ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

継続断酒3年 心の軌跡(飲まない生き方のモットー その4)

2016-11-18 07:15:19 | 病状
 前回は、長話のせいで失敗したエピソードをお話ししました。長話が原因でミーティングの閉会時刻を超過してしまい、それを咎められたことがキッカケとなり “認知のゆがみ” に気づかされた話のことです。

 このエピソードがあった頃は、意図した言葉がなかなか思い出せない想起障害に随分苦しめられていましたし、依然として記憶障害にも悩まされていました。それにもかかわらず、周りの人から顔つきが落ち着いて来たと言われ、自分でも随分回復が進んだものと思えていた時期でもありました。このことが却って、他にも未知の障害があるのでは(?)と気になって仕方ありませんでした。

 想起障害に加え思考プロセス障害を否応なしに自覚させられたのは、自分史『アルコール依存症へ辿った道筋』の連載が終盤に差し掛かっていた頃のことです。テーマが自分史から離れてもなお投稿し続けようとするならば、いよいよ直近にあった事柄から題材を採る必要に迫られていました。そのため、自分史以外のテーマについても時々ブログに投稿することにしました。

 ところが、遠い過去を題材とした自分史と違って直近の事柄を題材にすると、表現に手こずる場合が多いことに気づかされました。想起障害により的確な言葉や表現がなかなか出て来ないばかりか、言葉の使い方一般でもよく混乱していたのです。

 そんな時に知ったのが遅発性の離脱症状 ― 急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)でした。しかも、その中の思考プロセス障害が自分の悩みにピッタリだったのです。思考プロセス障害の多くは想起障害が絡んでいるに違いないと考えてしまいました。

 試に投稿済みの自分史を読み返してみると、出るわ出るわ、これぞ悪文のオンパレードでした。不適切な言葉の代用、不自然な助詞の使い方、翻訳調の回りくどい表現、時制の混乱、修飾語の語順の誤りなど、明らかに想起障害と思考プロセス障害の痕跡が見て取れました。自分史は勢いで書いていましたから、書いていたときは全く気づいていなかったのです。場面の描写やその時々の気持ちを自分の言葉で表現する際、特に誤りが多いことにも気づきました。このことから近い過去を題材に変えたことが手こずりの原因ではなく、投稿当初から抱えていた問題が単に続いているだけのことと納得できました。
 
 これでPAWSの主だった障害のすべて、記憶障害(短期記憶の障害)、情動障害(情動の揺れ)、想起障害と思考プロセス障害、“認知のゆがみ”(ストレス感受性に変化)が出揃ったことになりました。私自身、身を以てそれらを一通り経験したということです。

 短期記憶の障害は徐々に改善し始めていました。危険が一杯だった情動障害も精神的 “底着き” を期にピークを過ぎていました。想起障害と思考プロセス障害は手強い相手ですが、地道な脳のリハビリ・“言語化” を日々続けるしか他に手がありません。もう新たな心配事は出て来ないと思われました。

 どうしたら変な思い込みを少なくし、余計なストレスを感じなくて済ませられるかが課題となって来ました。いよいよ、“認知のゆがみ” の矯正が最大の課題になったのです。

 継続断酒3年間の後半は、言葉の持つ重み・含意は痛い思いをして初めて身に付くものと思い知らされた時期でもありました。この連載で挙げた言葉は、どれをとっても以前から知識としては知っていたものばかりです。苦い思いや手痛い体験を通じ、今はそれらがどうにか身に付いてくれつつあると思っています。見たり聞いたりした知識は、身を以て体験しなければ、いつまでも知識のままでしかありません。知識が知恵へと昇華するには生身の体験が必要なのだ、と改めて納得しています。
 
 今回も身を以て体験した実例を一つご紹介します。「ありのままの事実を ありのままに・・・」と題して投稿した今年7月初めにあった出来事のことです。その日のゴミ拾いの終盤、巡回コースで山場としている公園で思いがけない場面に出くわしました。

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 公園の広場では、20歳ぐらいの若い男女10人ほどが輪になって、水風船でキャッチボール遊びにうち興じていました。声の調子から少し酔っているようにも見えました。驚いたのは彼らの足元と辺り一帯がゴミだらけだったことです。ビールの空き缶やら、空のペットボトルやら、吸い殻やらが散らかり放題で、まるで不良仲間の悪ふざけ現場そのものでした。さらにその狼藉跡は、広場と幼児用の遊び場を仕切る木立にまで及んでいました。

 仕切りの木立にまで惨状が拡がっているのを見て、私は心底腹が立ちました。普段はゴミなどない所なのです。状況証拠からして、私はてっきり彼らの仕業と考えてしまいました。自分たちで散らかしたのでもない限り、普通ゴミだらけのただ中で遊ぶことなどあり得ないのです。私は、これは注意するしかないと決めました。

 若者の集団心理では、咎められても自分たちの非を素直に認めるとは限りません。どう声をかけるべきか迷っている内にハッとしました。彼らの犯行現場を目撃していなかったのです。証拠がない限り、自分たちが来る前からこの状態だったと否認されるのがオチです。女連れですからなおさらです。私は急遽黙っていることにし、彼らの近くまで着々と作業を進めました。

 すると、彼らも静かに場所を空けてくれたのです。私の作業を見て彼らも後ろめたさを感じていたのでしょう。私は手際よくゴミを片付け、公共心とはどういうものか、そのお手本を実践で示すことができました。“事実を事実として” ありのままに踏まえ、実証的な状況判断が殊の外大切なのだと、身を以て再認識できた出来事でした。

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 改めて現在、私がモットーとしている言葉たちをお示しします。

 ● 秩序とリズム
 ● 行動に移す
 ● 事実を事実として ありのままに・・・
 ● 一息ついて 一歩引いて 6秒待てば様変わる


 最初の二つは自律した日常生活を日々着実に送るためのモットーです。すでに前回、前々回の記事(その1と2)でご紹介したもので、整理整頓と規則正しい生活リズムを課したものです。三番目は、「ありのままの事実を・・・」としていたものですが、上述した公園での事件を契機に、「事実」を一層強調した方が良いと考えた結果です。

 最後のモットーは、自助会Alcoholics Anonymous(AA)で仕入れた「一息ついて一歩引いて」に6秒ルール(?)を加えたものです。リアルタイムで感情が変化する兆しを自覚できるようにはなっていましたが、どんな興奮も「6秒待てば」十分に鎮まることを学んだので、念押しにと加えました。風向きが変わり、違った結末が期待できる意味も込めています。ちょっと長めにしたことで時間稼ぎに打って付けです。

 この3年間は、次のようにまとめることができます。回復途上に現れた変化の多くは、後から振り返って初めて分かったものばかりです。


 継続断酒10ヵ月まで: 記憶障害と情動障害がピーク、 断酒を
            続け「なければならない病」(ガマンの
            断酒?)がピーク
 継続断酒18ヵ月まで: 飲まないでいるのが自然で楽、 回復を
            過剰に意識、“空白の時間” 対策確立 
 継続断酒18ヵ月以降: “認知のゆがみ”、想起障害・思考プロセス
            障害を自覚、“認知のゆがみ” 対策への本格
            的な取り組み開始

                                 (この項お終い)


醒めた頭で 醒めた目で」(2016.5.06投稿)
ありのままの事実を ありのままに・・・」(2016.7.22投稿)もご参照ください。


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