12月4日の日本経済新聞夕刊の記事
日立製作所の中西宏明社長がワシントンで記者会見し
「日本の原発技術が途絶えるのは
(エネルギー政策上の)打撃が非常に大きい」として
安部政権に原発の継続を求めたそうです
以前、私のブログのコメントにも
「現在原子力関連学科を志望する学生が減り、
廃炉にむけた30~40年後の専門家の減少などは、ゆゆしき事態だと思います」
と書かれていたっけ
確かに原発反対の人たちの中には、本当に、全く、全然
原子力発電所とは何ぞやをわかっていない人がいて
「原発さえ稼動しなければ、日本は安全になる」
と思い込んでいる人がいるけど
多分、小泉元首相もそうよね
でも原発を止めたって、発電所の中には放射性物質は残っているから
きちんと冷却して管理して、放射能が漏れないようにしなければいけないし
地震、津波などの天災、施設の老朽化など、
様々な問題から守らなければいけない
つまり原発が、電気も何も産まない、ただのコンクリートの箱になったとしても
10年、20年、もちろんそれ以上の長い間
たくさんのお金をかけて、安全に維持管理していかなくてはいけないわけで
そしてそのためには非常に高度な知識と技術を持った人たちが必要なわけです
でもそんな優秀な人材をきちんと養成するためには、優秀な学生や
優秀な研究をする大学の研究室や研究所が必要になるわけで
更には、そんな高度な研究を続けるためには、たくさんのお金と
優秀な学生を引き付ける、魅力的な研究と、
それに繋がる、プライドを持って働ける仕事が必要なわけで
でもこんなコテンパンに非難され続けてる原発に対して
プライドを持って働こうという気が起きるでしょうか?
そしてもし、原発で働く人たちに高いお給料を支払えなくなる事態になったら
就職したいと思う優秀な学生が出てくるでしょうか?
優秀な人材が確保できなければ、
原発内にある放射性物質の、安全も安心も確保できなくなってしまうのに、です
今回の福島第一原発事故の後、色んなことを私も勉強してきたけど
あることに気がついたんですよね
それは、原子力関係の仕事をしている人たちは
物凄いエリートだってこと
息子が大学生の時、同級生や知り合いの息子さんに
原子力関係の研究に関わっていた子が結構いて
『なんで、原子力なの?』って不思議に思ってたんだけど
原子力関係の道に進むのは、
物理学の世界の優秀な人材なんだとわかってきたんですよね
つまり、化学系・生物系の優秀な学生が目指す道が
医学部であり、医師になることなら
物理系の優秀な学生が目指す道の一つが、実は原子力関係
つまり電力会社や原発機械や施設を製造、建設する
原子力発電所関係の企業だったんですよね
福島第一原発の吉田昌郎元所長も、その優秀な物理系の一人ですよね
だからあの原発事故の時
菅元首相が海水注入を止めるよう、指示したにもかかわらず
自らの判断で注水し続ける、という正しい決定を下すことが出来たんでしょう
逆の例を言うとしたら、それはあのJR北海道
線路の管理も維持も、まともにできなくなった社員達
そして調べていくと、数値が間違っていたことさえもわからなかったという社員達
JR北海道は、赤字体質で高いお給料も払えなくなっていたから
優秀な人材を確保することが出来なくなっていたんでしょう
その結果、辞めずに働き続けているのは
「働くことにプライドを持たなくなった人たち」や
「上司の顔色を見ながら働く、安全に対する意識の低い人たち」
JR東海やJR東日本が人気企業になり
多くの優秀な学生達が就職し、様々な分野で事業を成功させているのと対照的に
1987年、同じ国鉄から民営化した企業でありながら
26年の間に、JR北海道は全く体質の違う企業になってしまいましたね
だから、もしこの先、東京電力を始めとした他の原発関係の企業に
優秀な人材が就職しない、という状態になってしまったら
日本中の原子力発電所は、大きなリスクを抱えてしまう
と言っても過言ではないかもしれないですよね
優秀な人というのは、閃き(ひらめき)がある人だと、私は思います
窮地に陥った時、持っている知識と脳細胞をフル活用して
何が出きるか、何が最適なことか、
短時間に判断することが出きる能力を持ってる人です
医師もそう
患者の症状や聞いた情報を元に、
自分の持っている知識を頭の中で、わぁ~っと考えて
どんな病気か判断するわけです
手術の時もそう
思いがけない出血にも、患者の急変にも
持ってる知識と経験から即座に判断して緊急処置を施す
優秀な人というのは、そういった緊急時に
非常に頼りになる専門家なのです
そうやって考えると、これから20年後、30年後の原発の管理を
安全にきちんと行うために、これから先どうしたらいいか、
どうやって優秀な人材を確保していくべきか、
真剣に考えていくべきだと、私は思います