断酒について言えば、楽に継続できるようになった転機は、間違いなく “憑きモノが落ちた” 体験でした。これを契機に飲まないで生きていけるようになったという意味です。断酒を始めて10ヵ月経った頃の出来事でした。
“憑きモノが落ちた” というのは、経験したことのない人にはなかなかピンとこない言葉でしょうが、今回はこの言葉の意味合いについて述べてみます。
通院しているアルコール専門クリニックでは曜日によって担当医が変り、ときに新任の医師に当たることもあります。断酒を始めて丸2年過ぎた頃だったでしょうか、30代後半の新任の担当医に当たり、この体験のことを話したことがありました。自分の口からも病歴を話しておいた方がいいだろうと考えてのことでした。
「それは、ストンと腑に落ちたという感じですかねぇ?」と聞いてきた担当医に、
「まぁ、そんなところですかねぇ?!」当たらずも遠からずだったので、私はつい頷いてしまいました。この時のやり取りに、ずっと何か引っかかっていました。
「正気に戻ったこと、それまでが異常だったこと、この二つを同時に気づかされた感覚です。」
今ならこう言ったと思います。当時は、こんなわかりやすい言葉が出て来ませんでした。モノの怪に取り憑かれた類いの話は、精神科医なら慣れっこのハズという思い込みがあったようですし、やはりPAWSのせいで脳の反応が鈍かったのかもしれません。
“憑きモノが落ちた” 体験当時、どんな変化があったのかを改めて整理してみます。直前まではっきり自覚していたことと言えば以下の3つでした。
● 身体が回復したと実感できていたこと
● 飲みたくて堪らないといった病的飲酒欲求はなかったこと
● 性的妄想に駆られてAV動画を見ずにはおれなかったこと
当時、病的飲酒欲求がなかったのは確かですが、「何としても断酒し続けなければならない」という強迫観念は強くありました。やはり、依然としてアルコールに囚われた状態だったのでしょう。性的妄想は、クロス・アディクションの片割れが前面に出て来たのだと思います。
体験後に実感したことを整理して挙げると、主に次の3つでしょうか。
○ 性的妄想の消失
○ 薄物が脳を被っていた感覚の消失
○ アルコール依存症(アル症)から完全に回復したという錯覚
体験後、性的妄想が消えてAV動画への欲求が全くなくなりました。ほぼ同時だったと思うのですが、頭がスッキリした感じになって、逆にそれまで脳を被っていた薄物感にも気づけました。そんなことから、アルコールが抜け切ったのだと実感できたのです。
アル症から完全に回復したという錯覚は、少し遅れて出て来たように思います。明らかにこれは、ドライドランク(PAWS)特有の症状だったと今では考えています。
これら変化の極めつきは、ブログへの自分史の投稿とゴミ拾いを始めたことでした。この二つがここまで飲まないで来れた一番の功労者(?)だったと思っています。
自分史の執筆は、アル症に至った兆候がどんなところにあったのか、この機会に自分の過去を洗い出してみようと思い立ったのが始まりでした。医者から教わった “言語化” が背中を後押してくれたからでもありましたが、上記の感覚の変化ナシでは考えられません。
ゴミ拾いの方は、ゴミが極自然に目障りになったのが切っ掛けですが、これも目に映る感覚が正常に戻ったためと考えています。
以上のことでハッキリしているのは、これらがいずれも感覚の劇的変化だということです。しかもそれらは、一瞬のうちにすべてが起こったと言うよりも、水が沁み入るように徐々に変化していって、遂には体の感覚すべて(体感)に転換が起こったと言う方がより近いように思えます。
結局、“憑きモノが落ちた” というのは、体感に転換が起こったことだと私は考えています。悟りとか神の啓示とか言われているものも、その実態はこのような体感の劇的転換のことなのかもしれません。
“憑きモノが落ちた” 体験の詳細については、次の記事をご参照ください。いずれも断酒して2年目に書いたものです。
「回復へ―アル中の前頭葉を醒まさせる」(2015.6.05投稿)
「 “身体的底着き” の後から “精神的底着き” も・・・(下)」(2015.10.16投稿)
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“憑きモノが落ちた” というのは、経験したことのない人にはなかなかピンとこない言葉でしょうが、今回はこの言葉の意味合いについて述べてみます。
通院しているアルコール専門クリニックでは曜日によって担当医が変り、ときに新任の医師に当たることもあります。断酒を始めて丸2年過ぎた頃だったでしょうか、30代後半の新任の担当医に当たり、この体験のことを話したことがありました。自分の口からも病歴を話しておいた方がいいだろうと考えてのことでした。
「それは、ストンと腑に落ちたという感じですかねぇ?」と聞いてきた担当医に、
「まぁ、そんなところですかねぇ?!」当たらずも遠からずだったので、私はつい頷いてしまいました。この時のやり取りに、ずっと何か引っかかっていました。
「正気に戻ったこと、それまでが異常だったこと、この二つを同時に気づかされた感覚です。」
今ならこう言ったと思います。当時は、こんなわかりやすい言葉が出て来ませんでした。モノの怪に取り憑かれた類いの話は、精神科医なら慣れっこのハズという思い込みがあったようですし、やはりPAWSのせいで脳の反応が鈍かったのかもしれません。
“憑きモノが落ちた” 体験当時、どんな変化があったのかを改めて整理してみます。直前まではっきり自覚していたことと言えば以下の3つでした。
● 身体が回復したと実感できていたこと
● 飲みたくて堪らないといった病的飲酒欲求はなかったこと
● 性的妄想に駆られてAV動画を見ずにはおれなかったこと
当時、病的飲酒欲求がなかったのは確かですが、「何としても断酒し続けなければならない」という強迫観念は強くありました。やはり、依然としてアルコールに囚われた状態だったのでしょう。性的妄想は、クロス・アディクションの片割れが前面に出て来たのだと思います。
体験後に実感したことを整理して挙げると、主に次の3つでしょうか。
○ 性的妄想の消失
○ 薄物が脳を被っていた感覚の消失
○ アルコール依存症(アル症)から完全に回復したという錯覚
体験後、性的妄想が消えてAV動画への欲求が全くなくなりました。ほぼ同時だったと思うのですが、頭がスッキリした感じになって、逆にそれまで脳を被っていた薄物感にも気づけました。そんなことから、アルコールが抜け切ったのだと実感できたのです。
アル症から完全に回復したという錯覚は、少し遅れて出て来たように思います。明らかにこれは、ドライドランク(PAWS)特有の症状だったと今では考えています。
これら変化の極めつきは、ブログへの自分史の投稿とゴミ拾いを始めたことでした。この二つがここまで飲まないで来れた一番の功労者(?)だったと思っています。
自分史の執筆は、アル症に至った兆候がどんなところにあったのか、この機会に自分の過去を洗い出してみようと思い立ったのが始まりでした。医者から教わった “言語化” が背中を後押してくれたからでもありましたが、上記の感覚の変化ナシでは考えられません。
ゴミ拾いの方は、ゴミが極自然に目障りになったのが切っ掛けですが、これも目に映る感覚が正常に戻ったためと考えています。
以上のことでハッキリしているのは、これらがいずれも感覚の劇的変化だということです。しかもそれらは、一瞬のうちにすべてが起こったと言うよりも、水が沁み入るように徐々に変化していって、遂には体の感覚すべて(体感)に転換が起こったと言う方がより近いように思えます。
結局、“憑きモノが落ちた” というのは、体感に転換が起こったことだと私は考えています。悟りとか神の啓示とか言われているものも、その実態はこのような体感の劇的転換のことなのかもしれません。
“憑きモノが落ちた” 体験の詳細については、次の記事をご参照ください。いずれも断酒して2年目に書いたものです。
「回復へ―アル中の前頭葉を醒まさせる」(2015.6.05投稿)
「 “身体的底着き” の後から “精神的底着き” も・・・(下)」(2015.10.16投稿)
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憑きモノが落ちた
のかどうかはわからないのですが
断酒を続けることがとても苦しい時期が気がつけば断酒を続けることが苦にならなくなっていました。(断酒1年弱ぐらいだったと思います。)
これで大丈夫断酒を継続できると思っていたら情緒不安定の時期がありそして飲酒欲求もつよくなってきているような時期がありました。(現在進行形かもしれないです。)
なんとかかんとか断酒を継続できていますがまだまだ気を抜かず頑張ろうと思います。
「スウィッチが入った」などと言われる衝動的な飲酒欲求なら要注意ですが、
そうでない限りあまり気にしなくてよいのでは?
「ひょっとしたら、飲んでも大丈夫かも?」
などという妄想はまだ私にもあります。用心、用心!
情緒不安定はドライドランク(PAWS)のせいだと思います。
それまでもあったのでしょうが、あまり意識に上っていなかったのでは?
異常が異常としてハッキリ自覚できて来たことは、
回復プロセスが着実に進んでいる証だと思いますよ。