先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1919年の女性労働者の決起 (読書メモ―『日本労働年鑑』第1集 1920年版 大原社研編)

2021年06月19日 16時54分25秒 | 1919年の労働運動

1919年の女性労働者の決起(読書メモ―『日本労働年鑑』第1集 1920年版 大原社研編)

1919年4月には女性労働者は480万8千人となり1914年より153万2千人も増加している。

1919年女性労働者の決起

1/4 管理職の横暴に憤激し女工40余名ストライキ
 富山市、莫大小分工場、管理職の横暴に憤激し女工40余名ストライキ。

1/17 東京毛織物会社200名の暴動
 東京南千住、東京毛織物会社200名、戦争で得た莫大な利益の分配を求めストライキと暴動。

1/25 東洋印刷少年職工20余名がストライキ
 東京芝、東洋印刷少年職工20余名がストライキ。劣悪残酷な待遇、社内積立金もとられるなど紙代、歯磨き代も引かれ、到底満腹できない食事なのに、その上食事代が値上げされた。少年らは会議を重ね、代表者5名を選び「賃上げかもしくは解雇せよ」と迫った。

1/25 紡績姫路工場職工代表50名公園に集結  
 福島紡績姫路工場職工代表50名公園午前6時に姫路公園に集合して、賃上げと会社との交渉を決議し午前8時に引きあげた。

2/23 紡績会社徳島分工場寺院にろう城
 徳島市、大阪福島紡績会社徳島分工場職工一同は、賃上げを求めたが、会社強硬に拒絶したため、21日から第一・第二工場がストに突入。23日には全工場にストが拡大。会社スト破りのため大阪から職工を呼び出す。ストの労働者は付近の寺院にろう城し、26日には一同公園に旗を押し立てて野外演説を行い、世論の支持を求めた。

4/13 専売局男女500余名ストライキ
 福岡、専売局男女500余名ストライキ、東公園で集合。

5/4~11 大島製鋼所約1000名のストライキ
 東京、大島製鋼所約1000名、会社の突然121名の解雇に怒り、友愛会に組織された労働者を先頭に1千名のストライキが敢行。9日夜には、大島町五ノ橋館で労働者大会を開催し、友愛会各支部の応援もある。会社の一定の妥協もあり、11日解決した。

5/14 夜亀戸町小学校で女子部報告演説会を開催。

5/8 横暴な工場監督者の排斥を求めストライキ
 倉敷紡績松山分工場女工50余名が横暴な工場監督者の排斥を求めストライキ。松山警察署は中心人物2名を検束し取り調べ。

5/13 朝鮮人女性労働者に暴力をふるったことへの抗議
 福島紡績福山工場朝鮮人職工200余名は日本人が朝鮮人女性労働者に暴力をふるったことへの抗議で暴力をふるった日本人を処分しろとストライキを計画。

5/22 製糸工1000余名が検査と賃下げにストライキ
 長野県上田町、時田館、過酷な検査と賃下げ2割に怒った製糸工1000余名がストライキ。

6/7  千種愛知織物会社女工2千名の怒りのストライキ
 名古屋市、千種愛知織物会社男工40名が賃上げを求め示威行動。官憲が労働者20名を検挙。女工2千名は会社と官憲の態度に怒り、男工に同情して9日ついにストライキの挙にいでた。

6/8 製麻会社寄宿舎女工150名のスト計画、官憲の弾圧で不発
兵庫県武庫郡、小泉製麻会社寄宿舎女工150名、会社の待遇に不満を持ち、野中に集合してストライキの挙に出でんとしたが、御影署の介入でストは不発。

7/1  東京市電車運転手300名・車掌400名賃上げを求めストの協議
 東京市電車運転手・車掌300名400名は連日青山教習所で市電局長の訓示を聞かされていたが、そのうち労働者自身が賃金値上げを求めて集結して協議するようになり、「直ちにストライキ」派と「交渉の後にスト」派に分かれたが、代表を選んで当局に交渉を申し入れた。

7/4  裁縫工男女10数名のストライキとスト破りに鉄拳制裁
 大阪北区、裁縫工男女10数名は賃上げを求めたが、雇い主の拒絶にあい、ストライキに入った。しかし、雇い主はストライキ参加者の裁縫工全員を解雇し来て、この闘いは敗北してしまった。敗北の原因は、一部の職工がストに加入せず、ストの妨害をしたからである。それゆえ、ストライキ職工はこれらスト妨害者に鉄拳制裁を加えた。

7/4  紡績株式会社職工20名ストライキ
 姫路市、日出紡績株式会社職工20名は、かねてより再三賃上げを懇願していたのに、会社は拒絶したばかりか、逆に新たに仕事の罰則を厳しくしたために、職工側は終いに辛抱難くなり、ついにストライキの挙に出た。

7/4 製糸工場500余名の女工賃上げを要求しストライキ宣言
 甲府市、矢島組製糸工場500余名の女工は、近頃各地で賃上げの話があるのに、製糸会社の事無きに憤慨しても賃金値上げを要求し、7日までに回答がない時はストライキに入ると言っていた。

7/8  郡山紡績会社男女350名のストライキ
 福島県、郡山紡績会社。8日ストライキした男女350名は、午後1時より麓山公園に集合し賃上げ3割増のため運動を開始したが、郡山警察署の介入により、一旦解散したがストライキは引き続き行われ、翌日朝も再び同公園に集まり示威運動を行った。警察署長や町内有志が調停を試みるが、職工らは目的が貫徹されるまで断じて就業しないと主張して退かなかった。

7/11 鉄道院被服工場男女職工560余名昼食事時間に「賃金3割増給を要求せよ」と決議
 東京芝、鉄道院被服工場男女職工560余名は昼食事時間に、「賃金3割増給を要求せよ」と説く者あり、一同大いに賛同し決議したので、形勢は一変した。当局大いに動揺し、本院経理局は直ちに2割増給を回答したために、円満に解決した。

7/14   東京凸版印刷株式会社男女約300余名ストライキ
 東京下谷の東京凸版印刷株式会社男女約300余名は1割5分の賃上げを要求したが会社に拒絶されストライキに突入。18日友愛会の本部の仲裁で1割増給にて妥結し解決した。

7/20 東京製鋼株式会社月島工場男女約300名の怒り
 東京製鋼株式会社月島工場男女約300名は、本月から開始された夜勤廃止にともなう収入激減に対して、代表9名を選び会社に賃上げを提出したが、会社はこの代表9名を解雇してきたので、全労働者は会社は不当だと怒っている。

7/21~28 博文館印刷所の決起
 東京小石川、博文館印刷所(男600名、女100余名は)委員を選んで「①賃金3割増②夜勤は2時間以内として、それ以上やる場合は賃金は倍額③日曜を公休とすること④傷病者の保護と退職の場合は相当の手当てをだすこと⑤婦人と幼年者の待遇の改善」など10項目を要求した。22日には、8時から工場内で演説を始め、女工も立ち上がり意見を述べた。会社は日給を払い当日は休みとした。翌23日も出勤してきたが、同様に給料は払って休みとした。労働者側は結束を固め、代表委員を選び、東京市内の同業の各印刷工を糾合して大運動を始めた。博文館労働者に同情した精美堂(250名)、日本書籍会社(約400名)の労働者も相次いで同一要求を提出し、これら会社も22日と23日が臨時休業となった。24日午前7時、男子労働者は、小石川銀杏寺、女子労働者は金子製販所に集合し、更に傳通院にて演説会を行い結束を固めた。会社は「夜勤は4時間とし、それ以上は5割増し。日曜出勤は手当支給」と回答したが25日傳通院にての職工大会では全員の意志は絶対貫徹で決した。警視庁も介入し富阪警察署に労働者を召喚するなど圧力を強めたが、職工大会では警察の不当干渉と叫んだ。27日ようやく、残業は男工4時間以上は5割増、女工と幼年工2時間以上は5割増、など要求のほぼ全部を勝ち取り、28日より就業を決めたが、印刷部の労働者は不満を持ち、28日には160余名が欠勤した。ひとまず解決したのである。他の二つの会社も同時同様に解決した。

7/23 東京織物会社150名賃上げ要求
 東京千住東京織物会社150名は5割増給の要求をだし、3名の代表を選び会社と交渉中。

7/25 紙器株式会社の賃上げストライキ
 東京四谷日本紙器株式会社800名(女性350名ほど)は3割増の賃上げを要求した。26日ストライキに突入し、会社はスト参加者の解雇を通告し新規無募集の大広告をだし、更に会社に忠実なストライキに参加していない労働者にのみ賃上げを行うと発表した。四谷警察署長が調停を試み2割程度の賃上げで31日一同復職した。

7/27 日本畜音機会社男女350余名ストライキに突入
 東京川崎町、日本畜音機会社男女350余名は賃金5割値上の要求書を工場長の手許に送ったが、会社はこれを無視したためストライキに突入した。

7/29 製糸会社女120名の突然ストライキ
 愛媛県周桑郡製糸会社女120名は突然ストライキを行った。会社は彼らの不満への緩和策を講ずると共に書面で就業を促しながら一方で人夫を使いストライキの女工を駆り集めさせた結果31日に至り半数が出勤した。

8/1 東洋館製糸工場女工150名のストライキ
 埼玉県深谷町、東洋館製糸工場女工は150名は8月1日一同ストライキした。中には逃走した者もあり混雑した。

8/7 上田信濃電気会社女性労働者一同のストライキ
 長野県上田信濃電気会社女性労働者一同は、夏の一時金(中元)の低額に怒り、ついにストライキに立ち上がった。

8/9 東京絹毛会社ストライキ
 静岡県沼津町、東京絹毛会社、男160名・女120名は4割増の賃上と、もし拒絶された場合はストライキに入ると決定した。その夜女性労働者全員が外泊して誰も寄宿舎に帰らなかった。翌日10日から全員がストライキに入った。会社は11日に新待遇案を回答したために解決し全員仕事に戻った。

8/10 染布会社約200余名(女性30名ほど)ストライキ
 東京本所柳島、日新染布会社約200余名(女性30名ほど)は賃金3割値上を要求し、部長に要求書を手渡しが、部長はこれを握りつぶしたので、回答がない場合は13日の昼仕事終了の汽笛を合図にストライキに突入すると会社に伝えた。13日、会社は2割値上を回答し妥結した。

8/12 扇製造会社の労働者(女性376名、男性148名)スト
 丸亀市扇製造会社の労働者(女性376名、男性148名)は市内各所に集結し13日突如ストライキに突入した。会社は賃上げを回答して解決した。

8/12 賃上げを要求した紡績会社労働者19名の全員を解雇
 大阪岸和田野村紡績会社労働者19名が賃上げ3割増を要求したが、会社は全員を解雇してきた。目下警察が警戒中である。

8/17 製糸同業組合女性労働者430余名一斉にストに突入
 福井県今庄村製糸同業組合の女性労働者430余名は賃上げを要求し、18日よりストライキ突入を申し合わせた。18日一斉にストライキに突入した。業者側は少しの値上げを回答したが、スト破りは僅少しかでず、大部分はあくまで主張を曲げずストライキを続けた。

8/17 製糸工場の女性労働者150名賃上げを拒否されたらストの通告
 新潟県魚沼郡製糸工場の女性労働者150名は、同地の小学校に集結し賃金値上げを決議し、もし要求が容れられない時はストライキをすると申し合わせた。

8/18 信濃絹糸紡績会社男女50余名のストライキ
 長野県丸子町信濃絹糸紡績会社男女50余名は賃上げを求めてストライキを行った。会社側は要求を拒絶し、またスト参加者全員を解雇してきた。そのためストライキに参加していなかった他の250名にも騒ぎが広がっている

8/20 燐寸株式会社箱詰め女性労働者等250余名ストライキ決行
 神戸市日本燐寸株式会社箱詰め女性労働者等250余名は、正午から突然ストライキを決行した。その理由は10数年間働いていた工場監督名倉某を会社が解雇したことへの抗議だ。女性労働者は名倉監督を戻さないと我々も働かないと言い張り、21日もストを続けた。

8/20 紡績木管株式会社工場の女性労働者約20名賃上げ要求
 大阪南区帝国紡績木管株式会社工場の女性労働者約20名が賃上げを要求した。男性労働者も合流して全員で80名に。

8/24 洋服縫工組合の裁縫労働者賃上げでストライキ
 鳥取市洋服縫工組合の裁縫労働者は賃金4割増を要求したが、組合から拒絶されたためストライキを行った。組合側はスト破りのため大阪地方より既製服を購入したり、新たに人を雇いいれたりして対応している。

9/ 製麻工場男女約800名勝利
 東京の日本製麻会社赤羽工場男女約800名は、新任工場長鈴木某の不信任の陳情書を提出し、会社側は結局はこの陳情を受け入れ、また賃上げ2割増を行った。

9/7 製糸女性労働者150余名ストライキを通告
 福島県若松鈴木製糸工場女性繰糸労働者など150余名は工賃3割の値上げを決議し、要求書を提出した。会社が何等の回答もしなかったため、一同は憤激しついにストライキに突入しようとした。会社はようやく対応をしようとしたが、労働者側は要求への回答を聞くまでは決して譲らないと主張している。

9/10 染物女性労働者150余名がストライキ
 高岡市高岡染物株式会社女性労働者150余名は、この日の秋祭りの休業を利用して全員で協議し日給15銭の賃上げ要求を決定し、11日に代表者がこの要求を会社に提出したが、会社は回答を拒んだため、ストライキに入った。14日に至り、会社がついに要求を受け入れたので無事解決した。

9/10 仲間の首切りに抗議してストライキ突入
 福岡市煙草専売支局工場の70名はストライキを行った。そのため他の労働者男女600名も就業不能になった。ストライキの理由は、賃上げを要求した首謀者7名の首切りしたからである。17日はストライキ参加労働者の三分の一が無条件で職場復帰したが強硬派はストライキを続けた。25日に至って労働者側より詫び状を入れて無条件で職場復帰し、その後専売当局はスト参加者の14名のクビを切ってきた。

9/21 全市の洋服裁縫労働者350名の決起
 神戸市の全洋服裁縫労働者350名が集合協議の上、生活困難を理由とする工賃の2倍を各自の雇用主に要求した。

9/21 絹絲撚絲職工300余名のストライキ
 名古屋絹絲撚絲職工300余名は21日賃上げ要求を問屋側に通告した。23日からストライキに突入した300余名は互いに「結束を破って操業する者(スト破り)は50円の違約金を支払う」との約束書を取り交わし、30日に至っても結束は崩れなかった。

9/23 織布会社73名がストライキ
 和歌山紀陽織布会社73名が日給5割増を要求し会社の拒絶回答で、24日ストライキを敢行した。会社はストライキの首謀者2名を解雇し、出入りの素人力士に労働者側と交渉させ26日1割6分の値上げで解決した。

9/24 日本織布会社72名示威的なサボタージュ
 兵庫県日本織布会社72名は物価高騰を理由に工賃5割の値上げを要求し会社が拒否した場合はストライキを決行すると宣言し、直ちに示威的なサボタージュを初めたので、会社は大いに驚いて重役会を開いて善後策を講じた。

9/21 製糸労働者のサボタージュ闘争
 島根県浜田製糸所の寄宿舎の女性労働者数十名は、通勤者の男性女性に比べ賃金その他の差別があり不公平だと改善を求めてサボタージュをはじめたので会社驚いて大いに慰撫に努め、ようやく31日に平常に戻った。

10/6 宇都宮専売局男女約600名は増給運動に参加した。

10/6 東洋紡績で同志組合を結成
 大阪西区の東洋紡績株式会社四貫島工場の労働者は「労働時間10時間制へ時間短縮、賃金5割増」を要求した。同会社の労働者は同志組合を結成して互いに以下の誓約をした。「運動費として各自日給の一日分を提出する、基本金として毎月日給の5分を積み立てる、犠牲者(解雇?逮捕?)を出した場合の支援金とする、組合の利益に反する行為ある者は総会の決議により社会的制裁を加える」。10月7日には同会社三軒家工場の労働者も同じ要求をした。他の17工場への波及も心配した会社は21日、男工に日給3割増、女工には1割5分から2割の増給と11月1日より傷病手当を付けると発表し解決した。

10/6 大日本紡績福島分工場男女労働者3000余名8時間制の要求
 大阪大日本紡績福島分工場男女労働者3000余名は「8時間制実施、賃金5割増」などを要求した。なおこれに先立って同会社木津川分工場において同一の要求がなされ20日に至って同分工場男工600名、女工2700名全員に1割から3割の値上をして解決した。

10/6 紡績工場女工約2500名、男工約900名、12時間労働に怒り一斉に作業を中止し屋外に飛び出し決起
 大阪合同紡績会社天満工場女工約2500名、男工約900名は、朝9時15分の休憩時間に一斉に作業を中止して屋外に飛び出し、サボタージュの行動に出た。従来12時間労働のところ、会社は世間に「10時間労働制の採用や夜勤撤廃」を公表していたのに、実際は会社は「職工は10時間労働に満足して働いている」などと公言しながら、依然12時間制を強制し更に改める様子もないことに全労働者は憤激のあまり「世間に公表した通りに実行しろ。もし12時間労働なら残業代を支払え」と会社側に迫ったのである。これに対して会社側は「とにかく要求通りにするから、就業してくれ」と懇願したので、女工側は工場には入ったが、男工は復業せずと、あくまで「10時間制と女工3割、男工5割増給」を要求し強硬な姿勢を維持した。6日、7日と全員サボタージュは依然として維持された。工場側は大体労働者側の要求を承認する方針を示したため解決した。

10/7 電柱の一枚のビラで大騒ぎ
 兵庫県大阪合同紡績分工場付近の電柱に『8時間労働制要求、給金7割増に一ヶ月の公休日を6日とすること、男女一同はこの運動をなすために紡績浴場前に集合せよ!』のビラが貼ってあり、会社は大いに驚き警察に知らせると共に「賃金4割増」を発表する一方でビラの首謀者だとして21名の労働者をクビにしてきた。それに対して3400名の男女労働者は大いに憤慨し騒ぎがますます大きくなったので、あわてた会社は解雇労働者を復職させるとともに公休6日制の採用も発表し事態は一時的に収まったかのようにみえるが、労働者の賃金と時間短縮への強い要求は高まるばかりで警察も厳重に警戒している。

10/7 大阪東洋紡績争議に呼応して立ち上がる
 大阪東洋紡績三軒家工場労働者は、10月6日の同会社四貫島工場労働者の決起に呼応し、同一の要求「労働時間10時間制と賃金5割増」を要求した。21日四貫島工場と同様な「男工に日給3割増、女工には1割5分から2割の増給と11月1日より傷病手当を付ける」で解決をした。

10/8 「軟派」(動揺分子)は相次いでスト破り
 大阪合同紡績今宮工場男工120名は賃金5割増を要求し、9日約90名がストライキに入り、共に工場を退場して天王寺公園に集結した。会社はあくまで労働者の要求を拒絶し続けたため、「軟派」(動揺分子)は相次いでスト破りをして職場に戻った。「硬派」(スト決行組)はなおストライキを続けたが、10日朝その内16名は辞表を提出した。会社は直ちにこの辞表を受領し、他のストライキ参加者は無条件にて出勤した。その後会社は2割から4割の賃上げを発表したという。

10/9 83名時間短縮と賃金値上を求めてストライキ
 大阪戸田紡績所83名は、「時間短縮と賃金値上」を求めてストライキを行った。10日午後会社の賃上げ回答を受けて解決した。

10/10頃 漆器会社300名の女性労働者ストライキ
 和歌山県黒江漆器会社300名の女性労働者工賃3割増を要求したが拒絶されたので13日からストライキに突入した。会社は16日に至って2割値上げで妥結を提案したが、約50名の女性労働者はこれに応じなかった。

10/12 労働者の賃金値上げの騒ぎと賃上げ発表
 大阪天満織物株式会社は、男性労働者400名、女性労働者1250名の全員に10月26日より5割増給する、通勤者には住宅補助手当を支給すると発表した。数日前から労働者に増給要求をしようと大きな騒ぎになっていたのである。

10/13 60名全員をクビでサボタージュ闘争
 大阪毛瓦斯紡績会社60名は紡績部労働者と連携し「8時間制と賃金増額」を要求したが、会社は同夜その60名全員をクビにしてきたので、紡績部労働者は大きな騒ぎとなり、サボタージュ状態となった。15日は休業であったが、騒ぎは収まらなかった。

10/14 製糸場男女200余名ストライキ
 滋賀県木之本町山十組製糸場男女200余名は、本年9月分の給料を10月21日までに支払うこと、月々の給料は翌月21日までに支払うこと、幾分かの賃上げ」を要求したが、会社が拒絶してきたので、ただちにストライキに入った。県の工場監督官補と木之本警察署長が調停に乗り出し、深夜になり会社が労働者の要求全部を承認し、解決した。全労働者は15日早朝より就業した。

10/15 福島1000名男女労働者結束し、公園に集結
 福島市羽二重会社男女約1000名は結束して「9時間労働制、賃金4割増」を要求した。17日には公園に集結協議し代表者を選出し、会社と交渉をはじめた。

10/18 差別に怒り1600名女性紡績労働者サボタージュ闘争の決起
 岡山県味見町山陽紡績株式会社工場男性労働者及び男性雇員400名が「賃上げと通勤手当の値上」を要求した。会社は「1割の手当ては廃止し3割5分増し」を回答したが、労働者は全く納得せず一部にはサボタージュも開始された。一方女性労働者は「男に増給があるのに女性にはないのは不服だ。男と同じ値上げをしろ」と25日の夜勤から1600名女性労働者が一斉にサボタージュ闘争をはじめた。会社は女性に一定の増給を約束したがサボタージュは収まっていない。今後ストライキになるかもしれない。

10/25 秀英舎印刷所の労働争議
 25日朝、東京京橋秀英舎印刷所の男性労働者約300名と女性労働者約80名は「8時間制と日給50銭の値上」を要求するためと称して早退場をしようとして失敗した。その後この事件で会社は首謀者労働者数名をクビにした。27日一般労働者は怒りサボタージュ状態になったが、ストライキにはならなかった。

10/26 100名全員でストライキ
 岡山県八浜町日本養貝株式会社織物部労働者が賃金3割増給を要求し労資の対立は激しくなり、28日には一部にサボタージュも起きた。29日は女性労働者も代表委員を挙げ賃上げを要求し100余名全員がストライキに突入した。

10/27 女性労働者130名の決起
 横浜帆布株式会社女性労働者130名は一同結束して「①手当6割支給、②手当を俸給に算入する事、③皆勤賞は日給3日分とする事、④人格を無視した給料支払いの仕方を改める事、⑤8時間制の採用」の要求をした。しかし、会社は誠意のない態度を取り続けたので、午後よりストライキを行った。28日もストを続けた。29日も会社の強い切り崩しでスト破りをしたのは10数名に過ぎなかった。女性たちは報知新聞で「一ヶ月15円では生活苦で耐えられないので、あくまでストライキを貫徹する」と言っている。

11.1 300名突然機械のエンジンを切り全員帰宅
 1日午後3時すぎに大阪北長柄大阪毛織株式会社(男工300名、女工400余名)、男工は賃金値上に不満を持ち、突然機械のエンジンを停止して大多数が仕事を放棄し帰宅してしまった為、残された女性たちは仕事ができず、そのうちに、夜勤労働者が出勤してくるという騒ぎになった。会社はあわてて労働者側から聞いてその要求を調べた。その大要は「10時間労働制へ、残業2時間、時間給の値上、定休日を月2日へ、5割増給、その他」であった。結局工務部長と労働者側代表が話し合い会社に一任する事となり、その日の夜勤は平常通り就業したが、100余名の労働者は付近に集結した。同会社は仕事の多くは請負制で日給は男に限っている。近く日曜2回を公休とし請負制廃止し多少の賃上げを実行する準備をしている。

11/1 製糸工場約900名ストライキ
 1日埼玉県、武蔵、豊岡石川第一製糸工場約900名は賃金5割の値上を要求しストライキに突入した。同地の警察の仲裁で会社が「年末に相当の手当てを支給する事」を約束し同夜解決した。

11/4 製糸女性労働者400名ストライキ
 4日山梨県若尾製糸合資会社女工800名中の約半数は例年開かれていた慰安会が中止になった事に怒りストライキを行った。

12/1 17歳少年がリーダー。大阪高島屋店員怒りのストライキ
 1日大阪高島屋の店員100名程は早朝寄宿舎を出たまま、月の初日売り出しが最も多忙な時、店に出勤せず一同ストライキを実行した。店は、さっそく手をまわし、その内の一人を捕まえて「集合場所を教えろ」と2時間余もかけ責め続け、ついに「天王寺公園」と吐かせた。管理職が大急ぎで天王寺公園に駆けつけ一同を連れ帰って訓戒を加えた。この時のストライキのリーダーは17歳の少年で、100余名を5分隊に分けるなど団体運動の形を成していた。ストライキの要求は「月給の2割や年末賞与を貯金として差し引く事をやめ現金で支給する事」「人事車係某の排斥」等であるらしい。

12/1 仙台製糸場1100余名女性労働者賃上げ
 仙台市片倉組仙台製糸場1100余名女性労働者賃上げを要求し、直ちに双方互譲交渉の結果、12月1日平均5銭の賃上げが実現した。

12/4 八幡製鉄所女性労働者のストライキ
 12月4日朝、八幡製鉄所の女性労働者10数名がストライキを行った。製鉄所は直ちにリーダー2名をクビにしてきた。原因は、監督が、前日仕事の開始が10分遅れたことを理由に、30分以上の無給居残り命令をしたことへの怒りである。八幡市に本部を置く日本労友会が交渉して2名の解雇は撤回され二人は仕事に戻った。

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「婦人職業問題」
参照『日本労働年鑑第一集1920年版』の「婦人職業問題」等より 

(讀賣新聞生江孝之談3月28日)
 女工の五分の三が20歳以下の婦女である。工場法では15歳以下の者、および女子は一日12時間を超えてはならぬとなっているが、しかし、工場法実施後15年間は一日2時間までの増加を許可しているから実際は14時間働き、その上多忙時には行政官の許可を得て16時間まで女工を働かせている。すなわち朝5時から夜の9時まで、または朝6時から夜10時まで働かせている。また、我が国女工の寄宿舎は実に惨たんたるもので、千人位の寄宿舎に一人一畳宛ての割合で押し込められ、しかもそれが工場敷地内にあり、昼夜交替の連続作業、長時間労働であるから安眠もできずそのため神経衰弱、結核等の病気にかかる者が多い。

 (東京時事新報警視庁調査と警視庁工場課長談3月31日)
 少女の労働。東京府下には6万の女工。その内15歳以下12歳まで5745名、12歳以下10歳以上は337名。これら少女の労働時間は一日10時間から12時間であり、賃金は25銭位から1円50銭位で大抵は4.50銭である。警視庁山下工場課長は「我が国の女子労働者が欧米の女工のように自覚してくる事はほとんど想像できない。彼女らは遠方の地から直ちに一定の寄宿舎に容れられ、到底現代の風潮を理解するだけの能力がない」云々と言う。

 (大阪毎日新聞4月8日)
 女工の待遇と衛生
 14時間の労働で疲れ切った少女らは、製糸女工中8万人は病気で故郷に帰るが、帰国した千人比の内約半分弱は、肺結核または同病疑似で、同比30人はその年肺病で亡くなり、同比138人は重い結核患者となる。しかも今なお工場主はたいがいこの虐殺的行為を改めようとしない。

  (大阪新報所大阪朝日橋署談4月19日)
  女工の呼び戻し願い
  この頃、警察へ女工の親元からの呼び戻し願いが続々くるという。警察へ帰郷願いをだしたからといって直ぐ帰れる訳ではない。警察が会社に言っても会社は「前借金を返せ」という。何にも知らない女工たちはその一言に脅かされて泣く泣く仕事に服している。こうして会社は借金を盾に取っていつまでも女工たちを圧迫して労働を強制するのである。

 (東京砲兵工廠の女工状況) 
 東京砲兵工廠には6千人の女性労働者がいる。輪削工、仕上工、板金工、火薬工等で就業時間は午前7時から午後7時、休憩時間は午前9時、午後3時、5時に各15分、正午30分。休日は日曜祭日年末年始であるが、休日労働も多い。また産前一週間、産後5週間休業でその間は賃金半額を支給。

  (長野県下の製糸女工の労働条件)
 「資本家は諸種の名目を設けて女工を誘致し一度契約を結めばこれを寄宿舎内に拘束してほとんど自由を与えない状態である。女工契約期間は1年、3月より12月までの10ヶ月間の契約と共に賃金の前貸しをして全く彼女らを家庭より奪い寄宿舎生活をさせ近距離の者でも自宅からの通勤を許さない。 
   今年9月までは、賃金支払い方法は12月末の一年一回支払いであり、工場労働の苦痛より逃走または転職させない為であった。しかし、この慣習は社会の非難を受け、長野県は、9月よりは県令を出して強制的に一ヶ月支払いとさせたが、実際は社内貯金などの名目で賃金を会社が保留して一ヶ月支払いは実行されていない様である。
  労働時間は、午前5時から午後7時までの14時間制だが、一年のうち60日間は15時間労働。一方社会では紡績工の11時間2交替が非人道的と言われ、時間短縮が叫ばれているが、こちらの製糸工は徹夜をしなくても日々14時間場合によっては15時間の過当な連続勤務に従事させられ、一日中工場外の空気に接する事ができない有様である。可及的速やかに改善する必要がある。」

  (長野県下には9万人製糸女工の年齢別数)
12歳400人、13歳200人、14歳6,000人、15歳7,000人、16歳7,000人、17歳8,000人、18歳9,000人、19歳8,000人、20歳7,000人、21歳6,000人、22歳5,000人、23歳3,000人

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 (東京モスリンの一女工山内みな子演説)
  1月26日、東京日本橋で友愛会魚河岸支部発会式で、東京モスリンの一女工山内みな子が、『婦人部を代表して』と題して演壇に立ち、女工の演説は珍しく聴衆は喝采した。同人は宮城県生まれで尋常小学校卒業後14歳にて上京し、東京モスリンに入り目下し寄宿舎にいるが友愛会には2年前に入会したという。

   (東京逓信省の為替貯金管理局長の談)
  一般婦人労働者の思想が非常に過激になってきた。為替貯金局800名の女性事務員は週一の活花の稽古や娯楽用のピアノを顧みなくなり、みな難しい婦人雑誌を好んで読むようになっている。

    (女子労働組合設立説) 
     8月初めころより、平塚雷鳥、山川菊枝、与謝野晶子、市川房江の4人による女子労働組合設立の運動をはじめているという噂がある。

 (大阪毎日新聞飛騨高山警察署長等の呼びかけで『女工労働組合』設置の動き8月5日)
  他府県に流出する女工を減らすため各町村に『女工労働組合』を設置し、「女工募集を組合にやらせよう」と町村と警察署長等が主唱した。

 (友愛会婦人部独立案)
 9月1日の友愛会大会二日目、神戸、南千住、江東の各支部から同会婦人部独立提案がだされた。富士瓦斯紡績押上工場の野村槌野婦人代議員は「婦人部の独立は婦人の結束に最も必要で、また、治安警察法第17条撤廃運動の先鋒たるべきものである」と発言した。

 (渋沢男爵5万円の資金援助)
  10月2日神田で「婦人愛労会主催の婦人労働大会」が開催され、その中で渋沢男爵より5万円の資金援助が約束されたことを報告。

 (友愛会婦人大会)
  10月5日午後7時から東京本所業平小学校で友愛会婦人部主催による「婦人労働大会」を開催した。田中孝子、平塚雷鳥、山川菊枝、与謝野、和田らの演説の続き、女性労働者8名が熱弁をふるい、「夜勤を廃止」「食物の改善」「病気中の待遇改善」「事務員が女工に対する態度を良くすること」「賃金値上げ」「衛生設備の改善」「読書・夜学・外出等の時間を増やす」等を叫んだ。

  (伊藤野枝と山川菊枝顧問の「婦人活版印刷組合」の設立運動)
   11月30日東京神田三秀舎の女工約20名は、市内婦人活版印刷工組合の設立運動に着手することを決めた。築地活版の女工約100名とし顧問を伊藤野枝と山川菊枝とした。

 (富山県女性教員有志の宣言文と弾圧)
 「今日まで吾等女教員はただ沈黙を守って職員会研究会の席上においても公然と意見を発表する勇気なく・・・。今日の時代はかかる時代ではない。・・・吾等は起って女子自覚のために戦闘を開始すべきである。」
 これを知った当局はたちまち主唱者を探しはじめた。また、この女性教員有志多数の出身高たる高岡高等女学校もこれを危険思想として出身者有志の素行言動を調査し、主唱者を射水郡大島村小学校西川女性教員と断定し取り調べを行った。これら当局の対応に一部女性教員たちは非常に憤慨している。



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