2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 佐高信、雨宮処凛著『貧困と愛国 増補版』(角川文庫)

2010-03-28 23:17:14 | 読書
佐高信さんと雨宮処凛さんとの対談。

雨宮さんは、「派遣切りは、企業のモラルが完全に崩壊した、すでに地に墜ち果てたことを証明し」(22頁)、それが行われる時代の絶望した若者には、「自殺」、「餓死」、「ホームレス」または「刑務所」の「四肢」(23頁)しかないという。
そんなものが選択肢とは言えないことをわかった上での発言だろうから、いかに今の日本社会が絶望的であるかを、読者に伝えたかったのだと思う。

また、学校がいじめで「ものすごい犠牲者を出している」「戦場」ということをかじることができる先生たちであれば「学校の環境はいまとは全然違った」とも言っている(74頁)。

佐高さんは、「どこまでが社会の責任で、どこまでが自己の責任かを問うたり、その絡み合いを見極め」ようと努めることが本物の「思想」だが、「ベタ社会かベタ個人か、という話では思考停止だ」と言っている(171頁)。少し前に流行った「自己責任論」はまさに「ベタ個人」で、社会の責任を放棄していたが、今はその反動で「ベタ社会」になる傾向があるように思える。

また、「ギリギリのところにいる者同士が」「足を引っぱり合うのではなく、助け合ったり力を合わせたりするという、人の絆の原点を」佐高さんは信じたいといっている(196頁)。今日食べるものがなく、都会の真ん中で「餓死」してしまう状況に追い込まれている人にとっては、「右翼だ、左翼だ」というような思想論争に全く意味はない。それよりは、どのようにして生活保護を受けられるかというほうがはるかに重要だ。その目的の為に、思想の違いを超えて、互いに生きていくために、協調が始まっていると私は思う。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 厳しい新聞販売店 | トップ | 寒い朝 »

読書」カテゴリの最新記事