ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その10)

2018-02-23 09:16:54 | 悪文見本市
 久々に悪文見本市を取り上げてみました。まだまだ脳のリハビリを続けなければと思い知らされました。
 私にとって、このブログは闘病記録のようなものです。回復プロセスを含めた病状の記録と脳のリハビリを目的としています。自分の書いたものはその時々自分の心を映す鏡です。記事の内容もさることながら、書いた文章の不具合がその時々の病状を表していると考えています。この悪文見本市シリーズもその一環として掲載しています。

 アルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)は、断酒を始めて3~6ヵ月で自覚するようになると言われています。その症状の一つ “思考プロセス障害” では、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどが知られています。

 私の経験から言えば、次の3点に言い換えできるでしょうか。


 ● 脳が混乱して疲れやすく、よくストライキを起こすこと
 ● まとまった文章を書こうとすると、なかなか考えがまとまらない
   こと
 ● 使うべき助詞、所謂 “てにをは” の適切な使い方に迷うこと


 さらにより具体的に挙げれば、“遠回りする思考”、“助詞の使い方の混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などとなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)の失念” ということに要約できます。

 今回もその具体的な現れと思われる悪文事例をご紹介します。いずれも脳がストライキを起す寸前の状態にあり、集中力に欠け、文案が錯綜する混乱の中で書いたものと思われます。

 なお、現在掲載中のものはいずれも手直しした後の改訂版です。
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【事例43】
「ドライドランク状態は、再飲酒前に限って現れる特異的な症状ではなく、やはり誰もが経験する記憶障害と同様、回復プロセスの移行期の急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)の一つ情動障害である、と私は考えています。」
         
「回復プロセスの移行期には、急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)の一つとして誰もが必ず記憶障害を経験します。ドライドランク状態は、再飲酒前に限って現れる特異的な症状ではなく、記憶障害と同じくPAWSの一つ情動障害であると、私は考えています。」
       断酒中のドライドランクを自己診断できますか? 」(2015.10.30投稿)より

 重文と複文が組み合わさったてんこ盛りの、複雑でやたら長い構文となっています。二つの文に分けてみました。これだけで随分、読みやすくなったと思います。

 この他にもかなり手直ししましたので、大分読みやすくなったと自負しています。是非、『断酒中のドライドランクを自己診断できますか?』をご一読ください。
 

【事例44】
「・・・いわば医師の主観的な判断によっています。
 どんな病気でも、患者にとって最大の関心事はどの程度まで回復が進んでいるかです。アルコール依存症の場合、・・・ 患者本人も体調の復調を自覚できます。いうまでもなくアルコール依存症は脳の障害です。アルコールという薬物を慢性的に使用したことが原因で起きたものです。精神状態が障害されているらしいという負い目があるため、断酒後のアルコール依存症者は健常な精神状態に回復しているというお墨付き(診断)を殊のほか渇望します。ところが精神面の回復の診断に関してはそう簡単ではないようなのです回復、健常な精神状態とはどんな状態なのか、患者自身ぼんやりとしたイメージがあるだけで具体的には分かっていません。
 自助会AAでも “回復”や “健康な心”、“心の落ち着き” などはよく取り上げられるテーマです。・・・ 案の定、数値で回復を確認できる検査はないという回答でした。」

         
「・・・いわば医師の主観的な判断によっています。同様に回復の度合いについても評価基準はないに等しいようです。
 どんな病気でも、患者にとって最大の関心事はどの程度まで回復が進んでいるかです。いうまでもなくアルコール依存症は脳の病気です。アルコールという薬物を慢性的に使用したことが原因で起きた病気です。精神が障害されているらしいという負い目があるため、断酒後のアルコール依存症者は健常な精神状態に回復しているというお墨付き(診断)を殊のほか渇望します。回復健常な精神 とはどんな状態なのか、患者自身ぼんやりとしたイメージがあるだけで具体的には分かっていません。
 自助会AAでも “回復” や “健康な心”、“心の落ち着き” などはよく取り上げられるテーマです。・・・ 案の定、数値で回復を確認できる検査はないという回答でした。」

               アルコール依存症の回復イメージ」(2016.3.18投稿)より

 一つの段落内に複数の段落に分けるべき内容が盛り込まれています。しかも段落の論理展開に混乱が見て取れます。元々、問題提起 ⇒ アル症者共通の願い ⇒ 医師の回答という展開を意図していましたから、本来の論旨に沿って自分なりに整理し直してみました。

 次に、言葉の使い方に戸惑いがみられます。病気と障害の使い分けがよくわかっていないのですが、文脈の流れからここは病気としました。

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【急性離脱後症候群(PAWS)】
 症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
  ○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を
    理解できない)
  ○ 情動障害(情動の揺れ)
  ○ 記憶障害(短期記憶の障害)
  ○ 睡眠障害
  ○ 身体的協働性に問題
  ○ ストレス感受性に変化(おそらく認知障害“認知のゆがみ”の意味:筆者追記)
                  (アルコール依存症専門クリニック教育資料より)



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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その9)

2016-12-30 07:27:39 | 悪文見本市
 私にとって、このブログは闘病記録のようなものです。回復プロセスを含めた病状の記録と脳のリハビリを目的としています。自分の書いたものはその時々自分の心を映す鏡です。記事の内容もさることながら、書いた文章の不具合がその時々の病状を表していると考えています。この悪文見本市シリーズもその一環として掲載しています。

 アルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)は、断酒を始めて3~6ヵ月で自覚するようになると言われています。その症状の一つ “思考プロセス障害” には、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどの症状が知られています。

 私の経験からすると、その具体的現れは “遠回りする思考”、“助詞の使い方に混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などからなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)を失念すること” と要約できると考えています。

 今回もその具体的な現れと思われる悪文事例をご紹介します。いずれも脳がストライキを起す寸前の状態にあり、集中力に欠け、文案が錯綜する混乱の中で書いたものと思われます。


 なお、現在掲載中のものはいずれも手直しした後の改訂版です。
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【事例41】
「   “空白” を生まない時間の過ごし方
 時間ほど自分の意の儘にならないものは他にありません。如何に時間と折り合いをつけるか ―― これは如何に生きるかという人生最大のテーマに繋がる問題だと思います。このことに比べたらアルコールを断つことなど些細なことと思えてきます。まず、身近なところから手を付けてみませんか?」

         
「   “空白” を逸らす時間の過ごし方
 酒を断って1年ぐらいまでのアルコール依存症者にとって、“空白の時間” という言葉は特別な意味を持っています。「時間ほど自分の意の儘にならないものは他にない」この真理を嫌と言うほど味わわされる破目に陥るからです。かつては酒さえあれば何とかなるものと、さして気にもしなかった時間の空きのことです。が、酒を断った身となってみると、時間が空きそうというだけで怯えてしまうほどなのです。そのストレスでパニック寸前となり、つい再飲酒の誘惑にかられてしまう人もいるようです。そんな際どい心境など健常な人にはとても想像できないと思います。どうしたらいいのでしょう?」

               「“空白” を逸らす時間の過ごし方」(2016.3.11投稿)より

 表題からして、ちょっと無理がありました。誰にでも無為な時間は生じるもので、それを「生まない」は言い過ぎです。無為な時間は、できるだけ「逸らす」ぐらいが適当と考えました。

 テーマが断酒後の “空白の時間” という極めて特殊かつ具体的なことのはずが、仰々しく重いテーマを想像させる書き出しになっています。このような考え方が “遠回りする思考” を表すものと考えています。一般論で書き出したことで、却って後続とのつながりが難しくなっています。“思考プロセス障害” のせいで様々な文案が飛び交い、決めきれなかったのだと思います。

 ここは主題の核心にズバリ切り込むべきでした。書き出しが一般論で始まり遠回りしていることに投稿した後になって気付き、核心となるキーワード「アルコール依存症者にとっての “空白の時間” 」などを加えて修正しました。つくづく融通がきかない鈍な頭だと思い知らされました。


【事例42】
「“ハードウェア”  と “ソフトウェア”  の意味十分理解できていないのですが、敢えて生体の器官に当てはめてみます。一定の機能を持っている器官(臓器)そのものを “ハードウェア”  とし、器官の持つ機能の使い勝手の良さを “ソフトウェア” としてみます。一定レベル以上の機能さえ備えていれば問題ナシとする一般的な内蔵などの器官と異なり、脳は一定レベル以上の機能に加え、使い勝手の良さが要求される器官だと思います。むしろ使い勝手の良さこそが脳の生命線なのかもしれません。脳の頭のキレとか頭の冴えとかが使い勝手の良さに当るとも思いますが、 “ソフトウェア” としてみた場合、アルコール依存症からの回復とは何なのでしょう?アルコールでイカレた脳の、使い勝手の良さを備えた回復とはどんなものなのでしょうか? 脳の使い勝手のよさとは、・・・」
         
「“ハードウェア”  と “ソフトウェア”  の意味十分理解できていないのですが、敢えて生体の器官に当てはめてみます。・・・ 一定レベル以上の機能さえ備えていれば問題ナシとする内蔵などの一般的な器官と異なり、脳は一定レベル以上の機能に加え、使い勝手の良さが要求される器官だと思います。むしろ使い勝手の良さこそが脳の生命線なのかもしれません。頭のキレとか頭の冴えとかが脳の “ソフトウェア” に当ると思いますが、アルコール依存症から脳の “ソフトウェア”  が回復するとはどういうことなのでしょうか? 脳の使い勝手のよさとは、・・・」
               「アルコール依存症の回復イメージ」(2016.3.18投稿)より

 この記事全体の(書き出しに当る)冒頭部分です。問題箇所を下線で示しました。どう論じるべきか相当苦労していたことがお分かりと思います。

 最初の下線部が “不自然な助詞の使い方” に当たります。日本語の慣用的な使い方としては、“が” の方が普通と気付くハズです。こんなことにも迷っていました。

 次の下線部が “修飾語の語順の誤り” です。“書きことば” では、修飾語の語順に特有のルールがあります。「長い修飾語を先に、短い修飾語を後に」という語順のルールです。“器官” の修飾語の語順では、この基本的なルールが守られていません。“話しことば” 流に、大事なことから先に切り出すやり方になっています。気持ちに余裕がないため、醒めた目で点検できなかったのだと思います。

 後半の下線部では、“ソフトウェア”  という概念が十分に理解できていないまま、強引に考えをまとめようとしています。論理の整合性を図ろうとして、必要以上の繰り返しで諄(くど)い表現になっています。自分の言葉で自分なりに表現しようと試みると、必ずといっていいほど考えがまとまらなくなります。自分の言葉で自分なりに表現するというのは、想像以上に苦労が伴う作業です。

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【急性離脱後症候群(PAWS)】
 症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
  ○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、
    因果関係を理解できない)
  ○ 情動障害(情動の揺れ)
  ○ 記憶障害(短期記憶の障害)
  ○ 睡眠障害
  ○ 身体的協働性に問題
  ○ ストレス感受性に変化(おそらく認知障害“認知のゆがみ”の意味:筆者追記)
                  (アルコール依存症専門クリニック教育資料より)

今年も拙い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。皆様、よいお年を!



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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その8)

2016-11-22 18:54:20 | 悪文見本市
 アルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)は、断酒を始めて3~6ヵ月で自覚するようになると言われています。その症状の一つ “思考プロセス障害” には、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどの症状が知られています。

 私の経験からすると、その具体的現れは “遠回りする思考”、“助詞の使い方に混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などからなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)を失念すること” と要約できると考えています。

 今回もその具体的な現れと思われる悪文事例をご紹介します。いずれも脳がストライキを起す寸前の状態にあり、集中力に欠け、文案が錯綜する混乱の中で書いたものと思われます。

 なお、現在掲載中のものはいずれも手直しした後の改訂版です。
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【事例38】
「 “大丈夫?” と、“危なかった!” という二つの言葉で、この暴行未遂事件のことが頭を過ぎったのだと思います。『ひょっとして、自分も誰かに恨まれ狙われているのだろうか?』私は自分の身に危害が迫っているものと勝手に思い込み、えもいわれぬ不安に襲われてしまいました。危険を示唆するT氏の言葉に囚われて、危険という先入観(イメージ)から暴行未遂事件へと連想が向ったのでしょう。
 いきなりスリルとサスペンスのただ中に放り込まれたようなものです。帰宅してからも胸がザワつくぐらいに不安が募るだけでした。悪い方へ悪い方へと連想が飛び、挙句の果てひょとしたらT氏の脅しかも(?)とまで疑心暗鬼が膨らんで行きました。そのときふと閃いたのです、その日にあった出来事の事実関係を “ありのまま” に整理してみたらどうだろう・・・と。どうやら暴行未遂事件へのみ気が向かって、あまりにも感情的な “思い込み” に偏り過ぎていると気付いたのです。」

         
「 T氏の言った “大丈夫?” と、“危なかった!” という二つの言葉が、・・・(中略)・・・と勝手に思い込み、えもいわれぬ不安に襲われてしまいました。首尾よくいった意味に受け取ればいいものを、危ないの持つ先入観にのみ囚われて、勝手に暴行未遂事件へと連想を拡げたのだと思います。
 いきなりスリルとサスペンスのただ中に放り込まれたようなものでした。帰宅してからも不安が募り胸がザワつきました。悪い方へ悪い方へと連想が・・・(中略)・・・とまで疑心暗鬼になってしまいました。そのときふと閃いた・・・(中略)・・・と。どうやら暴行未遂事件へのみ気が奪われ、あまりにも偏った “思い込み” から感情的になり過ぎていると気付いたのです。」

        「“思い込み”の逸らし方“ありのままに受け入れる”」(2015.11.20投稿)より

 一読して抱く印象は、随分混乱した頭で書いたものということだと思います。文案が切れ切れに飛び交う中で途惑いながらどうにか書いたものだからです。

 最初の下線部では、 “囚われ” の言葉に文字通り囚われていたことが問題です。これが頑なで諄(くど)い思考に当るでしょうか。ここでは先入観に囚われていることを表現したいわけですから、T氏の言葉の本意と先入観との関係を整理し直しました。

 最後の下線部でも同様に、“思い込み” と “偏り” という言葉に囚われていたことが問題です。両者にはほぼ同義のニュアンスがあるので、“偏り” の方を強調目的に利用し、なぜ感情的になったのかその因果関係を整理し直してみました。

 三番目の下線部では、不安の程度を表現したいのか、それとも不安が昂じた結果を表現したいのかに混乱が見て取れます。不安が昂じた結果、胸のザワツキがあったハズなので、それと分かる表現に改めました。

 これら三つの例は、いずれもその時々の心情を正直に表現しようとしたものの、却って考えがまとまらず、混乱したまま書いてしまったものです。そのため特定の言葉に拘ることになり、因果関係を論理的に記述できなかった例だと考えています。思考プロセス障害の特徴をよく表しています。

 上記以外の下線部では、慣用的な言い回しからみると不自然さが目に付くと思います。これらは想起障害の典型的事例と考えています。連想が「向かう」は「~拡がる」へ、疑心暗鬼が「膨らむ」は「~に陥る」または単に「~になる」へ、気が「向かう」は「~奪われる」へと、それぞれ改めました。案外イメージ的にはピッタリな表現なのですが、的確な言葉が思い付かなかったのです。


【事例39】
「正確に言うと、勝った方が “自分が正義だ” と主張するのも力関係からして尤もだ、と承服できるということです。」
         
「正確に言うと、勝った方が “自分が正義だ” と主張するのも、力関係からして尤もだと承服できるようになったのです。」
              「『人間は平等』は正しいですか?」(2015.11.27投稿)より

 これは時制が混乱した事例です。現在の状態のことか、現在すでに完了している状態(英語の現在完了形)のことか迷っています。どこか違和感を持ちながら放置していました。このような事例は、まだまだあります。

【事例40】
「当時は肝臓を酷使し続けていることもあり、てっきりそれで疲れているのだと長い時間寝ていました。」
         
「当時は肝臓を酷使し続けていたこともあり、てっきりそのせいで疲れているのだと長い時間寝ていました。」
                   「アルコールと“うつ”症状」(2016.2.5投稿)より

 最初の下線部では、時制の混乱がみられます。ここは明らかに過去形にすべきでした。

 次の下線部では、副詞 “てっきり” の使い方が問題です。“てっきり” は、確率的に間違いないことを示す副詞ですが、後の言葉 “それ” にどう係るべきか分からなくなっています。つまり、「~のせい」とすべきことが思い付きませんでした。このように脳が固まると、想起障害のせいで融通がきかなくなることがよくあります。

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急性離脱後症候群(PAWS)】
 症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
  ○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、
    因果関係を理解できない)
  ○ 情動障害(情動の揺れ)
  ○ 記憶障害(短期記憶の障害)
  ○ 睡眠障害
  ○ 身体的協働性に問題
  ○ ストレス感受性に変化
                  (アルコール依存症専門クリニック教育資料より)


“思い込み”の逸らし方 “ありのままに受け容れる”」(2015.11.20投稿)もご参照ください。


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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その7)

2016-10-14 07:12:02 | 悪文見本市
 私にとって、このブログは闘病記録のようなものです。回復プロセスを含めた病状の記録と脳のリハビリを目的としています。自分の書いたものはその時々自分の心を映す鏡です。記事の内容もさることながら、書いた文章の不具合がその時々の病状を表していると考えています。この悪文見本市シリーズもその一環として掲載しています。

 アルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)は、断酒を始めて3~6ヵ月で自覚するようになると言われています。その症状の一つ “思考プロセス障害” には、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどの症状が知られています。

 今年5月20日付の記事「アルコールPAWSの一つ “思考プロセス障害” の軛(くびき)」では、傷害から脳内で繰り広げられる様々な葛藤と混乱について述べてみました。今回もその具体的な現れと思われる悪文事例をご紹介します。いずれも集中力に欠け、脳がストライキを起す寸前の状態で書いたものと思われます。

 なお、現在掲載中のものはいずれも手直しした後の改訂版です。
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【事例34】
「断酒を始めて3ヵ月以内の患者を対象とした、専門クリニックの初心者教育プログラムの一コマに、アンケート形式の教材を使った講義がありました。アンケートには、ドライドランク(≒急性離脱後症候群:PAWS)に陥った際に想定される心境が、質問項目として30問ほど書かれてあり、現在の心境がそれに “当てはまる” か否かを訊ねるものです。」
         
「専門クリニックの初心者教育プログラムの一コマに、近々起こりうるドライドランク(≒急性離脱後症候群:PAWS)に備えての講義がありました。断酒を始めて3ヵ月以内の患者を対象とし、アンケート形式の教材を使ったものでした。アンケート用紙には、質問項目としてドライドランクに陥った際に想定される心境が30問程度書かれてあり、それらに当てはまる心境の有無を尋ねていました。」
         「身体的底着きの後から精神的底着きも(上)」(2015.10.09投稿)より

 最初の事例は、段落の出だしの一文です。段落の出だしの文は、“見出し” と同様に段落全体を概括する役割を担ってもよい場合があります。ここでは初心者教育プログラムが何をテーマとしたものか、具体的内容が分かるようにズバリ切り込む記述にした方がよさそうです。単に事実を淡々と記述するにとどまり、切り込み不足に気づけないほど意識が散漫だったようです。

 疲れてくると、時制に迷うことがよくあります。事柄同士の因果関係は時制表現に直接反映されます。下線部の時制は過去形の方が適切でシックリきます。


【事例35】
「家族の中で依然として残る疎外感と、『断酒を続けなければならない。再飲酒してはならない』という強迫感、さらには『“恋心” など、絶対に医療スタッフに抱いてはならない!』と自制を強いたことも加わって、強いストレスから性的強迫観念(妄想)が湧き出したのだと思います。性欲を煽るような、・・・雁字搦めの状態に追い込まれ、“憑きモノ” に囚われたという表現がピッタリの状態でした。視野が狭まり、自由闊達な発想や、角度を変えたモノの見方など出来ない状態でした。自分でもよくは分かりませんが、相当な危機と感じていたのでしょう。」
         
「家族の中にいても依然として残る疎外感、『断酒を続けなければならない。再飲酒してはいけない』という強迫感、さらに『医療スタッフに “恋心” など絶対に抱いてはならない』という強い自制も加わり、これらが強いストレスとなって性的妄想を掻き立てたのだと思います。性欲を煽るような、得体の知れない、モヤモヤしたものに雁字搦めにされた状態で、俗に言う “憑きモノ” に囚われたという表現がピッタリの精神状態でした。自分ではあまり意識していなかったのですが、断酒の継続によほど危機感を持っていたのだと思います。」
         「身体的底着きの後から精神的底着きも(下)」(2015.10.16投稿)より

 最初の一文では主語に捩じれが見られます。前半の下線部3つが主語であるべきところですが、後半で主語が性的強迫観念(妄想)に置き換わって捩じれています。

 最後の一文の下線部、「自分でもよくは分かりません」は時制が問題です。書いている時点で理解不能だとも読め、意図が不明で意味も曖昧です。補足すべき言葉を補い、不要と思える文を削って整理してみました。


【事例36】
「長年溜まりに溜まったモヤモヤしたものが弾けて消え、平穏な状態が訪れて、心が落ち着いて来たことが分かったのです。・・・継続断酒を始めて満10ヵ月後のことでした。

 AV動画の叙述以前に私が実践していたことと言えば、・・・」

         
「長年溜まりに溜まったモヤモヤしたものが消えてなくなり、平穏な心理状態になれました。・・・継続断酒を始めて10ヵ月後のことでした。

 この出来事があってからというもの、アルコール依存症の回復は一体何が目安となるのか、回復するまで他にどんな離脱症状を覚悟しておくべきかに関心が向くようになりました。一時は、早くも回復したのかと錯覚したほどだったのです。断酒に囚われてばかりの状態から明らかに闘病意識が変化し始めていました。医師の診察を受ける都度、手を変え品を変え何を目安に回復と診断するのか質問攻めにしたものです。意識の変化と一体のものかもしれませんが、この体験が転機となって、まるで傍から自分自身を客観的に見ているかのように、気持ち(感情)の変化がリアルタイムで自覚できるようになりました。たったこれだけのことで結果的に感情を自制できてしまうのが不思議です。ドライドランクを初めとした急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)をはっきり自覚するようになったのはこの時期からでした。“正気に戻る” とはこんなことかもしれません。

 AV動画の内容を文章化する以前から私が実践していたことを挙げておきます。・・・」

         「身体的底着きの後から精神的底着きも(下)」(2015.10.16投稿)より

 この事例は“憑きモノが落ちた” 体験と、なぜそうなったのかの考察に続く部分です。当時の心境を振り返ってみると、下線部 “心が落ち着いて来た” は調子に乗り過ぎての言い過ぎとなっています。

 さらに問題なのは、その体験後どのような心境の変化が訪れたかについての記述が下線部だけであり、具体的な内容がスッポリ抜け落ちていることです。これだけの重大な出来事があったのですから、その後の心境の変化についてもっと掘下げて述べるべきです。私の関心は明らかに “言語化” の方に移ってしまい、他への注意力が散漫になっていました。普通なら執筆時に違和感を持つべきなのですが、こういうポカがあっても気づけないところが思考プロセス障害なのかもしれません。“脳の働きにムラがある” とされている具体例ではないかと思います。以上から、下記の下線部の段落を追記しました。


【事例37】
「・・・言い換えると、ドライドランクへと急速に移行中(?)だったとも言えます。ドライドランクのため柄にもなく恋心を抱いてしまい、それはならじと自制を強いるストレスを強く受けて、脳内環境のバランスの揺らぎが増幅され、ついには性的強迫観念(妄想)にまで至ったのだと思います。」
         
「・・・言い換えると、ドライドランクへと急速に移行中(?)だったとも言えます。ドライドランクのせいで柄にもなく恋心を抱いてしまい、それはならじと自制を強いたことが却って強いストレスになったものと思われます。そのストレスで脳内環境のバランスの揺らぎが増幅され、ついには性的妄想に至ったのだと思います。」
         「身体的底着きの後から精神的底着きも(下)」(2015.10.16投稿)より

 下線部では、ストレスが自制を強いると読めます。真意は逆で、自制を強いたことがストレスとなったという趣旨ですから、因果関係の認識が混乱しています。記事の後半部分の記述ですから、恐らく脳が疲れ始めてストライキを起こしたのだと思います。疲れて来ると、適切な表現とは程遠いこんなミスにも気づかず平気で見落とすことがあります。“脳の働きにムラがある” ということは、やはり因果関係の認識が混乱することに関係するのだと思います。
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 今回も遅発性の離脱症状・PAWSの思考プロセス障害が原因と思われる悪文例をお示ししました。想起障害がその原因の大元と考えています。文章の不具合など黙って直して置けばいいものを、とお思いの方もおられると思います。大分マシにはなったものの、実際にご覧いただいたように遅発性の離脱症状・PAWSによる障害はまだまだ残っているようです。それでも文章の不具合に違和感を持ち、ある程度適切に手直しできるまで回復していると考えています。ネタ切れをいいことに、それを読者の皆さんに共有してもらおうと敢えて掲載しました。悪しからずご了承ください。

アルコールPAWSの一つ “思考プロセス障害” の軛(くびき)」も是非ご参照ください。
以下をご参考までに添えておきます。
急性離脱後症候群(PAWS)】
 症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
  ○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある;頑なで諄(くど)い思考、
    因果関係を理解できない)
  ○ 情動障害(情動の揺れ)
  ○ 記憶障害(短期記憶の障害)
  ○ 睡眠障害
  ○ 身体的協働性に問題
  ○ ストレス感受性に変化
                  (アルコール依存症専門クリニック教育資料より)



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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その6)

2016-05-27 08:31:04 | 悪文見本市
 アルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS≒ドライドランク)は、断酒を始めて3~6ヵ月で自覚するようになると言われています。

 前回(5月20日付)の記事では、その症状の一つ “思考プロセス障害” の、脳内で繰り広げられる様々な葛藤と混乱について述べてみました。今回はその具体的な現れと思われる悪文事例を久々にご紹介します。いずれも集中力に欠け、脳がストライキを起す寸前の状態で書いたものと思われます。

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 今回は事例を2つ取り上げました。いずれも昨年6月26日に投稿した「アルコール依存症へ辿った道筋(その34)サラリーマン人生の終着駅」からのものです。どちらも記事の後半部分に当ります。

【事例32】

「あのとき教育しておいてくれたなら、と今でも思うことがあります。当局が比較試験を重視する理由(情報公開という政治的意味合いも含まれていること)。対照群を設定するときの諸々の留意点(一発勝負もアリ)。盲検化の方法(薬剤の盲検化一つだけが採りうる手段はではないこと)。この3点だけではきかないのですが、当時は会社として臨床開発の経験が乏しい(承認取得6成分)ことを考えると仕方ないことかもしれません。」
         
「あのとき教育しておいてくれたなら、と今でも思うことがあります。ここでは重要なポイントを3つ挙げておきます。いずれも臨床開発に欠かせないノウ・ハウで、これらがなかったばかりに悔やんでも悔やみきれない思いが強いのです。
 ● 当局が比較試験を重視する理由
   優劣は比べれば誰の目にも一目瞭然。情報公開が必須という政治的
   意味合いも含まれていること。
 ● 対照薬を選定するときの諸々の留意点
   申請後の審査過程でも通用する対照薬を選定すること。薬効を実証
   する目的での対照薬か? それとも特長を引き出す目的での対照薬
   か? 審査過程で拗れた問題への回答には、イチかバチかの一発勝
   負なので、道ならぬケモノ道に賭ける対照薬選定もアリ。常識に囚
   われてはダメ。
 ● 盲検化の方法
   外観に施す常識的な “薬剤の盲検化” ばかりでなく、データの測
   定 ― 解析段階で行う “データの盲検化・匿名化” もあり得る
   こと。
 この3点だけではきかないのですが、当時は会社として承認取得が6成分だけと、臨床開発の経験が乏しかったことを考えると仕方がないことかもしれません。」


 読み手の第一印象は、「何のコッチャ!? さっぱり分からん!」だったと思います。下線部だけを見ても、忘れないようにと書き残した雑な私的メモ同然です。頭に浮かんで来たものを、思い付いた順に、そのまま書き散らかしたとしか思えません。説明不足を後から気付き、それらを( )内で補足して済ますなどはガサツすぎます。集中力に欠け、読んでもらおうという丁寧さがちっとも感じられません。

 “対照群を設定” という言葉も不用意な使い方です。本来は対照薬とすべきところですが、“対照” という言葉だけに気を奪われ、その後の注意(力)が途切れたのだと思われます。対照群は試験デザインを論ずる場合の用語ですから、群ならば “設定” というふうに、自動的に言葉が決まったのでしょう。正しく “対照薬” と改めると、“選定” という言葉になり、( )内の「一発勝負もアリ」の意図と合致します。両者とも “セ” という音で始まりますから、「もうこれで良し」としたのだと思います。


【事例33】
「健康面ではアルコール依存症ばかりでなく49歳で “死の四重奏” まで抱え込むことになりました。52歳でサラリーマン人生の終着駅にも早々と着いてしまい、図らずも窓際族としての余生しか残っていないように思えました。老後に対する展望にしても明るさは一向に見えません。これらのどれをとっても執行猶予付きながら死刑を宣告されたも同然と将来を悲観的にしか考えられませんでした。私に課せられ、まだ宿題として残っていたものは二男の結婚、住宅ローンの完済、地元での墓地の取得ぐらいで、他には何も思い付きませんでした。現在から見ても当時は暗澹たる状況だったことに違いないのですが、ここまで落ち込んだのはアルコール性鬱が進行していて加勢したのだと思わずにはいられません。」
         
「 以上のように、健康面ではアルコール依存症ばかりか、49歳で “死の四重奏” まで抱え込むことになりました。その後会社勤めでは、Ca拮抗薬Pの承認申請取下げや、昇進・昇給の道が閉ざされ、52歳にして早くもサラリーマン人生の終着駅に到着してしまいました。
 会社では、最早窓際族としての余生しか残っていないように思えました。これらのどれをとっても将来は悲観的で、老後の明るい展望など一向に見えませんでした。まさしく執行猶予付き死刑宣告を受けたも同然でした。
 辛うじて私に課せられ、まだ宿題として残っていた問題は、二男の結婚、住宅ローンの完済、地元での墓地の取得ぐらいで、他には何も思い付きませんでした。
 現在から見ても、当時は暗澹たる状況だったことに違いないのですが、ここまで落ち込んだのはアルコール性うつ症状が進行し、加勢していたのだと思わずにはいられません。」


 この段落でも、説明不足が目につきます。既に上段で説明済みとは言え、いきなり「サラリーマン人生の終着駅に早々と着いて・・・」はアンマリです。なぜ終着駅と考えるのか、まずその根拠を具体的に述べるべきだと考えました。

 この記事は、夢も希望も断たれた人生がテーマです。この段落では、“死の四重奏”、“サラリーマン人生の終着駅”、“窓際族の余生”、“老後の展望なし”、“執行猶予付き死刑宣告”、“将来を悲観”、この順で言葉が登場しています。これらの言葉の間には因果関係があるとみる方が自然ですが、述べたい言葉がランダムに飛び交い、整理がつかなかったのです。

 因果関係の中で原因に当るのは、“死の四重奏” と、“サラリーマン人生の終着駅” = “窓際族の余生” となります。その帰結は、“将来を悲観” して、“老後の展望なし” に行き着き、だからこそ “執行猶予付き死刑宣告” に思えたハズなのです。そのような順に整理し、記述を改めました。

 過去形で記述すべきなのか、それとも現在形で記述すべきなのか、文脈上時制に迷った節も見受けられます。回りくどい表現もみられます。「老後に対する展望にしても明るさは・・・」は「老後の明るい展望」で十分です。

 このように“思考プロセス障害” で頭が混沌として来ると、どうしても混乱したままうまく始末を付けられなくなることが往々にしてあるのです。

************************************************************************************
 今回取り上げた事例は、投稿してから3週間後に一度見直しをしていました。もちろん、初回の投稿時にも推敲していたはずなのですが、いずれの点検でも読み手としての醒めた目が不足していたようです。記事の後半部分になるにつれ、集中力が薄れているのも読み取れます。間違いなく “思考プロセス障害” の脳の為せる業と納得できました。これからも折を見ては、“悪文”の見直し事例をご紹介するつもりです。ご期待ください。



こちらもご参照ください。
アルコール依存症へ辿った道筋(その34)サラリーマン人生の終着駅


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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その5)

2015-10-02 20:09:50 | 悪文見本市
 断酒開始後3~6ヵ月目に自覚するようになると言う急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)、そのひとつ“思考プロセス障害”によると思われる悪文事例の続きです。
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【事例23】
 23番目の事例は、事例20~22と同じく断酒を始めて1年3ヵ月後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その17)連続飲酒から脱出・仕事再開!」より)

「最初の医師には心電図データの確認のつもりで誤って心電図の再計測と言ってしまいました。医師本人が過去に記入したCRFのデータの数字が心電図を見て間違いないことを確認することと、心電図のコピーで再計測することとは全く違います。」
        
「最初の医師には心電図データの確認と言うべきところ、誤って心電図の再計測と言ってしまいました。医師が心電図のコピーを見て、本人が過去に記入したデータの数字が間違いないことを確認することと、心電図のコピーで再計測することとは全く違います。」

 元の二つの文ともに“話しことば”の調子で、説明すべき事柄を端折って記述しています。これはこれでご愛嬌かもしれません。正確な記述を期して“書きことば”へ改めてみました。

【事例24】
 24番目の事例は、断酒を始めて1年4ヵ月目に入ったときの、事例20~23の1週間後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その18)被災地では・・・」より)

「洗濯のために通る朝の歓楽街の往復の路は、飲食店から出たゴミ用容器や食べ物の残りクズ、吐瀉物などがあちこちに散らばり、それらにカラスが群がっていたりします。ケバケバしい電飾で装った夜とは打って変わって雑然とした気怠さを感じさせます。」
        
「洗濯のために往復する道は歓楽街のど真ん中を通ります。朝の歓楽街は飲食店から出たゴミ用容器や食べ物の残りクズ、吐瀉物などがあちこちに散らばり、それらにカラスが群がっていることもあります。電飾で装ったケバケバしい夜とは打って変わって、朝は雑然としていて気怠ささえ感じさせます。」

 元の前半の文では、1文に内容がテンコ盛りになっています。丁寧な記述に改めました。かえって改訂文の方が諄くなっていますか?後半の文では、“ケバケバしい”が鍵を握る言葉です。修飾する先が“夜”の方が当時の気分に合致すると思いました。元の文ように“ケバケバしい電飾”の方が正しいとは思うのですが・・・。

【事例25】
 25番目の事例は、上の事例24と同じ断酒を始めて1年4ヵ月目に入ったときのものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その18)被災地では・・・」より)

「西宮神社(戎神社)への参道を兼ねる規模の大きい中央商店街一帯は倒壊した建物だらけで、アーケードだけが屋根を残して建っていました。・・・当時の商店街アーケードの天井から吊るされていた時計が地震発生時の時刻を指したまま記念碑的に残されています。駅南側ロータリーの南、ダイエーの敷地の一角に現在でも見ることができます。」
        
「西宮神社(戎神社)への参道でもある規模の大きな中央商店街一帯は倒壊した建物だらけで、立っているものといえば屋根を残したアーケードだけでした。・・・商店街のアーケードに吊るされていた当時の時計が、地震発生時の時刻を指した状態のまま今も記念碑的に残されています。・・・」

 前半は“アーケードだけが屋根を残して”の部分が誇張しすぎかなと思いました。後半は、“当時の”は“商店街”に係るのではなく“時計”に係りますから、両者を近くに置きました。時計の正体を正確に記述するよう改めましたが、それがかえって諄い表現になったのかもしれません。

【事例26】
 26番目の事例は、断酒を始めて1年6ヵ月後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その28)急所攻撃の神経戦・・・」より)

「新剤型薬の場合は承認済の普通剤型と比べて血中薬物動態からみてバイオアベイラビリティー(血中濃度曲線下面積:AUC)が同等であればそれで十分なのです。血圧日内変動試験で薬理作用についてまでも両製剤を比べる必要はありません。有効成分の薬理作用が長時間持続すること自体が未承認の新薬とはこの点で全く条件が違います。」
        
「・・・有効成分の薬理作用自体が未承認の新薬とはこの点で全く条件が違います。」

 懸案であった薬理作用の長時間持続の件だけで頭が一杯で、その強い“思い込み”に引き摺られたまま、論理的な整合性にまで気が回りませんでした。ここでは薬理作用が既承認なのか未承認なのかだけが重要です。元の下線部分“長時間持続すること”は、論理の混乱だけをもたらしているので削除しました。論理の展開上、肝腎な部分を見落としたことこそ“思考プロセス障害”そのものと考えました。

【事例27】
 27番目の事例は、断酒を始めて1年10ヵ月後のものです。ここからは比較的最近投稿したものからの事例となります。(「AAの科学的再現性とは?―回復への12のステップ―」より)

「同様に記録と再現性の視点からみると、理研のSTAP細胞事件の問題点は明らかです。」
        
「同様に記録と再現性の観点からみると、理研のSTAP細胞事件の問題点は明らかです。」

 辞書では、“視点:論ずるときの作者や論者の立場”、“観点:考察する立場”、となっています。少し以前ならどちらか決めかねて、中点を用いた視点・観点としかねない場面です。この場合はどちらを選んでも問題ないようですが、読み返してみて“視点”に違和感がありました。それで、“観点”の方を感覚だけで選び直してみました。どうでもよいところに妙に拘る、これもPAWSの所為かもしれません。
 ちなみに中点「・」は、同格あるいは切り離せない関係にある語間に用いる符合です。「そして」の意味と同等です。以前は、単に“点検”とすべきところを、言葉が思い出せずに“照合・確認”としていたことなどがよくありました。

【事例28】
 28番目の事例は、事例27と同じく断酒を始めて1年10ヵ月後のものです。(「AAの科学的再現性とは?―回復への12のステップ―」より)

「STAP細胞を再現できなかったのは、むしろ当然の結末と言えるでしょう。」
        
「STAP細胞を再現できなかったのは、むしろ当然の帰結と言えるでしょう。」

 “当然の”ときたら“帰結”と結ぶのが慣用的な言い回しではないでしょうか?その“帰結”が思い浮かばなかったため、類似の“結末”でお茶を濁した事例です。意味は通じるのですが、どこかシックリしない違和感がずっとありました。それで悪文事例として挙げてみました。

【事例29】
 29番目の事例は、事例27~28と同じく断酒を始めて1年10ヵ月後のものです。(「AAの科学的再現性とは?―回復への12のステップ―」より)

「“長年溜まりに溜まったものが弾けて消え、平穏となって心の落ち着きが分かったとき、『神』を身近に感じた”という状況は、私が体験した“憑き物が落ちた”ときの神秘的感覚に近かった」
        
「“長年溜まりに溜まったものが弾けて消え、平穏となって心の落ち着きが分かったとき、『神』を身近に感じた”という心境は、私が体験した“憑き物が落ちた”ときの神秘的感覚に近かった」

 適切な言葉を思い出せないまま、“~キョウ”という言葉の響きだけを手掛かりとしたため使うべき用語を間違えた事例です。種を明かしてしまうと何ともオソマツな次第。ここはどうみても“心境”とするのが正しい。
 余談ながら、私は関係代名詞を含む英文を訳すとき、「~という・・・」をよく使います。その癖から、述語を含む節となっている修飾語で修飾‐非修飾関係を繋ぐのに「~という・・・」を使う傾向が強く、このことが諄い印象を与えているようです。

【事例30】
 30番目の事例は、事例27~29と同じく断酒を始めて1年10ヵ月後のものです。(「AAの科学的再現性とは?―回復への12のステップ―」より)

「相談結果に基づいたスポンサーからの助言に従い、被験者は自身の思い出を再省察し、自身の性格上の欠点(思考の歪み)を含め叙述内容を改訂する。」
        
「相談結果に基づいたスポンサーの助言に従い、被験者は自身の思い出を再省察し、自身の性格上の欠点(思考の歪み)を含め叙述内容を改訂する。」

 下線部分“からの”は、正確ではあるものの、翻訳調そのものの諄い表現になっていました。単純なのが一番です。

【事例31】
 31番目の事例は、断酒を始めて1年11ヵ月目の最近の投稿文からです。(「ヒゲジイの悪文見本市(その2)」より)

「結果的に説明不足でニュアンスだけの実態のない表現となっています。」
        
「結果的に説明不足で、実態のないニュアンスだけの表現となっています。」

 これは修飾語の記述順ルールから外れている事例です。元の文の“表現”の修飾語は、句“ニュアンスだけの”と述語を含む節“実態のない”の二つからなっています。元の文のままなら、“ニュアンスだけの”は“実態”に係るので“ニュアンスだけの実態”(?)という意味不明なことになります。修飾語の記述順ルール通りに改めました。
 修飾語の記述順のルールは、以下の2点が最も重要です。
 ○述語を含む節が先、句が後
 ○長いものが先、短いものが後

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 いかがでしたか?断酒後の回復過程にみられる急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)のひとつ、“思考プロセス障害”の一端を理解してもらえましたでしょうか?これまで掲げてきた事例の引用元は、ほとんどが一度以上手直しを経たものです。事例文そのものは、以前行った改訂時には、元のままでも意味が通じる部分と見做して手直しを免れたものです。実例に接し、案外問題ナシと捉えるか否かは読者次第ですが、書き手の私としては意図するところに近づけようと苦行の連続でした。それが今でも続いています。
 以上、ヒゲジイの悪文見本市でした。


「ボケが始まった?(急性離脱後症候群:PAWS)」も併せてお読みください。
 http://blog.goo.ne.jp/19510204/e/9c6d1fc08d197902061b8e0ee33adb6a


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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その4)

2015-09-25 20:56:42 | 悪文見本市
 断酒開始後3~6ヵ月目に自覚するようになると言う急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)、その一つ“思考プロセス障害”によると思われる悪文事例の続きです。
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【事例17】
 17番目の事例は、事例14~16と同じく断酒を始めて満1年2ヵ月の時期のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その14)賭場では大勝、でも貧乏な一人住い・・・」より)

「両薬剤の改善率に差が出たのです。偶然に差が出た可能性の確率が5%未満ということで、偶然では出ないとされる差(有意差)でした。」

        
「両薬剤の改善率に有意差が出たのです。偶然から差の出た可能性が確率5%未満ということで、統計学的にみて偶然では起こり得ない差(有意差)でした。」

 生物統計学に関わる事柄は、正確な記述となるよう細心の注意を払うべき典型例と思います。それだけに一般向けに記述するのは殊のほか難しいものです。このことは生物統計学に疎いメディカル・ライティングなら誰しも経験することです。“有意差”の意味が理解できましたか?臨床開発の仕事は、最終の比較検証試験で“有意差”を持って対照薬に勝てるよう、最も適切な治験薬の用法・用量を一から探求していく仕事です。

【事例18】
 18番目の事例は、断酒を始めて1年3ヵ月後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その16)阪神大震災、地震の当日」より)

「私自身、経験したことのない大災害の現場に今いるという自覚はありましたが、日常とは全く異質で、不思議な世界となってしまった現実を醒めた眼で眺めていました。恐怖感も湧かず、興奮していないことが不思議でした。意表を突かれた出来事に感情が完全に封じ込められていたのかもしれません。茫然自失。この四文字熟語では当時の実感が湧いてきません。」

        
「私自身、経験したことのない大災害の現場に居合わせているという自覚はありましたが、日常とは全く異質で不思議な世界となってしまった現実を、第三者のように醒めた眼で眺めていました。恐怖感も湧かず、興奮もしていないことが不思議でした。意表を突かれた出来事に感情が完全に封じ込められていたのかもしれません。茫然自失。この四文字熟語では当時の実感は再現できません。」

 “居合わせる”という、この場面に恰好の表現がどうしても思い浮かびませんでした。“今ここにいる”であれば、まだしも臨場感に富む表現かもしれませんが、“今いる”だけでは味も素っ気もありません。直截的過ぎます。自分の眼でありながら、他人の眼を通したように非情で冷徹な(?)視線であったことを説明するため“第三者のように”を加えました。原文では“実感”の言葉に引き摺られて、“湧く”と自動的に使ってしまいました。ここは“表現”でも可ですが、“再現”の方がより実感に近いようです。

【事例19】
 19番目の事例は、同じく断酒を始めて1年3ヵ月後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その16)阪神大震災、地震の当日」より)

「室内の被害は、食器棚だけが天井の梁桁に引っ掛かって前方に傾き、食器が床に零れ落ち割れて散乱しただけでした。食器棚は押してもびくともしませんが、前に引いてみたら元に戻りました。」

        
「室内の被害は、食器棚が前方に傾いて天井の梁桁に引っ掛かり、食器が床に零れ落ちて、破片が散乱していただけでした。食器棚は押してもびくともしなかったのに、前に引いてみたら元に戻りました。」

 “室内の被害が食器棚だけだった”こと、これが前半の文で最も伝えたかったことです。そのため元の文では“話しことば”そのままに、最も伝えたい“食器棚だけ”から話を切り出し、その後も順番無視の表現となっています。“書きことば”らしい記述順序に改め、時制についても現在形か過去形かを混乱して使用している点を改めました。“押してもダメなら引いてみる”が本当のことなのだと実感した事件でした。

【事例20】
 20番目の事例は、同じく断酒を始めて1年3ヵ月後のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その17)連続飲酒から脱出・仕事再開!」より)

「震災後、アルコール依存症の患者が増えたと聞きます。私のようにすでに習慣的飲酒で依存症になっていた人が、引き籠り状態のまま誰にも介入されることがなかったため依存症が顕在化しただけだと思います。連続飲酒で引き籠りがちの状態では、その姿を他人から見られるのはとても嫌なものですが、見られたり声を掛けられたりすると少し正気に戻るものなのです。」

        
「震災後、アルコール依存症の患者が増えたと聞きます。習慣的飲酒ですでに依存症になっていた人が、震災発生を契機に引き籠り状態のまま誰にも介入されなかったため、依存症が顕在化しただけのことと思います。連続飲酒で引き籠り状態になると、他人から見られることをとても嫌います。ところが、覗いてもらったり声を掛けてもらったりすると、気にかけてもらえたことで少し正気に戻るものなのです。」

 “書きことば”では修飾語と非修飾語は離さずに近い位置に置くこと(修飾語の係りが遠い場合は読点を打つ)、がルールです。それに、本来補足説明として記述されるべき言葉(改訂文の下線部)が欠けています。諄かったり、端折ったりした表現も所々にみられます。主語(依存症者)が記述されていないため、述語に捩じれが生じてもいます。欠けた言葉を補足し、捩じれも解消させました。読み手はきっと分ってくれるもの、という思い込みがよほど強かったものと思います。

【事例21】
 21番目の事例は、同じく断酒を始めて1年3ヵ月後のものです。想起障害が原因と思われる気の毒(?)な文例2題を続けます。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その17)連続飲酒から脱出・仕事再開!」より)

「食卓の上にサランラップで内側を覆った食器が並べられ・・・」

        
「食卓の上にサランラップでくるんだ食器が並べられ・・・」

 断水で食器を洗えない状況で、工夫された生活の知恵を記述した部分です。“くるむ”という日常生活でよく使う動詞を失念した末に、苦し紛れに事実を描写した事例です。近似の言葉で代用したため翻訳調の表現となっていました。もどかしい限りです。

【事例22】
 上の事例21と同じ引用元です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その17)連続飲酒から脱出・仕事再開!」より)

「食事した場所はオカズを自分で取って食べるシステムの食堂で・・・」

        
「食事した場所はオカズを自分で選ぶセルフ・サービスの食堂で・・・」

 ここでも“セルフ・サービス”という普段当たり前に使う言葉が思い浮かばず、苦し紛れに説明調の表現で代用しています。気取って翻訳調にしているのではありません。上の事例21は、目当ての言葉が単純に浮かんで来ない典型ですが、ここでは目指す言葉の意味が分かっていながら、その言葉が思い出せないもどかしさ満杯の事例です。自分でいうのも変ですが、ここまで来ると痛々しくさえ思えます。

***********************************************************************************
次回もまだ続きます。


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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その3)

2015-09-18 19:46:47 | 悪文見本市
 断酒開始後3~6ヵ月目に自覚するようになると言う急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)、その一つ“思考プロセス障害”によると思われる悪文事例の続きです。
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【事例11】
 11番目の事例は、事例10と同じ断酒を始めて満1年の時期のものです。部門長を批判した記述部分です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その7)嫉妬は酒の肴のツマのような・・・?」より)

「根本原因は、地道に教育して経験を積んだスタッフを養成するという当たり前の発想が無責任にもなかったことなのか、あるいは育成しようとする発想はあっても提案できない社内の空気だったのか、のいずれかです。 “少数精鋭”の虚名で人員の拡充を怠るばかりで、もっと早くから未経験者を部内に呼び寄せて経験を積ませ戦力を充実させるという当たり前の政策を採らなかった責任は臨床開発部門トップ、専務のK氏にある」

        
「根本原因は、たとえ余剰人員の懸念はあっても、地道な教育でスタッフを養成しようという発想がなかったのか、あるいは育成しようとする発想はあっても提案できない社内の空気だったのか、このいずれかです。いずれにせよ、“少数精鋭”の虚名の下で人員の拡充を怠った責任は臨床開発部門トップ、専務のK氏にある」

 一見して感情的になっている表現が鼻につきます。まず、増員を望まない動機の説明(改訂文の下線部分)が欠けており、“無責任”が唐突な印象です。続く部分でも“当たり前の”や“無責任にも”と畳み掛けるように用い、感情任せの諄い表現になっています。後半も内容的にほぼ同じことを繰り返した表現になっており、無い方がスッキリします。

【事例12】
 12番目の事例は、事例10~11と同じ断酒を始めて満1年の時期のものです。目当ての言葉が出て来ないため、隔靴掻痒状態が見て取れます。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その7)嫉妬は酒の肴のツマのような・・・?」より)

「臨床開発業務では、一例々々患者のデータをつぶさに読込むことでデータ全体が評価に値するのかを判断することと、どこに光を当てれば治験薬の特色を際立たせられるのか、データの切り口を見つけ出すことが重要です。」

        
「臨床開発業務では、患者一例々々のデータを点検しデータ全体の質が評価に耐えられるのか判断することと、治験薬の特色を際立たすためのデータの切り口を見出すことが重要です。」

 “データの”とすべき肝腎の言葉を失念し、直近の“評価”に引き摺られて、“耐える”とすべきところを“値する”で代用したため論旨が捩じれてしまいました。そもそも“脚光を浴びさせる”イメージが浮かんできたのですが、上手い言葉が浮かばないままに“光を当てる”と“際立たせる”の重複した表現となり、諄い印象となった典型例です。

【事例13】
 13番目の事例は、断酒を始めて満1年1ヵ月の時期のものです。ここでも目当ての的確な言葉が浮かばず、説明調の言葉を代用した例です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その9)慎重さを欠いた脇の甘さが仇と・・・?」より)

「先行きへの不安と事件による社内の混乱への憤懣もあって、一人で呑むいつもの酒の飲み方が一層加速しました。」

        
「先行きへの不安と事件による社内の混乱への憤懣もあって、いつも通りの一人酒が一層荒れた酒となりました。」

 微妙な雰囲気は汲み取れるものの、翻訳調の堅い表現となっています。元をただせば“一人酒”と、“荒れた酒”という言葉がどうしても思い浮かばなかっただけの話です。

【事例14】
 14番目の事例は、断酒を始めて満1年2ヵ月の時期のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その14)賭場では大勝、でも貧乏な一人住い・・・」より)

 この事例も含め事例18までは、「アルコール依存症へ辿った道筋(その14)賭場では大勝、でも貧乏な一人住い・・・」が引用元です。この引用元の元々の文はほぼ投稿当時のままで、ほとんど手を加えていない未編集の状態でした(段落ごと移動した部分はあります)。投稿した当時の姿が残っている貴重な事例です。他の事例のほとんどの引用元は、少なくとも1回は手直しを経ています。

「1本の試験は、日常生活での歩行などの労作から起こる狭心症の胸痛発作がどの程度軽減されるのか、胸痛発作回数と発作時痛め止めに頓用するニトログリセリン錠の使用回数の変化を評価するもの(症状試験)、もう1本の試験は、狭心症の心電図変化が起こるまでにどの程度の運動に耐えられるのか、運動持続時間の長さの変化を評価するもの(運動耐容能試験)です。」

        
「試験の内の1本は狭心症の胸痛発作回数と発作時のニトログリセリン頓用錠数の変化を評価するもの(症状試験)、もう1本は心電図上に変化が起こるまでの運動持続時間の変化を評価するもの(運動耐容能試験)です。ニトログリセリン錠は発作時に痛み止めとして頓用するものですし、心電図上の変化とは虚血性ST偏位のことです。」

 複文と重文の組み合わせからなる構造の1文中に、内容をテンコ盛りとした読みにくい表現となっています。テンコ盛りとなった説明部分の重複を整理してみました。さほど読み易くなってないのかもしれませんが・・・。

【事例15】
 15番目の事例は、事例14と同じ断酒を始めて満1年2ヵ月の時期のものです。“話しことば”としては十分な表現になっていますが・・・。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その14)賭場では大勝、でも貧乏な一人住い・・・」より)

「二つの比較検証試験(症状試験109例、運動耐容能試験55例)で、計164例の患者について行うデータの点検作業では、緊張感と重圧が再び重く圧し掛かった毎日だったはずですが、あまり記憶にありません。」

        
「二つの比較検証試験に参加した患者数は、症状試験で109例、運動耐容能試験で55例の計164例でした。164例もの患者について行うデータの点検作業ならば、緊張感と重圧に再び圧し潰されそうな毎日だったはずですが、あまり記憶にありません。」

 書かれていない主語は誰か(?)主語が省略されているため、“話しことば”調の端折った1文となっています。最低限補うべき前半の主語を補い、後半は影の主語(私)に述語を従わせて捩じれを解消させました。

【事例16】
 16番目の事例は、事例14~15と同じく断酒を始めて満1年2ヵ月の時期のものです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その14)賭場では大勝、でも貧乏な一人住い・・・」より)

「コントローラー(盲検化の管理者)が患者一例一例について、どちらの薬剤を服用したのかを読み上げる・・・」

        
「コントローラー(盲検化の管理者)が患者一例一例について、服用した薬剤の符号を読み上げる・・・」

 意図する事実を正確に記述すると改訂文のようになります。こういう稚拙な文を見ると、元メディカル・ライティングとしての職歴が泣きます。

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 次回も続きます。


「ボケが始まった?(急性離脱後症候群:PAWS)」も併せてお読みください。
 http://blog.goo.ne.jp/19510204/e/9c6d1fc08d197902061b8e0ee33adb6a 

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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その2)

2015-09-11 19:46:47 | 悪文見本市
 断酒開始後3~6ヵ月目に自覚するようになると言う急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)。その一つ“思考プロセス障害”によると思われる悪文事例の続きです。どんな時期にどんな箇所で躓いているかに関心があると思い、(その1)と同様に時間の経過に沿った掲載としました。
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【事例5】
 5番目の事例は、断酒を始めて満1年になろうという時期のものです。仕事で医師と面談するときの心構えを記述した部分です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その3)会社で生き残るための最初の本格的な仕事は・・・?」より)

「医師との面談は最初の1~2分が勝負です。簡潔な話し方で要領よく相手の勘所を押さえなければなりません。全神経をそれに集中します。これに成功した後は10分ほどの時間で肝心の依頼ごとを誠実に伝え了解してもらいます。運がよければ30分~1時間ほどさらに時間をもらい、親しい医師の近況や、難しい医学的な不明点の相談、他社の治験薬の開発進行状況など様々な情報をじっくり聞き出すのです。やや前屈みになりながら出来るだけ和やかにゆったりと構える、その一方で一言も聞き漏らすまいと耳をそばだて神経を張り詰めて行う会話、これが臨床開発の大事な仕事のひとつです。」
        
「医師との面談は最初の1~2分が勝負です。相手の勘所を押さえることに全神経を集中し、相手に合わせた話し方で簡潔に訪問目的を伝えます。これに成功した後は、10分ほどの時間で肝心の依頼事項を正確に伝え了解してもらいます。運がよければさらに30分~1時間ほど時間をもらえることもあります。そんなときは、親しい医師仲間の近況を報告したり、他社の治験薬の開発状況を聞き出したり、医学的に難しくて分からない点をじっくり相談したりするのです。やや前屈みの姿勢でゆったりと和やかに構えながら、そのくせ一言も聞き漏らすまいと耳をそばだて神経を張り詰めての会話です。これが臨床開発の大事な仕事のひとつです。」

 記述当時は、“相手医師のご機嫌”、“簡潔”、“誠実”、“前屈み”、“ゆったり”といったイメージでそれぞれの言葉がまずランダムに浮かんで来たものと思われます。これらの言葉は、医師と面談の際の心構えとしてとても大切なものです。読み返してみると、これらの言葉の繋がりを十分吟味しないままに、“話しことば”の順番で記述し始めた印象が強いです。
 “話しことば”の順番とは、最初に最も伝えたい言葉から切り出すことを言います。ここでは“簡潔な話し方”がそれに当たります。“誠実”を使用したのは場違いですし、後半の「親しい医師の近況や・・・」の世間話部分では端折った表現が先立ち、微妙な動作や心情が表現できていません。
 言葉同士の繋がりを“書きことば”のルール通りに整理し、特に後半の世間話の内容を分かりやすく説明するように改めました。“話しことば”を“書きことば”のルールへ変換するのが不十分だった事例です。

【事例6】
 6番目の事例は、同じく断酒を始めて満1年になろうという時期のものです。“思い入れ”による言葉に引き摺られた例3つをまとめて挙げてみました。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その5)成功は悪魔の囁き?」より)

「新剤型薬LAの承認・発売が表彰され、臨時の社長賞を貰いました。」
      
「新剤型薬LAの承認・発売が、臨時の社長賞として表彰されました。」

 “社長賞”と“表彰”の言葉の組み合わせ方に戸惑った末の1文です。結局、翻訳調のようなぎごちない表現になっています。どう書くのが最も相応しいのでしょうか?

「まさに業務の延長戦です。」
      
「まさに正真正銘の正規の業務、気楽な(?)サービス残業などではありません。」

 残業ではなく“延長”がまず浮かび、“業務の延長”のように引き摺られてしまいました。散々やらされた“サービス残業”の苦い思い出から、この言葉を是非とも活かそうと、敢えて諄い表現にしてみました。

「夢のような好物件に36倍の抽選で見事に当たったのです」
      
「夢のような好物件に競争率36倍の抽選で見事に当たったのです」

 “抽選”だけで十分伝わると思い込み、肝腎要の“競争率”を失念した想起障害の例と思います。当然ながら“競争率”を補いました。

【事例7】
 7番目の事例は、同じく断酒を始めて満1年になろうという時期のものです。これも言葉に引き摺られた例です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その6)時代は国際標準を要請していたのに・・・?」より)

「先行する治験成績と原案のセットを・・・中央委員会に諮り」
      
「先行する治験成績と原案とをセットで・・・中央委員会に諮り」

 “セット”の言葉に囚われ、その拘りから不自然な表現に気付いていません。“セットを”と“セットで”では、語感にこんなに違いが出るものかと知らされました。これも助詞の使い方に戸惑ったことが原因でしょうか?

【事例8】
 8番目の事例は、事例7と同じく断酒を始めて満1年になろうという時期のものです。簡潔な表現が思い付かず、説明的で諄い表現になった例です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その6)時代は国際標準を要請していたのに・・・?」より)

「このような医師の方々の信頼を得るためには研究会資料(特に、先行する治験の問題症例検討資料)は正確でかつ要点が分かり易く、概ね2時間という短時間で検討を済ますことが出来るように作成することが必須条件です。正確であって一々読まなくても一見して分かる資料作成に如何に注力しなければならないかがお分かりいただけると思います。」
        
「このような医師の方々の信頼を得るためには、研究会資料(特に、先行する治験の問題症例検討資料や治験成績)は正確かつ要点が分かり易く、検討に要する時間は概ね2時間以内となるように作成することが必須条件です。正確であって一々読まなくても一見して分かる資料を目標に、いかに工夫をこらして作成したかがお分かりいただけると思います。」

 前半の“要点が分かり易く”は“簡潔で”の方が良いのかもしれません。その後に続く部分は翻訳調の修飾語のため回り諄い表現になっています。後半は、“資料作成”と“注力”の言葉に引き摺られ、説明すべき言葉を端折った表現になっています。下線部分のように改めてみました。

【事例9】
 9番目の事例は、事例7、8と同じく断酒を始めて満1年になろうという時期のものです。目当ての言葉が浮かばず、近似の言葉を代用した例です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その6)時代は国際標準を要請していたのに・・・?」より)

「業界情報と現状とをシッカリ把握した上で大胆に改革・拡充しようという気概など・・・」
        
「業界情報や臨床開発現場への関心が薄く、大胆に改革しようという気概など・・・」

 “現場”に近似の言葉として“現状”を代用したため、続く言葉が“把握した”と一人歩きしてしまいました。結果的に説明不足で、実態のないニュアンスだけの表現となっています。“改革”に続いて、改革の中味となる“拡充”という言葉を畳み掛けており、必要以上に諄い表現になっています。

【事例10】
 10番目の事例は、断酒を始めて満1年の時期のものです。これも目当ての言葉が浮かばず、近似の言葉を代用した例です。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その7)嫉妬は酒の肴のツマのような・・・?」より)

「大規模なデータが相手では、簡潔で明瞭な資料提示の要求にはとても太刀打ちできないだろうと思いました。」
        
「大規模なデータが相手では、一目瞭然で簡潔な資料の要請にはとても太刀打ちできないだろうと思いました。」

 “一目瞭然で”に近似な言葉“明瞭な”が先ず浮かび、これを代用したため翻訳調の表現となったと思われます。以下のように言葉の変遷がありました。

言葉の変遷:(言いたい本音は)一目で分かるようにしなければならない→“簡潔”、
      “明瞭”、“提示”、“要求”のイメージ→ “一目瞭然で簡潔な”、“要請”
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次回も続きます。


「ボケが始まった?(急性離脱後症候群:PAWS)」も併せてお読みください。
 http://blog.goo.ne.jp/19510204/e/9c6d1fc08d197902061b8e0ee33adb6a


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ヒゲジイのPAWSによる悪文見本市(その1)

2015-09-04 20:17:29 | 悪文見本市
 以前書いたものを読み返してみて、正真正銘これは欠陥だらけの悪文だと思いました。書いた当時、悪文を書いているという自覚は全くありませんでした。在職中、メディカル・ライティングの業務に就いていた自負もあり、正直ショックを受けました。

 私は断酒継続中のアルコール依存症者として、その時々の事実関係と、どのような症状であったのかを記録として残そうと思い立ち、このブログを始めました。出来るだけ正確に症状を記録することが目的で、読者に心情を共感してもらうことが目的ではありません。文芸作品のような技巧を駆使した描写をするつもりはありませんし、そのような技巧を持ち合わせてもいません。つまり、あくまでも “ありのまま” の記述を心掛けているつもりです。

 私の書いたものが、経験した事柄の記録であるばかりでなく、文章そのものが記述時の思考プロセスを記録したものでもあることに気付きました。普通、読み返してみて何か変と違和感があれば手直しするのが当たり前ですし、当然、投稿当時も何度か読み返していたはずです。ここに挙げた文例は、そんな読み返しと推敲の手順を踏んでいたにもかかわらず、網の目をすり抜けていた事例です。

 当時は、文章にどこか違和感があっても、どう手を入れたらよいか分からなかったのだと思います。注意力が散漫だったせいばかりでなく、思考プロセスにも問題があったのではないかと考えました。“思考プロセス障害” の参考例となれば投稿した甲斐があるというものです。


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【事例1】
 トップ・バッターは断酒10ヵ月後の最初の投稿からです。(「ハイテンションになると危ない!」より)

 「AAからの帰り道、一時的にひどく遣る瀬ない気持ち(やるせなさ:何かに向けたいけど何処に向けたらいいか分からない不穏な気分)に襲われました。断酒後に度々襲って来る酒を飲まずにはいられないような情緒不安定な心理状態です。」
      
 「AAからの帰り道、一時的に胸がひどくザワザワした不吉で不穏な気持ちに襲われました。断酒後に度々襲って来る酒を飲まずにはいられないような情緒不安定な心理状態です。」

 不意に襲ってきた病的気分は、“胸騒ぎ” の感覚に近いながら、格段にひどく激しいものでした。その原因が何なのか、“めまい” に襲われたときにも似て意識をどこに向ければいいのか分からない心境でした。目当てとする的確な言葉がどうしても浮かばなかったので、上記の下線部分の表現、“遣る瀬ない” になってしまいました。“遣る瀬ない” が最も近いと感じたのです。ほぼ9~10ヵ月後になって、やっと浮かんで来た言葉が「不穏」、次いで「不吉」でした。焦がれた言葉にやっと出会えた気持ちでした。“胸騒ぎ” に近いのですから、もっと早く浮かんできてもよさそうなものです。参考のため浮かんで来た言葉の変遷を以下に示しておきます。


 言葉の変遷:
 ○胸がひどくザワザワ→(原因あるいは由来を探るために)どこかに(意識を)向けたい
  けど何処に向けたらいいか分からない→遣る瀬ない;(本来、“遣り場のない” が正し
  い)
 ○極端にひどい胸騒ぎ(軽いときは空回り)→不穏→不吉で不穏

【事例2】
 次の事例は、断酒10ヵ月後の2回目の投稿からです。(「私の底着き体験・断酒の原点」より)

 「飲酒欲求が優しそうに変装した慢心や油断は思わぬ時に顔を現わしてきます。いつ何時現れてくるのか分かりません。」
     
 「飲酒欲求は慢心や油断の陰に隠れ、優しそうな姿に変装して思わぬ時に現われてくるそうです。いつ何時現れてくるのか分かりません。」

 この時は、“慢心”、“油断”、“優しい” という言葉がランダムに浮かんで来たものと思われます。次いで “変装” を思い付いたのでしょう。これらの言葉に引き摺られた結果、上記の下線部分の表現になりました。一見文芸作品風の表現になってしまい、決して論理的な表現とは言えません。投稿時にも違和感があったとは思いますが、適切な表現が浮かびませんでした。元の文でもニュアンスは伝わるものの、柄でもないのでより説明文風に改めました。

【事例3】
 3番目の事例は、断酒11ヵ月後の7回目の投稿からです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その1)アルコールとの馴れ初め―プロローグ」より)

 「入試直前の気の緩みから来るえもいわれぬ不安と、入試前夜に緊張で眠られなかったのが祟り、・・・」
    
 「気の緩みとその後ろめたさから、入試直前にはえもいわれぬ不安と緊張が募っていました。その挙句に(の)入試前夜、一睡もできなかったのが祟り、・・・」

 “気の緩み” と “不安”、“緊張” との関係が曖昧になっています。元の文でもニュアンスは伝わるとは思いますが、これらの言葉の因果関係を交通整理して当時の心境を表現し直しました。助詞が “に” なのか “の” なのかについても、今でも迷ったりしています。

【事例4】
 4番目の事例は、断酒11ヵ月後の同じ7回目の投稿からです。(「アルコール依存症へ辿った道筋(その1)アルコールとの馴れ初め―プロローグ」より)

 「坐ったまま思いっきり漕いでブランコから飛び離れ、危険防止のためにブランコを囲った鉄製の柵を飛び越えるという遊びもしました。」
  
 「坐ったままブランコを思いっきり漕いで勢いをつけ、そのまま飛び出して危険防止用の囲いの柵を飛び越えるという遊びもしました。」

 受験当時の行動の順にそのまま記述した部分です。肝腎要の言葉 “勢い” が思い付かず、それを欠いているため未熟な印象となっています。さらに、後半の “柵” の修飾語が述語を含む節であることから、全体的に諄い印象となっています。投稿時どこか違和感があったのですが、肝腎要の言葉が欠けていることに気付かないままに投稿していました。“勢いをつけ” を補い、修飾語の節の部分を簡潔な句に改めてみました。やっと、思いの丈が伝わるようになりました。

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 いかがでしたでしょうか? 思いを表現できないでいるヒゲジイのもどかしさをご理解いただけましたか? 想起障害は今でも悩みの種です。私のブログを読んで違和感を覚えた際は、元々文才がない上に想起障害も抱えているのだから・・・と、大目に見てやってください。
次回に続きます。


「ボケが始まった?(急性離脱後症候群:PAWS)」も併せてお読みください。
 http://blog.goo.ne.jp/19510204/e/9c6d1fc08d197902061b8e0ee33adb6a


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