ヒゲジイのアル中患者よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

アルコール依存症の進行プロセス

2016-03-04 17:39:04 | 病状
 今回はアルコール依存症がどういう進行プロセスを辿るのかをお復習いしてみます。私自身、記憶がおぼろげでどんな進行順だったのかハッキリしないことが多かったのですが、特定非営利活動法人 アルコール薬物問題全国市民協会[ASK]の資料を見てよ~く納得できました。家族や職場とのトラブルにも触れており、要点のすべてが簡潔にまとめられてあります。実によくできた資料です。
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    機会飲酒
     ○ 時たま何かの機会ごとに飲む程度。
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    習慣飲酒(スタート地点)
     ○ 日常的に飲み、酒に強くなって(耐性の形成)酒量が増加する。
     ○ 気分の高揚を求めて飲む。
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    依存症への境界線(精神依存の形成)
     ○ ほとんど毎日飲む。酒がないと物足りなく感じる。
     ○ 緊張をほぐすのに酒を必要とする。
     ○ 酒量が増え、ほろ酔い程度では飲んだ気がしない。
     ○ ブラックアウト(記憶の欠落)が起きる。
     ○ 生活の中で、飲むことが次第に優先になる。
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    依存症初期(身体依存の形成)
     ○ アルコールが切れてくると、寝汗・微熱・悪寒・下痢・不眠などの
       軽い離脱症状が出現し始めるが、自覚しないことが多い(風邪や
       体調不良と思う)。
     ○ 飲む時間が待ちきれず、おちつかない。イライラする。
     ○ 飲まないと寝つけない。
     ○ 健康診断で酒量を少なめに申告する。
     ○ 家族や周囲が酒をひかえるよう注意し始める。
     ○ 酒が原因の問題(病気やケガ、遅刻や欠勤、不注意や判断ミス、
       飲酒運転検挙など)が起きはじめ、節酒を試みる。
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    依存症中期(トラブルが表面化)
     ○ 二日酔いの朝の軽い手のふるえや恐怖感など、アルコールが切れる
       と出る離脱症状を治すために、迎え酒をするようになる。
     ○ 酒が原因の問題(病気やケガ、遅刻や欠勤、不注意や判断ミス、飲酒
       運転での検挙など)が繰り返される。
     ○ 家庭内のトラブルが多くなる。
     ○ 自分の酒に後ろめたさを感じ、攻撃的になる。
     ○ 飲むためにウソをついたり隠れ飲みをしたりする。
     ○ 職場では、上司からの注意・警告が始まる。
     ○ 節酒を試みるがうまくいかない。
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    依存症後期(人生の破綻)
     ○ 一人酒を好むようになる。食事をきちんととらない。
     ○ アルコールが切れるとうつ状態や不安におそわれるため、自分を保つ
       ために飲まざるをえない。
     ○ 連続飲酒、幻覚(離脱症状)、肝臓その他の疾患の悪化により、仕事や
       日常生活が困難になる。
     ○ 家族や仕事、社会的信用を失い、最後は死に至る。
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     特定非営利活動法人 アルコール薬物問題全国市民協会[ASK]の資料を一部改編)

  概観すると、習慣飲酒⇒精神依存⇒身体依存⇒連続飲酒発作の順で依存症は進行して行きます。これが、入口がやたらと間口の広い癒しの楽園で始まり、惨憺たる生き地獄の終着点へと至る滑落コースの全道筋です。

 “なぜ飲むのか?” 飲酒の理由は、気分の高揚を求めてのことか、あるいは緊張をほぐす目的なのか、どちらでもあり得ることです。体質的に飲めない人でも、人前でイイカッコをしたい(女性にモテたい)一心で飲み始めた人、仕事上の付き合いから已む無く飲むようになった人、いろいろな人がいます。共通するのは飲み続けている内にいつの間にか依存症になっていたということです。そして、何か不愉快でオモシロくないことがあったときには決まってお酒に走るようになっていたのです。

 習慣飲酒は、習慣的飲酒とも言い、私も依存症のハシリの状態と考えています。(ほぼ)毎日飲まずには済まない状態のことで、どんどん酒に強くなる耐性獲得の過程です。少しのお酒では酔った気がしなくなり、酒量は増える一方です。その場の習わしとして酒が出て、付き合いで飲む普通の飲酒習慣(機会飲酒)とは意味合いが違います。既に精神依存となった段階とも思えます。

 ブラックアウトは最初に経験する異常ですが、飲んでいて途中から記憶が欠落してしまい何も覚えていないことです。傍から見ると所謂 “目が座った” 状態のことで、大抵は深酒中の最中に起こります。急性アルコール障害の一つとされていますが、依存症に直結する “飲み出したら止められない” ―― “飲み方の異常” と言われる徴候が始まったとみるべきでしょう。頻発するようになると、アルコール性認知症に進展するとも言われています。

 依存症に特有の身体依存は、アルコールが体内から切れかかった時に出る離脱症状が特徴です。私の場合は、お昼前後になると掌に汗ビッショリというのが離脱症状の最初だったと思います。深酒した翌朝、決まってカゼのような症状に見舞われたことも離脱症状だったのだと、この資料で気づかされました。

 振戦(手のふるえ)は代表的な離脱症状です。私の場合も症状が出たのはやはりお昼前後以降からでした。手が振るえて字が書けないことは言うまでもなく、お昼時、カレーライスをスプーンで口に運べないとか、出されたお茶を溢しそうになって、茶碗に両手を添えて卓に置き直したことが何度もありました。その他、宴会で瓶ビールをグラスに注げない、あるいはグラスに受けることができないなど、振戦で悩まされたことは枚挙にいとまありません。アルコールを口にするとピタッと治まるので、否応なしに離脱症状なのだと納得させられました。

 “節酒が上手くいかない” ―― 酒にまつわるさまざまな失敗やトラブル続きで、さすがに酒を控えようと試み、一日の飲む量を減らしたり、休肝日を設けたりしますが、どう頑張っても1週間も続きません。結局、元の木阿弥どころか却って酒量が増えるのがオチです。しばらく禁煙した後、再喫煙すると一気に本数が増えるのと同じ現象です。依存症が進行している証拠です。一生、酒と縁を切る以外、他に手立てはありません。

 “朝から飲酒” などが始まると、“連続飲酒発作” まで一直線となります。所謂 “底が抜けた”  と言われる状態のことで、酒を飲んでは寝、飲んでは寝の繰り返しになることを言います。食事もほとんど摂らず、室内は空きビン、空き缶、レジ袋のゴミの山、下手をすると排泄物の垂れ流し状態にもなります。失神・転倒やブラックアウトの繰り返しも起こります。最早何も考えられず、自分ではどうにもならない末期の状態です。“山型飲酒” パターンという変型もあるそうです。連続飲酒の後、長ければ2~3ヵ月間の休酒期間を挟み、再び連続飲酒へと移る、つまり連続飲酒と休酒期間を繰り返すパターンのことです。幸い私は “山型飲酒” パターンを経験しないで済みました。

 アルコール依存症者は、“飲まないでいる限り”、健常者と同じように生きていけるようになります。これを回復と言います。回復のための必要十分条件は断酒を継続することだけです。

 アルコール依存症者の平均的死亡年齢は52~3歳です。今回の記事を読んで心当たりがある方は、命(=断酒)を採るか、酒(=死)を採るかの二者択一で一発勝負してください。断酒を継続するには、自分はアルコールには勝てないと観念し、降参することが絶対条件です。否認の病というだけあって、この心構えが最も難しく是非とも必要なことなのです。「もはや自分一人の力ではどうにもならない」と観念し、降参する所まで追い詰められないと専門医を受診しても無駄です。自分が酒を飲むのは他が悪いからと、他者に責任転嫁し自分を甘やかしている間は無理です。

 アルコールに降参という心構えでいる限り、どの段階からでも断酒を始めることが可能です。自分はアルコール依存症であり、アルコールに無力だと自分自身が心の底から納得しなければ、つい再飲酒してしまい、その都度さらに悪化を繰り返すのがアルコール依存症の怖さです。生涯治癒することがない恐ろしい病気である所以です。

 改めてアルコール依存症とはどんな病気か、お復習いしておきましょう。

  ● 時間や場所を弁えない “異常飲酒
  ● “最初の一杯” で抑えが効かなくなり、必ず “次の一杯” に
    いってしまう “飲酒コントロール喪失
  ● 断酒するしかなく、再飲酒したら元より酷い状態になる “進行性
    の病気

  ● 回復することはあっても治癒することのない “不治の病


飲酒に伴う諸症状については次の記事をご参照ください。
こんな望みが叶うなら、また酒を飲んでみたい?
アルコール依存症患者の末期の姿についてはこちらの記事で。
私の底着き体験・断酒の原点


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2 コメント

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はじめまして (ミケニャンコ)
2016-03-05 08:09:00
私の元主人はアルコール依存症で離婚後に34歳の若さで他界しました。
世の中では他人事と思っている人がいますがそんなことない。
もっとも身近な病気ではないでしょうか。

自分の意思が強くないと回復しない病気。
人には言えないけれど、多くの人が悩んでいることだと思います。
それは、本人だけでなく家族も。
ブログで多くの発信をしてください。

仰る通りです (ヒゲジイ)
2016-03-05 18:56:46
>ミケニャンコさん
資料の表を通して街中を眺めてみると
明らかにアル症の境界線を越えているとみえる人々の
何と多いことかと思われます。
お酒を飲まなくなって、私の眼でもそう見えます。
タバコについては目の敵にするヒトが多いのに
お酒に関しては何なのでしょう。
誰もが後ろめたさを持っているのでしょうか?
お酒に寛容というばかりではなく、
表立ってマトモにみたくない、触れてはいけない、
そんな腰の引けを感じます。
共犯者の後ろめたさですかネ?

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