行きつけのスーパーは二階にあり、店の前はペディストリアン・デッキ(歩行者専用広場)になっています。その歩行者専用広場から、一人の老人が階段を降りているところでした。手すりに掴まってはいましたが、足下がふらつきいかにも危なっかしい足取りでした。私よりかなり年輩に見えました。
どうにか階段を降り切れそうだと見計らい、私が階段を上り始めたときです。ドサッという音がしたので振り返って見ると、階段脇の小さな段差でその老人が倒れていました。その小さな段差には手すりがなかったのです。老人は一人では起き上がれないようだったので、サッと周りから人々が集まりました。それを見届け、私はそのままスーパーに向かいました。
「(単なる老化のせいではなさそう。ひょっとしてアル中のビタミンB1 不足?)」と思ってしまいました。かつて酒浸りだった私の姿が老人に被って見えたのです。1年半続いた連続飲酒の末期に、私は次のような経験をしています。
先ず毎日の起床が大変でした。私は畳に布団派ですが、朝目覚めて上半身だけ起き上がれても、寝床からすんなり立ち上がれなかったのです。胡座状態から片膝を立て、片手を膝に、もう一方の手を敷き布団に着いて、上体を前後に揺すって勢いを付けなければなりませんでした。やっと立ち上がれても、勢い余って目の前の襖に頭から突っ込みそうでした。制止しようにも足に踏ん張りが効かなかったのです。これじゃベッドに変えるしかないと真剣に考えたものでした。
階段を下りるのにも苦労しました。下ろした足に踏ん張りが効かないので、そのまま勢い余って転げ落ちそうだったのです。手すりなしでは怖くて階段を降りられませんでした。緩い傾斜の坂道でも下りはオッカナビックリのヒヤヒヤものでした。これにうつ状態が加勢して益々引き籠もりがちになりました。
ボタン嵌めにも苦労しました。普通ならできるはずの喉元のボタンやその直ぐ下のボタン嵌めがどうしてもできなかったのです。鏡に映して見ながらどうにか嵌めるという塩梅でした。ここまで来るとアルコール性小脳失調(ウェルニッケ脳症?)のレベルだそうです。
起床にせよボタン嵌めにせよ、毎日こんな状態だったのでもう介護なしでは生きていけないかも、とぼんやり考えていました。
アルコール専門クリニックに掛かるようになって、これらの症状がビタミンB1 不足によるものと教わりました。しかも一部はアルコール性小脳失調のレベルだったようです。“カッケ” でよく知られたあのビタミンB1欠乏症です。
アルコールの解毒に大量のビタミンB1 が消費されるという事実はあまり知られていないと思います。大酒飲みのせいで20年前からアル症と診断されていた私ですから、相当以前からビタミンB1 不足が響いていたようです。掌や指先、足裏にあった微かなシビレ感は、当初、糖尿病性抹消神経炎とばかり思っていました。更に、歩幅が狭くなって歩くのが遅くなったことも、歩き始めると脹ら脛から疲れるというのも、・・・思い当たる節が色々あるのです。
中でも意欲の萎えは実に巧妙でした。面倒くさいとか、どうでもよいとか、知らず知らずに考えてしまうことです。これも大酒飲みなら誰にでもありがちなことで、アルコール専門クリニックでビタミンB1 点滴補充を受けて初めて欠乏症のせいとわかりました。そのお陰で意欲が回復し、飲酒時代に苦痛だった読書も普通にできるようになれました。
上に述べた症状は、今ではどれも見事に回復しています。これらはビタミンB1 だけではなく、どうやらビタミンB6、B12 も含めたビタミンB群の欠乏によるもののようです。老化のせいと諦めていることでも、ひょっとしたらビタミンB群の欠乏が原因かも知れません。
豚肉を食べるなど食事でビタミンB1 を摂ればいいと考えるのが普通でしょうが、酒で胃腸が弱った状態では消化・吸収できません。サプリメントでも無理と聞きます。そんな場合に頼るべきは、やはり処方薬のビタミンB1、B6、B12 の配合剤。主治医によるとこれしかないそうです。私は今でもビタミンB群配合剤の服用を欠かしていません。
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どうにか階段を降り切れそうだと見計らい、私が階段を上り始めたときです。ドサッという音がしたので振り返って見ると、階段脇の小さな段差でその老人が倒れていました。その小さな段差には手すりがなかったのです。老人は一人では起き上がれないようだったので、サッと周りから人々が集まりました。それを見届け、私はそのままスーパーに向かいました。
「(単なる老化のせいではなさそう。ひょっとしてアル中のビタミンB1 不足?)」と思ってしまいました。かつて酒浸りだった私の姿が老人に被って見えたのです。1年半続いた連続飲酒の末期に、私は次のような経験をしています。
先ず毎日の起床が大変でした。私は畳に布団派ですが、朝目覚めて上半身だけ起き上がれても、寝床からすんなり立ち上がれなかったのです。胡座状態から片膝を立て、片手を膝に、もう一方の手を敷き布団に着いて、上体を前後に揺すって勢いを付けなければなりませんでした。やっと立ち上がれても、勢い余って目の前の襖に頭から突っ込みそうでした。制止しようにも足に踏ん張りが効かなかったのです。これじゃベッドに変えるしかないと真剣に考えたものでした。
階段を下りるのにも苦労しました。下ろした足に踏ん張りが効かないので、そのまま勢い余って転げ落ちそうだったのです。手すりなしでは怖くて階段を降りられませんでした。緩い傾斜の坂道でも下りはオッカナビックリのヒヤヒヤものでした。これにうつ状態が加勢して益々引き籠もりがちになりました。
ボタン嵌めにも苦労しました。普通ならできるはずの喉元のボタンやその直ぐ下のボタン嵌めがどうしてもできなかったのです。鏡に映して見ながらどうにか嵌めるという塩梅でした。ここまで来るとアルコール性小脳失調(ウェルニッケ脳症?)のレベルだそうです。
起床にせよボタン嵌めにせよ、毎日こんな状態だったのでもう介護なしでは生きていけないかも、とぼんやり考えていました。
アルコール専門クリニックに掛かるようになって、これらの症状がビタミンB1 不足によるものと教わりました。しかも一部はアルコール性小脳失調のレベルだったようです。“カッケ” でよく知られたあのビタミンB1欠乏症です。
アルコールの解毒に大量のビタミンB1 が消費されるという事実はあまり知られていないと思います。大酒飲みのせいで20年前からアル症と診断されていた私ですから、相当以前からビタミンB1 不足が響いていたようです。掌や指先、足裏にあった微かなシビレ感は、当初、糖尿病性抹消神経炎とばかり思っていました。更に、歩幅が狭くなって歩くのが遅くなったことも、歩き始めると脹ら脛から疲れるというのも、・・・思い当たる節が色々あるのです。
中でも意欲の萎えは実に巧妙でした。面倒くさいとか、どうでもよいとか、知らず知らずに考えてしまうことです。これも大酒飲みなら誰にでもありがちなことで、アルコール専門クリニックでビタミンB1 点滴補充を受けて初めて欠乏症のせいとわかりました。そのお陰で意欲が回復し、飲酒時代に苦痛だった読書も普通にできるようになれました。
上に述べた症状は、今ではどれも見事に回復しています。これらはビタミンB1 だけではなく、どうやらビタミンB6、B12 も含めたビタミンB群の欠乏によるもののようです。老化のせいと諦めていることでも、ひょっとしたらビタミンB群の欠乏が原因かも知れません。
豚肉を食べるなど食事でビタミンB1 を摂ればいいと考えるのが普通でしょうが、酒で胃腸が弱った状態では消化・吸収できません。サプリメントでも無理と聞きます。そんな場合に頼るべきは、やはり処方薬のビタミンB1、B6、B12 の配合剤。主治医によるとこれしかないそうです。私は今でもビタミンB群配合剤の服用を欠かしていません。
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自分も精神科を退院した当たりから、ビタミン剤(ビタミンB1、B6、B12)を処方されてました。
確か2年ほどだったと思います。
処方されたおかげか、幸いにもアルコール性小脳失調のような症状は出なかったです。
アルコールは、内臓と脳に異常をきたしてしまいますね。
いつまで続くか分かりませんが、断酒継続したいと思います。スリップしたらまたそこから始めます。
ビタミン欠乏症というのはジワリジワリと進行します。
そのため自覚できたときは後の祭りでもう手遅れというのが普通です。
サプリが無効で無駄というのもショッキングだと思います。
ここには書かなかったのですが、
無意識で作り話をしてしまう “作話” というのもあるようです。
アルコールは正真正銘の毒です。
大変な状態を克服なされましたね。
ビタミンですか~・・・なるほど(゜o゜)
参考になります。
ヒゲジイって・・80代でしょうか?
もし70代60代ならオジ様、
50代はお兄様ですよ(^O^)
私は当年とって66歳です。
HNそのもので、白い口ひげ・顎ひげを生やしています。
つまらない記事と思われるでしょうがよろしく!