先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1927年の在日朝鮮人の運動(読書メモ)

2023年11月24日 07時00分00秒 | 1927年の労働運動

上・ポスター「在大阪朝鮮民族のすべての力を在大阪新幹会支部へ」(1927年)

1927年の在日朝鮮人の運動(読書メモ)
参照「日本労働年鑑第9集/1928年版」大原社研編
  「在日朝鮮人運動史」朴慶植

 1927年の日本での金融恐慌下で、労働者の大量解雇、失業者の増大、中国山東出兵など社会矛盾は激化し、労働者・農民をはじめとする人民の闘いは昂揚した。朝鮮民族運動においても過去の知識人や中間層、小ブルの運動から労働者・農民を中心とする転換がみられた。またこの年ブリュッセルで国際反帝同盟、漢口では汎太平洋組合会議が開催され、これには朝鮮と日本からの朝鮮代表も参加し、国際反帝統一戦線への努力と、またこの年、反日民族統一戦線である「新幹会」が組織され、「新幹会」への積極的参加が呼びかけられた。9月には「朝鮮総督暴圧政治反対同盟」を組織した。

(大会宣言と新綱領) 
 1927年の在日本朝鮮労働総同盟(在日朝鮮労総)の組織人員は約3万人であり、4月、在日朝鮮労総は第三回大会を開催し、大会宣言と新綱領を発表した。

大会宣言
 われわれの労働生活は日本の労働者に比べて全く特殊的な取り扱いを受けている。民族的差別と虐待はわれわれの二重の桎梏である。そしてわれわれの大多数は自由労働者であるので、その組合の形態は職業別、産業別の基準をもつことができなかった。それだけではない。われわれの大多数は言語の不通、感情のくいちがい、習慣の相違、知識の不足その他いろいろの条件によって日本労働組合に直接参加することが事実上不可能という過渡期にある。しかしわれわれの生活は決りきった最低賃金である。日本の地域はわれわれにとって極悪の一大工場である。したがってわれわれの身分は朝鮮民族という民族的賃金奴隷である。これによってわれわれの意識は速かに反省し、また深化する。換言すればわれわれの意識は経済的・組合的世界観に留まることに興味を感じることなく、常に政治的・権力的戦線へと闘争の目標を発見しようとしている。そしてその民族的・階級的心理は帝国主義に対する抗争をいっそう勇敢に主張する。またそうせざるを得ない。

網領
 一 本同盟は朝鮮無産階級の指導的精神の下に経済闘争を展開し、政治闘争への転化を期す
 一 本同盟は日本各地に散在する未組織の朝鮮労働大衆の組織を期す
 一   本同盟は日本労働階級との国際的団結を期す

当面の課題
 大会ではさらに新幹会と日本の労農党の支持を決め、治安維持法撤廃、言論・出版・集会の自由、渡航の自由、団結権、スト権、団体契約権および8時間労働制の確立、最低賃金制の実施、朝鮮民族に対する虐待と酷使の根絶、女性・児童・白丁・奴僕に対する差別撤廃など16項目の当面の課題を決定した。

運動
 6月には大阪で朝鮮総督政治反対運動実行委員会の演説会があり、8月には東京で東京朝鮮労働組合主催で、警察政治・侵略的教育政策に徹底的に抗争せよとのスローガンを掲げて演説会を行った。9月大阪で同様に示威行動が計画されたが、事前に官憲に知られ80余人の活動家が検挙され失敗した。しかし、数十万枚のビラや抗議文が撒かれた。11月には東京で、12月には横浜で労働者慰安会が開催され、途中から労働者大会に切りかえられ、「総督政治反対! 朝鮮共産党事件暗黒裁判反対! 被告の無罪釈放!」などを決議した。東京ではデモも敢行した。

(1927年主要な在日朝鮮人の労働争議) 
 ・大阪三好ガラス工場で解雇撤回闘争に朝鮮人労働者81人が参加(1月)
 ・宮城県仙山鉄道工事の朝鮮人労働者50余人、賃金不払いで飯場頭をおそい日本人と乱闘(2月)
 ・鈴木商店尼ヶ崎製材所で解雇手当制定、民族差別撤廃を要求してスト(3月)
 ・大阪駅構内で朝鮮人労働者300人、工賃6千円を持ち逃げした監督をおそい負傷させる(3月)
 ・京都府北桑田で京都線改修工事中、賃金問題で請負人と衝突し警察により弾圧をうける(3月)
 ・横須賀市海軍埋立工事中、賃金不払いで埋立業者をおそう(5月)
 ・小樽市在住朝鮮人労働者、朝鮮人倶楽部を組織して従来の個人的労働契約を排除す(5月)
 ・小港港労働者ゼネストに朝鮮人倶楽部所属の朝鮮人労働者多数参加(6月)
 ・神戸乾鉄線工事場の日本人労働者約340人と朝鮮人労働者約80人は、団体交渉権の承認、賃金の二重制度の撤廃、最低賃金(日給2円) ・解雇手当の制定、臨時雇・朝鮮人差別待遇の撤廃などの要求を掲げストライキを敢行し、神戸朝鮮労働組合が支援・カンパし、日本労働組合評議会の指導した工場代表者会議開催も実現し、労農党や日本労農党の共闘声明など積極的争議応援が行なわれたが、官憲の弾圧と日本総同盟幹部のうらぎりによって朝鮮人を含む65人が解雇され、6月27日争議は敗北した(6月)
 ・神奈川県橘樹郡高津村の砂利運搬会社朝鮮人60人解雇し騒動(6月)
 ・福井県敦賀郡大同電気会社の朝鮮人労働者、賃金不払いで日本人労働者と衝突(7月)
 ・新潟県寺泊築地埋立工事の朝鮮人労働者30名、貸金不払いで日本人専務と衝突し8人検挙される(7月)
 ・同県新川郡大山村県水道工事で朝鮮人労働者100人、貸金値上げ要求を拒絶され騒動(7月)
 ・姫路市水道工事で朝鮮人労働者、解雇に反対し市役所を糾弾(7月)
 ・兵庫県有馬電鉄工事現場朝鮮人労働者1,200人飯場ろう城ストライキ(8月)ー(次回報告予定)
 ・三重県北牟婁郡二郷村紀勢線鉄道工事で朝鮮人労働者の賃金不払いで争議(8月)
 ・富山県立山山麓で水道工事中の朝鮮人労働者300人、冬期休止期間手当減額のため人夫頭をおそい日本人労働者105人と乱闘(8月)
 ・東京府下南品川相原衛生事務所従業員の朝鮮人労働者は3人の解雇者を復職させよ、賃金3割値上げ、固定給の制定、請負制廃止などを要求してスト(8月)
 ・名古屋市で失業救済、意志疎通のための在日朝鮮人大会開催(9月) 
 ・京都府舞鶴町で海軍爆薬廠工事の朝鮮人労働者130人、賃金の不払いと遅延でスト(10月)
 ・富山県営水力電気立山工事場における朝鮮人・日本人労働者60余人約40日間もの賃金不払いに対し3日間のスト。警察の暴力と検挙(10月)ー(次回報告予定)
 ・大阪府泉北、南河内両郡の8織物工場の全朝鮮人女性労働者130人、ロシア革命記念日にゼネスト(11月)
 ・京都府乙訓郡向日町の新京阪電鉄工事場の朝鮮人労働者約160人は高田組に14時間半もの長時間酷使などの改善を要求。官憲の暴圧(11月)ー(次回報告予定)
 ・広島県豊田郡田野浦村三呉線工事場の朝鮮人労働者、賃上げを要求し争議(11月)
 ・福井県北陸線新設王子保駅工事の朝鮮人労働者、賃金不払いで争議(12月)
等。
 この他、朝鮮人・日本人労働者の衝突事件が、広島市西引御堂町街路、千葉県市原郡白鳥村、東京府下荒玉水道工事場、兵庫県印南郡魚挌街道などでおき、けが人をだした。

以上



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