以前に投稿した面白い話の第2弾です。
芥川龍之介の代表作「蜘蛛の糸」を知らない人は少ないでしょう。
お釈迦様が極楽から垂らしてくれた「蜘蛛の糸」を主人公は登り始めますが、他の罪人も登り始めたので
「この蜘蛛の糸は俺のものだ!下りろ!」と叫んだ途端に蜘蛛の糸は切れて主人公は地獄に逆戻りします。
「身勝手さはわが身を滅ぼす」といった教訓とも思われるお話です。
では、本当に蜘蛛の糸は人間を支える強さがあるのか??
蜘蛛の糸(ジョロウグモ)は人間の髪の20分の1の太さで0・005㎜。
しかし、強度は1平方㎜あたり200kgもありピアノ線に匹敵します。
つまり、髪の毛の6倍の太さ(0.62㎜)で60kgの人間ならぶら下がることが出来ることになります。
でも、0.62㎜の糸を出せる蜘蛛(ジョロウグモ)の大きさは計算上では体長3・1m、体重920kg!!
でっかい蜘蛛です。
小説には登った人数を「何百となく、何千となく」と書かれています。
仮に登った人数を5千人、平均体重60kgとしたら、必要な糸の直径は4・3cmとなり、この太さの糸を
発生できる蜘蛛の体長は220m、体重は32万t。
そんな大きなジョロウグモが極楽にはいるのです。
びっくりですね。
小説では主人公が身勝手な言葉を発して蜘蛛の糸は切れましたが、
もし蜘蛛の糸が切れなかったとしたら
彼は極楽に辿り着けたのでしょうか??
小説では「地獄と極楽の間は、何万里あり容易にたどり着けない」とあります。
もし、5万里とすれば20万㎞、地球の直径の16倍もあります。
小説によれば、お釈迦様が糸を垂らしたのは朝、主人公が落ちたのは昼近くでした。
その間の時間は長くても6時間の出来事です。
一筋の糸に罪人たちが数珠繋ぎ(その間隔は1m位か?)で「何百、何千」と登っています。
その人数を5千人とすると先頭の主人公は5千m登っていたことになります。
極楽までの距離は20万km
、まだ19万9995kmも残っています。
このペースで登っていくと、不眠不休で27年5ヶ月もかかるのです!
これだと地獄にいたほうがマシじゃないか?
やっぱり悪事を働いてはいかんのです。
柳田理科雄・著 (角川つばさ文庫)から