりは遥かに読みやすく薄い!そして、登場人物勢ぞろいするこの一作目なくしてベストセラーにはならなかっただろうと思われる。(そう、このシリーズベストセラーなんです。そっちの方が私は驚きだ)
舞台は戦後の東京。登場人物は学生時代や、昔からの仲間。
怪奇本(?)等専門の古本屋、蘊蓄はじめたら止まらない京極堂(ちなみに、神社の神主でもあり憑き物落としでもある。)。
鬱病気味で後ろ向き粘着質の、小説家、関口巽。
子爵の息子なのに破天荒、美男子なのに左目が悪く(戦争のときの照明弾のせい)その左目で見えないものを見る(ここだけちょっと、どうかなと思うが、それが彼の魅力)榎木津礼二。
戦争時代は関口の部下だった、刑事で榎木津の知り合い(幼馴染?)木場修一。
この四人が主要メンバー(ちょっと、違うか?)。

戦後の雑多だが復興の熱気にまみれた時代、オカルトモノ等の噂は山とあって。
今回は関口が仕入れた情報、20ヶ月も子供が生まれないままの女に対しての意見を京極堂に聞きに行くことから物語は始まる。

個人的には思い入れがある分、感想は辛口になるもので。ただ、原作に凄く忠実だったと思います(まあ、それなりにあの厚さの本を二時間にまとめるんだから、はしょった部分もありますが)。カメラの使い方が凄く見せると思います。キャストも、最初はちょっとな~とイメージが出来ていたので違うかなと思っていたのですが、最後には違和感なかったですからね不思議なことに。
しかし、ちょっと中途半端な感じが否めない。
基本的には、おどろおどろした話なんですよ。現代だったら有り得ないという話を、時代が時代だからありえて、更に悲惨さを増すというか。
R-15ぐらいで作ってほしかったかな。もうちょっと、血とかエログロとでもいいますか、そういう部分がイマヒトツだったのが残念でした。妙に明るいというかポップというか。凄く悲惨な事件を扱っているわりには。
最後の京極堂(堤真一)の衣装が~、原作は墨で染めたような真っ黒な着流しに、黒い羽織。手には手甲。黒足袋に黒下駄、鼻緒だけが赤い……これ、この格好して欲しかったよぉ~
あと、私は原作を読んだ友人と一緒だったんですが、これは原作を読んでない人間には意味が分かるのだろうかと……。
今回は読み直していったので、まるで復習しているようにすんなりと内容が入ってきたのですが、読んでない人は分かるのだろうか?
原作者本人が傷痍軍人の水木しげる(京極夏彦と親交の深い、ゲゲゲの鬼太郎の作者)役で、出てたんだけど、これは本を読んでないと分からない……ってか、本読んでても分からないかも。本に写真は載っているけど遠目だし。
もし、この映画を見に行くときはやはり、原作を読んでからがお勧めしますね。
夏の夜にぴったりの、小難しい本なので嵌る人は熱さも気にせず一気に読めるし、嵌らない人は眠気に襲われます。
これ、シリーズ化されるのかな。日本独特の文化を描いているかもね。シリーズ化……、今回みたいに原作に忠実だったらOKだけど、映像化不可能だろうってのもあるから(作っても、ちゃっちくなりそうだし)そこがクリアできるなら、シリーズ化はひとまず賛成かな。

最後に、京極堂のセリフ。
「この世には、不思議なことなど何も無いのだよ」

……やはり、カッコイイです