江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

非常勤教員の戯言 48 「勉強から逃走する子どもたち ①」

2014-09-27 | 随想
明と光男(共に仮名)は3年生の中でも最もヤンチャで落ち着かない男の子たちである。
普通に授業をしていると、ほとんど参加せず手遊びやおしゃべりをして過ごす。

担任は、何とか彼らに授業へ参加意識を持たせようと様々な手をうっているが、容易に効果が表れない。
週2時間の社会科授業を担当する私にとっても難題である。

明は、とにかく動きが小刻みで激しい。
ノートを破いてマンガのキャラクターのようなものを描いていたかと思ったら、消しゴムを定規で切り刻んで友達に投げつけている。
それを制止させ、同じくノートにいたずら書きをしている光男の方へ注意しに行ってる間に、今度は後の席の子にちょっかいを出す。
そのうちに、この二人の会話が始まる。
昨日のテレビの話やマンガの内容を大声で話し合う。
時々ケラケラ笑いながらの会話である。

教員に注意され友達に注目されるから「故意にやっている」行為ではなさそうだ。
彼らにとっては授業中であろうが休み時間であろうが、唯、したいからやってるにすぎない。
というか、授業に関心を持っていないのである。
彼らにしても、「最もしたいことをしている」のではなく、今教室という環境の中でできる「勝手な過ごし方」をしているわけだ。

それでも明は、授業中はお勉強をするのがいい子だというタテマエは知っているようで、注意した上でやるべきことを伝えると暫くはそれに時間を費やす。
しかし、光男は手ごわい。
教科書は持ってこないし、ノートもまともに書かない。
「オレ、そんなもんやる気しねえよ!」
「社会なんて役に立たねえし!」
と、こんな感じである。

他の子どもたちは、面白いとか面白くないとか感じていても口には出さないが、彼は感じたままに口に出す。
初めて学ぶ社会科という教科に対しても何かを感じているに違いない。
それまでの生活科という名の奇妙な内容の授業が、いかに無駄なことをやっていたのか思わざるをえない。
社会認識を高めるどころか、考える力さえ養えていなかったのではないか・・・。

彼らでも関心を持てるように、より具体的に話したり取り組めそうな問題提示をするのだが、それも一時しのぎを免れない。
とりあえず、板書を写すとか友だちの話を静かに聞くとか基本的なルールを身につけさせようとするが、それができないのである。

そこで、ある日、彼ら二人を徹底して主人公にした授業を試みることにした。
(つづく)




<やったるで>

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