てっきりガスに包まれていると思っていた北沢峠にガスは出ておらず、木々の緑が目に飛び込んできました。
今日の宿泊場所は峠から10分ほど下った所にある長衛小屋のキャンプサイトです。
キャンプ場に続く山道の脇は苔に覆われていて、水の豊かな南アルプスに来たことを感じさせてくれます。
苔の緑が鮮やかです。
台風の接近で半ば諦めかけていた甲斐駒ヶ岳でしたが、今、私は南アルプスの峠道を歩いているのです。
木立の間からキャンプ場に張られたテントが見えてきました。
沢を流れる水の音や人の声も聞こえてくるのです。
私は長衛小屋で受付を済ませ、どの辺りにテントを張ろうかと場所をさがしました。
沢沿いに絶好のスペースを見つけ… 、
テントが立ち上がる頃には青空まで見えてきました。
針葉樹の稜線の向こうに甲斐駒ヶ岳と思われる花崗岩の白い頂きも現れました。
この日は明日の甲斐駒ヶ岳登山に備えてゆっくり過ごします。
午後2時頃には、長衛小屋からおでんを調達し缶ビールを飲みながらマッタリと過ごしました。
午後4時頃には上空一面を青空が覆いました。
『思っていた通り、天気は回復してきたぞ!』
私は稜線越しに見える花崗岩の白い頂きを眺めながら、40数年を経て目的が達成できる幸せを感じていました。